遺産分割協議書作成上のポイント

まず、書き方は縦書き・横書きいずれでも構いません。また手書き、ワープロどちらでもOKです。現在は、氏名住所以外はワープロ・横書きで作成するのが一般的です。 氏名と住所は間違いがないように、手書きで行ったほうが良いでしょう。

紙質についても(なんでも構わないことになっていますが)長期間の保存に耐えられるように上質のA3・またはA4用紙の利用が良いと言えます。被相続人の死亡後に相続人全員が遺産分割協議を行い合意に至ったこととその日付を記載します。

遺産の分配について記載します。

1.土地や建物については登記事項証明書(登記簿謄本)どおりに記載します。一言一句同じでないと法務局が相続登記を受理してくれず、相続人全員の訂正印が必要となってしまうことがありますので、注意が必要です。

2.現金は金額だけでかまいません。一方で預貯金は銀行名・支店・普通預金家定期預金か・口座番号などを正確に記載します。

3.後日、万が一別の遺産が発見されたときに備えて第5条のような定めをつくることがおすすめです。

4.祭祀(さいし)財産とは、いわゆるお墓や仏具などのことです。お墓を守っていく方をはっきりと記載しておくことが最近の「流行」となっていますが、もめる可能性があればあえて各必要はありません。

5.遺産分割が成立したら相続人全員が住所氏名を手書きで記載して実印を押して印鑑証明書をつけてワンセットとします。相続人全員分作成しておくことがおすすめです。1通作成して代表としてどなたかが保管するという形でも構いませんが、相続人全員の分を作成して印鑑証明書とセットにして保管(クリップなどでとめてクリアフォルダーや封筒等に入れて保管)が望ましいでしょう。


遺産分割協議書作成で最も大事なこととは

遺産分割協議書のサンプル・作成上の技術的な注意点は以上のような具合となります。遺産分割協議書の書式自体は書籍やインターネットなどで探せばすぐに見つかりますので、書類の作成自体は決して難しいものではありません。

しかし、遺産分割協議書作成にあたってもっとも重要なことは、遺産分割協議書作成の前提となる遺産や相続人の調査をしっかりとした上で、遺産と負債の納得がいく分配の話し合いを行うことです。遺産分割のご相談をいただいた際に感じることが多い点のですが、遺産分割というとやはり書類を作成することが一番大切に感じてしまわれる傾向があるように感じます。

しかし、遺産分割協議書自体は、結果をまとめたものに過ぎません。はっきり言ってしまえば、遺産分割協議書自体は「単なる紙切れ」です。書類作成を専門にしております行政書士が断言します。遺産分割で大切なことは、相続人の方皆様の感情や経済状況をお互いに思いやりながら、(最低限必要な法手続に従って)全員が納得のいく話し合いをすることと言えるのではないかと思われます。

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