(本記事は、小林正弥氏の著書『億を稼ぐ勉強法』=クロスメディア・パブリッシング、2019年7月21日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

メンターによるフィードバック

メンター
(画像=Jirsak/Shutterstock.com)

以前、先輩から「下段者には、上段者の考えは完全には理解できないのだから、指示通りやった方がいい」と言われたことがあります。僕が指示通りに動こうとしなかったから、そのようにおっしゃったのです。これはその通りだと後になって気づきました。

自分が到達していないことは完全には理解できません。それでも、目指す山があれば、適切な方法で登っていきたいわけです。メンターは登山のガイドのようです。あなたが登りたい山を、すでに登ってきた人です。

自分自身で自学自習し、ひとりPDCA会議を回していくことは大切です。けれども、高みに登るには、登ったことのあるメンターのフィードバックが非常に効果的です。

僕自身、出版、ビジネス構築、チーム作り、資産運用、など様々な分野でメンターがいます。ある時、執筆が全く進まなくなってしまったことがありました。

パソコンの前に座っても、うまく言葉にできず、一向に進みません。いわゆる「ライターズブロック」と言われるものです。締切が迫っているのに、このままでは編集者さんに迷惑をかけてしまう、そんな状況がありました。「ひとりPDCA会議」をやっても、それなりのアイデアは出てくるのですが、行動が伴わないのです。そんな時、出版のメンターに連絡を取りました。

すると、「あなたは小説家じゃなくて実務家なのだから、読者が実務的に課題解決できればいいんだよ。だから上手に書こうとか、感動させようとかしなくていい。文章は意味が伝わればいい」とフィードバックをいただきました。

これがきっかけとなり、「そうか、文章の良し悪しを考えず、ふだんの思考を言語化すればいいんだ」と力みが抜けたのです。すると、スラスラ書けるようになったのです。それまでは、カフェをはしごしても書けず、途方に暮れていたのにです。

このように、あなたが登りたい山を登ったことがあるメンターは、あなた以上に、あなたの状況を把握し、課題解決のアイデアをくれたりします。目線をあげてくれたり、在り方のズレを修正してくれることもあります。

僕の場合、自分なりの仕事の勝ちパターンを作れた時、失敗を恐れ、現状維持の状態が数年続いたことがありました。コンサルタントとして、この状況はクライアントに対してもいい影響をもたらしません。そんな時、起業家のメンターに「お金が理由でしがみついてる仕事をすべて捨てないと、次に行けないよ」とポツリと言われました。

プロジェクトを完了させるまでに半年間かかりましたが、結果的に既存の仕事をすべて手放したことによって、僕の事業は大きく飛躍しました。この起業家のメンターもまた、ご自身が「捨てること」によって道を切り拓いた経験をお持ちなのです。

ちなみに、メンターというのは自分が勝手に思っているだけで、そのような約束を交わさない場合もあります。既に亡くなっている偉人をメンターにする場合は、読書を通じて、擬似的な対話をするしかありません。

メンターとの関係は、金銭のやりとりが発生するのか? という質問をよくいただきます。これはケースバイケースです。主に4つくらいの関係があります。

(1)タダ働き
(2)私淑(ひそかに師と考えて模範とする)
(3)顧問契約
(4)相互メンター

です。実務経験が浅い場合は、タダ働きをおすすめします。タダなら相手も断る理由がなくなるし、付加価値の高い仕事を経験しやすいです。実は、お金をもらってしまうと、それ以上の付加価値を期待されるので、失敗できない仕事を任されがちです。ご自身のメンタリティも、「給料分働けばいいや」となりやすくなります。

また、「タダでもやりたい仕事は成長が早い」というのもあります。タダ働きなんてありえない、という人がいますが、そういう人は大抵、一般的な仕事をしています。タダ働きで得られる報酬は、金銭報酬ではなく、将来、何十倍、何百倍にもなる職業的知恵や人的資産なのです。

また、メンターも暇ではありませんし、既に亡くなっている方もいるので、(2)の私淑もおすすめです。その方の思考と行動が学びやすい、自伝を読みながら、相手の人生とあなたの人生を照らし合わせて、相手ならどうするか?と擬似的なフィードバックをもらうようにしています。

また、親友の場合もあります。僕にとって、親友というのは毎週のようにご飯を食べにいくというより、年に一度も会わないとしても、「あいつなら、ここでもう一歩チャレンジするよな」と思わせる人です。

「良きライバル」という言葉の方が適切かもしれません。様々な業界で、BIG4と呼ばれる人・会社があります。男子テニス界において突出した成績を残しているBIG4といえば、ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレーの4選手がいます。

4選手全員が世界ランキング1位を経験しています。「なぜ同じ時代に、ナンバーワンプレイヤーを4人も出現させたんだ!?」と思うのは僕だけではなかったはず。けれども、強力なライバルの存在が、ある意味メンターとなり、相互の力を飛躍させているのかもしれません。ライバルが出現した時に、このようなメンタリティを持つことを教えてくれたのもまた、僕のメンターでした。

(3)の顧問契約もいいですが、お金を払ったら問題が解決することは、実は1つもありません。「メンターの1番の実績になるぞ」という気概を持ち、学び実践する人ほど結果が出ています。(4)の相互メンターは、ご自身に確固たる実績が出てきてから有効です。

「知恵の貸し借り」という言葉の通り、本来、知恵というのは対等な関係で交換するのものです。「知恵をあげる」とは言いません。僕自身、相互メンターをしている方が数名います。

月に1〜2度、オンライン会議か直接お会いして、相互の知恵を交換します。金銭のやりとりがない分、どれだけ、てんこ盛りで相手に価値提供できるか?の真剣勝負となっています。面談時に、それまでに実践で掴み取った知恵がないと恥ずかしいので、成果を出すペースメイカー的な役割にもなっています。

メンターとの関わりについて、4つのパターンをご紹介しました。

「弟子に準備ができた時、師が現れる」という諺があります。あなたが登る山にコミットした時、メンターは現れるはずです。そして、あなたが本気なら、メンターも知恵を貸してくれるかもしれません。

億を稼ぐ勉強法
小林正弥(こばやし・まさや)
(株)教育スクールビジネス研究所代表取締役。1983年埼玉県生まれ。2006年早稲田大学理工学部卒。25歳で独立したものの全く稼げず、時給900円の日雇いバイトを経験。家族の治療費のため、自分を最高値で売ることを決意し、1ヵ月後に毎月210万円の報酬が得られるようになる。その後、自分を商品にして1億円プレイヤーとなる。「本業で結果を出して稼ぎ、結果の出し方を人に教えて稼ぐ」、ダブルインカムの手法を実践する「新・講座型ビジネス実践会」を主宰。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます