地価の動向

全国主要都市の3大都市圏で2014年1月1日の時点で、国土交通省が発表した地価公示が6年ぶりにプラスとなりました。また、全国主要都市の3大都市圏、地方中心都市において、特に地価動向を把握する必要性の高い高度利用地区の150地区における平成26年第2四半期(平成26年4月1日~7月1日)の地価動向を検証してみます。なお、高度利用地区とは、都市計画法第8条に規定されている地域の1つで、高度利用とは有効活用という趣旨になります。150地区のうち、120地区が上昇傾向、横ばいが28地区、下落が2地区となっています。全国のうち8割が上昇傾向にあるといえます。上昇傾向にある120地区のうち、ほとんどは、東京都が占めています。


地価上昇傾向の地区一覧

全国主要都市の3大都市圏の中で、上昇傾向の強い東京都に注目してみます。住宅地として上昇傾向が強いのが、江東区の豊洲です。湾岸エリアのマンション販売が好調で、タワーマンションの供給が続く、豊洲駅に近いという立地条件が原因といえます。そして、品川区北品川です。五反田、大崎地域や北品川の再開発が行われているのが原因といえます。

商業地として上昇傾向が強いのが、台東区の浅草です。やはり、スカイツリー開業による観光客の増加で、不動産への需要が高まっているといえます。


地価上昇の影響に伴う今後注目すべきJ-REIT銘柄

地価上昇の影響で、J-REIT(Jリート)の商品として注目したい銘柄について、検討します。J-REITのタイプは、オフィスビル特化型を中心に、ホテル特化型、物流施設特化型、住居特化型といくつかあります。当然、首都圏に集中しているのはオフィスビルであり、オフィスビル特化リートへの影響は大きいです。オフィスビルとともに、地価上昇の地区に人口が集中しやすいのは住居です。ここでは、住居特化型リートに注目してみます。

住居特化型リートとは、住居に特化しているリートです。住居はオフィスビルに比べ、景気には左右されにくく、一定の需要があり、安定しているといえます。ここまで、検証してきた中で、地価の上昇は首都圏が強い傾向にあります。

そこで、首都圏に物件を多く有し、住居特化型リートの中で最大規模のアドバンス・レジデンス投資法人< 3269 >に注目します。アドバンス・レジデンス投資法人の住戸タイプですが、シングルタイプが50%超、ファミリータイプが16%になっています。賃貸物件の場合、ファミリータイプのほうがいいといわれていますが、ご存知のように独身世帯は、増え続けており、将来的な需要を見込んでいるといえます。したがって、アドバンス・レジデンス投資法人< 3269 >は今後、注目していきたい銘柄といえます。また、J-REIT(Jリート)は、特化型だけではなく、いくつかのタイプを組み合わせた総合型もあります。したがって、地価上昇の傾向を考えて、リスク分散を考えるなら、オフィスビル型、住居型を多く組み入れた総合型銘柄にも注目していきたいところです。

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