3 物件の買付をする

下見もして、購入したい物件が決まったら、「買付申込書(買付証明書や購入申込書といった名称の場合もある)」を提出し、売り主に対して購入の意思表示を行ないます。

この書類には、購入希望価格も記入します。ですから、価格交渉をするなら、このタイミングです。売りに出されているよりも低い価格を買付申込書に書けば、売り主に「値引きしてくれるなら購入します」という意思が伝わります。

ただし、一つの物件に対して複数の人が買付を申し込むこともあるので、他の人が自分よりも高い価格で購入を希望する場合もあります。その場合、「どうしてもこの物件を買いたいので、私も購入希望価格を上げます」ということもできますし、「この価格でダメなら購入は見送ります」という判断もできます。買付申込書を提出したら必ず購入できるというわけではなく、交渉になることもあるわけです。

交渉というと難しく聞こえるかもしれませんが、売り主との間に入る不動産仲介業者の担当者が親身になって適切なアドバイスをしてくれれば、初心者でも問題なく対応できます。

なお、融資を利用する場合は、買付申込書に「ローン特約条項あり」という1文を必ず記入する必要があります。ローン特約については「5 物件の売買契約を結ぶ」を参照してください。

4 融資の事前審査を申し込む

ローンを利用して物件を購入する場合は、買付申込書の提出と同時進行で、融資の事前審査を申し込みます。

どの金融機関のローンを利用するかについては、不動産業者の紹介か、自分で探すかになりますが、初心者の場合は紹介された金融機関で事前審査を受けることがほとんどです。

物件の収益性が重要な評価基準になるので、安定した家賃収入が見込める物件であることが事前審査に通る第1条件です。また、以前は頭金なしのフルローンで借りることもできましたが、最近は融資金額の審査が厳しくなっているので、頭金を入れる前提で、希望する融資金額を決めましょう。

事前審査を申し込むにあたっては、自分の年収や資産状況を、エクセルなどできちんと整理してみましょう。資産が多いほうが審査に通りやすくなるので、配偶者の年収や親の資産も含めた金額で申し込むと、審査に通りやすくなります。

注意したいのは、その時々で価値が変わる株などの有価証券は評価されにくいこと。金融機関が高く評価するのは預金や不動産であることを知ったうえで、申込書に記入しましょう。

事前審査に通ったら物件の売買契約に進みますが、事前審査に通っても、その後の本審査で「やっぱり融資はできない」という結果になる可能性もあります。

5 物件の売買契約を結ぶ

いよいよ売買契約を結びます。

契約の当日に印紙代や手付金、仲介手数料の半額を支払うので、現金を用意しておきましょう(不動産仲介業者によっては、仲介手数料はあとで一括払いの場合もあります)。

手付金の額に決まりはありませんが、売買代金の5~10%が一般的です。

いったん売買契約を締結すると、簡単には解除できないので、契約内容をしっかりと確認してください。

確認するべき重要なポイントはいくつかありますが、まずは、「ローン特約」がついているか。これは、万が一、融資の本審査に通らなかった場合に、売買契約を無条件で解除できるという特約です。もしローン特約をつけずに契約を結んでしまうと、本審査に通らなかった場合、支払った手付金を放棄して契約を解除することになってしまいます。

また、ローン特約の「解除期日」も確認しましょう。この日を過ぎてから融資が受けられないとわかっても、契約の白紙撤回ができず、売り主に違約金を支払うことになります。

また、瑕疵担保責任の確認も必要です。これは、売買する不動産に隠れた瑕疵があった場合、売り主が買い主に対して責任を負うというものです。

契約書にはその期限が書かれていて、一般的には引き渡しから3カ月以内で設定されます。この期間が長いほど買い主が有利になるので、極端に短く設定されていないかチェックしましょう。