「ファンド」と聞くと怖いと身構えてしまう方もいるだろう。しかし現在において、PEファンドはさまざまな業界で中小企業の成長を支える社会インフラとして欠かせない存在だ。第4回までは、PEファンドの担当者と支援を受けた企業代表の対談、第5回はPEファンドと組むメリットについての対談をお届けする。
第3回目の今回は、仕組みを整えたあとの業界への適応や実施してきたチャレンジの事例だ。(聞き手:山岸裕一、編集構成:上杉桃子)※本インタビューは2019年12月に実施されました
家庭向けから業務用へ売り先もシフトチェンジ
―そもそもなのですが、どのような経緯で清川社長は社長に就任したのでしょうか?
清川:外から来た当時の社長が退任し、社員をまとめ社長としての役割を遂行できる人材と判断されたのが経緯です。
荒井:社長に就任いただいた際は、「外部から連れてきた人間ではなかなか機能しなかった」反省から、営業を担う人間を社内から役員に引き上げるなどして内部昇格で組織体制を強化するなどしました。
―清川社長が就任した後に、市場の中で最も大きかったポジションの変化は何でしょうか?
メインがお米であることは変わりませんが、より今のマーケットに適応させ、消費の中心が家庭向けよりも、中食や外食などの業務用にシフトしているのに合わせて営業活動も行いました。
荒井:流通が大きく変わりつつあるんですね。これまでは中小の卸に流れていたものが、大手に集約されてきている。消費者は家で食べずに外食や中食、お弁当、コンビニなどで購入する傾向が強まり、お米の流通が中小卸から大手卸へシフトしているという前提があります。
このチャネルの変化を見誤り、既存の流れの中だけで勝負すると取り残されます。
「食品ロス」などの問題にもチャレンジ
荒井:この点においては、清川社長はアンテナを高く張っていて情報が入ってくるので、マーケットの環境や既存の流通チャネルが変化しても、外部環境の変化に応じて営業施策を打てるんですね。そのため、シェアは間違いなく上がっています。
―ほかにチャレンジしていることはありますか?
清川:食品ロスや環境負荷低減の問題に取り組んでいます。顧客のニーズを探り、機械や包装資材での新しい提案、場合によつてはその組み合わせでの提案を行っています。
あとは、かつては競合だった機械メーカーと組むなどもしています。
荒井:「一緒にWin-Winでやりましょう」と業務提携に近い形の組み方をしている企業が何社かあります。(提供:THE OWNER)