プライドというぜい肉は、落とせ!

「プライド」という言葉はいろいろな使われ方をしますし、使う人によってそのニュアンスも様々であると思います。だから、こういう決めつけ方は、もしかしたら誤解を生む可能性もありますが、それでもあえて言わせてください。

「プライドには1円の価値もない!」

ここでいう「プライド」は、たとえばこういうときによく使われるものです。

「頭を下げるなんて、プライドが許さない」
「つまらない仕事ばっかりで、プライドが保てない」
「あんな暴言を吐かれて、プライドが傷ついた」

いやあ、ここにこのような例を書いているだけで僕はすでにもう「イラッ」としてきました(笑)。

この手のプライドは、本当に、1円の価値もありません。

こういうプライドの高さというのは、案外若い人ほど身につけてしまっています。僕も今では30代になり、今よりもっと若かった頃の自分の妙なプライドを思い出して恥ずかしい気持ちになります。

高校を出て就職した会社は小田急系の建設会社でした。僕は神奈川県が地元なので、神奈川で小田急といえば知らない人はいない。地元の足であり、地元民にとっては親しみと同時に誇らしくも感じている企業の一つです。

そういう有名企業に就職できたことで、僕は「自分はすごい」「自分はできる」と思い込んでしまいました。とはいえ小田急に在籍していた間は、周りの社員もみんな同じ小田急の人たちですから、特別にそれを意識することはなかったのですが、その後、転職をして飲食業の営業に携わったときに、そのプライドが大きな障壁になりました。

施工会社の現場管理から、飲食店の営業への転身。当然、すぐにうまくなじめるわけもなく、画期的な仕事ぶりを発揮できるわけもありません。なのに、僕は「小田急という優良企業にいた」というプライドのせいで、「わからないから教えてください」「それはやったことがないから、これから勉強します」という当たり前の言葉が出せなくなっていたのです。そのせいで、本当に苦しい思いをしました。

「こんな変なプライドなんて邪魔だから捨てよう」

毎日そう思うのですが、全然捨てられない。自分自身の心に完全にしみついてしまっているのです。これが、「プライド=ぜい肉」説(笑)。落としたいけど、落とせないんです。プライドのダイエット方法、これ、考えついた人はすごいと思います。効果的なやり方があるなら教えてほしいくらいです。でもおそらく、僕がそうであったように、自分自身で苦しみながら、悩みながら、少しずつ落としていくしかないような気がします。

僕の場合は、気がついたらなくなっていました。ある日、ふと、「あれ? 自分の頭の中からプライドという言葉が消えたぞ」と感じたことがありました。そして、以前よりも素直で優しい気持ちになれていることを発見しました。それ以来おかげさまでプライドのリバウンドはありません。

これは僕の考え方なのですが、プライドというのは、簡単に「意地」になってしまうような気がします。「プライド」と似た言葉に「誇り」という言葉があります。それらの意味するものの違いを別の言葉を使って説明するとしたら、プライドは意地で、誇りは自信。僕はそう思います。

どんなに若くたって、どんな状況にいたって、自分自身に対する誇り=自信は持ったほうがいい。だけど、プライドは時として凝り固まった意地になって自分自身を苦しめてしまいます。

今、なにか毎日が憂鬱だ、周りの人とうまくいかない、仕事の業績が思うように上がらない……、そういう人は、一度自分の心を見つめ直してみてください。そこに、変なプライドがドーンと居据わってはいませんか?

営業マン
青木 宏樹 (あおき・ひろき)
高校を卒業してすぐに建築業界に就職。 会社員時代は、忙しい仕事の合間に休みを返上して「宅地建物取引士」と「建築士」の資格を取得。自己啓発の本を読み漁り実践を繰り返していたおかげもあり、会社員時代の27歳の時はすでに年収750万円。人並み以上の生活をしていた。それでも自分の思い描く生活はできないと考え、友人のツテもあって一度飲食店経営の手伝いを経験。夢にまで見た起業に憧れ、奮闘した。しかし、朝9時~深夜3時まで1日18時間、毎日休みなく過酷な肉体労働を強いられ、時給300円以下の低賃金で、精神的にも肉体的にも苦痛を受け挫折。そこでもう一度成功をつかもうと一人で別事業に取り組み、見事3カ月で実績を上げる。自身の会社も1期目は年商4200万円、2期目は年商5億円を達成。現在では3社の経営者として活動中。不動産や投資信託などの投資家としても活動中。自身の起業の経験を活かし、主にサラリーマン層に向けて収入アップの方法やコミュニケーションスキルのノウハウを発信している。

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