(本記事は、横川 由理の著書『2020〜2021年版 保険 こう選ぶのが正解! 』実務教育出版の中から一部を抜粋・編集しています)
保険の見直しは人生で3回!
◆保険の組み替えを考えるタイミング
保険の加入中、もっともよくないことは、入りっぱなしにすること。家族の構成やライフプランの変化に応じて、必要な保険は変わってくるのです。
死亡保険や医療保険の保険料は以前と比べてずいぶん安くなりました。思い切って入り直してしまうとよいでしょう。保険の見直しを行うことで、保険料の節約につながります。
たとえ、予定利率の高い時期に定期保険特約付終身保険に加入した場合でも、貯蓄性のある終身部分だけ残して、ほかは解約するなどさまざまな方法が考えられます。
さらに多くの医療特約の保障期間は、保険料の払込みが終了するまでしかありません。通常、80歳までや終身保障に延長できるケースもありますが、追加で保険料が100万円単位でかかってきます。
それならば今のうちに特約を解約して、終身医療保険に変更してしまったほうが、トータルでの医療保険料を節約できそうです。また、定期保険は収入保障保険に変更することによって、さらにスリム化することが可能です。
保険は人生で3回見直してください。
・1回目:子どもが生まれたとき
・2回目:住宅を購入したとき
・3回目:子どもが独立したとき
この3回というのは必要最低限。もう少し頻度が多くてもかまいません。予定利率の低い現在は新しい保険へ入り直したとしても、まず損をするということはありません。
新しい保険に加入するときは、加入期間をダブらせる
◆保険の空白期間に注意して
生命保険や医療保険に加入する際、告知や診査が必須となります。健康診断で異常を指摘されたり、病後間もない人は、新たな保険に加入することができません。もし、死期が迫っている人や、これから入院しそうな人が保険に加入すると、保険会社は保険金を支払う確率が高くなってしまいます。保険金の支払いがかさむと、保険会社は保険料の値上げを実施するのが自然の流れ。保険料の値上がりは、契約者にとってよいことではありませんね。
というわけで告知や診査という方法をとって保険を引き受けるかどうかを選んでいるわけです。
新しく保険の契約を行っても、保険会社に引き受けてもらえないケースは意外に多いもの。健康診断書に要経過観察とあるだけで、断られる場合もあるのです。新しい保険に入ったからといって、すぐに前の保険を解約してはいけません。
通常、新しい保険に加入すると1回目の保険料をすぐに払う必要があります。二重に保険料を払うのは「もったいない」とつい前の保険を解約したくなりますが、ちょっと待ってください。もしかしたら、新しい保険に加入できないかもしれません。
加入できても、責任が開始されるまでのわずかな空白期間に何かあったら保障はゼロ。肝心なときに保険を活用できないのでは、何のために長い間保険に加入してきたのかわかりません。
新しい保険に加入するときは、もったいないと思わずに、加入期間をダブらせることが鉄則です。なお、がん保険の場合は、3ヵ月以上ダブらせてください。
保険料を払わなくても保険を続ける裏ワザ
◆払済保険の活用で保険料はタダ
長い人生の間には、教育費の負担が重くのしかかったり、リストラに遭う可能性もあります。「保険料を払えない」という事態に陥った場合、どのように対処したらよいのでしょうか。
保険を解約するのは簡単ですが、解約してしまうと保障はなくなってしまいます。解約以外に何か有効な方法はないでしょうか。
加入中の保険を有効に活用しながら、見直す方法のひとつに「払済保険」への変更があります。特に予定利率のよい保険を見直すときに活用すると有利になるでしょう。
1996年4月以前に契約をした保険は「お宝保険」と呼ぶほど予定利率が高いのでしたね。保険料の払込みをやめても、予定利率の高さを活かす方法、それが払済保険です。具体的には、払済保険に変更する時点において、すでに払い込みが終了している保険料に応じた保障額に減額するというもの。
たとえば、1000万円の終身保険に加入していた場合、払済保険に変更を行うと、そのときの解約返戻金に応じた新しい保険金額になります。左ページは300万円の払済保険へ変更した例です。
払済保険のデメリットは、保障額が少なくなることと、特約がすべてなくなってしまうこと。もっとも保険料を払わないのですから、納得できますね。
なお、払済保険へ変更できるのは、貯蓄性の保険だけです。たとえば、定期保険特約付終身保険の終身保険部分や、個人年金保険、養老保険などが対象になります。
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