さまざまな制度や取り組みによって、中小企業を積極的にサポートしてくれる商工会議所。商工会議所は心強い存在だが、実はどんな組織なのかよく知らない経営者もいるだろう。今回は商工会議所の概要に加えて、加入するメリット・デメリットなどを解説する。

商工会議所とは?運営の目的と役割

商工会議所,メリット,デメリット
(画像=PIXTA)

商工会議所は「地域経済の発展」を目的として、法律に基づいた形で運営されている地域総合経済団体だ。日本全国の自治体に拠点を構えながら、各地域で以下のような役割を果たしている。

○商工会議所の主な役割
・地域経済の牽引
・活力ある地域づくり
・地域の中小企業のバックアップ

商工会議所は営利目的の団体ではなく、あくまでも地域発展を目指してさまざまな活動を行っている。資金は限られているが、ときには国や自治体からの援助に加えて、法律や制度のバックアップも受けながら活動に取り組んでいるため、各地域への貢献度は決して低くない。

また、法律によって設立された安定的な組織である点も、商工会議所の大きな特徴だ。地域の商工業者によって組織されてはいるものの、商工会議所法の概要に変更が加えられない限り、消滅する可能性はほとんどないだろう。

つまり、商工会議所は役所に近い存在であり、かつ基盤も非常に安定した組織といえる。

商工会議所と商工会の違い

「商工会」と呼ばれる組織も、地域の事業者が会員となって地域発展を目指すための団体だ。いずれも法律によって設立された「特別認可法人」であり、同じような事業に取り組んでいるため、つい混同してしまう経営者もいるだろう。

しかし、実は商工会議所と商工会は異なる組織であり、主な違いとしては以下の点が挙げられる。

主な違い商工会議所商工会
根拠となる法律商工会議所法商工会法
管轄している官庁経済産業省・経済産業政策局経済産業省・中小企業庁
管轄範囲市区単位町村単位
主な事業内容中小企業や国際活動の支援経営改善普及事業
意思決定機関30人~150人の議員総会全会員による総会
会員規模小規模事業者~大企業まで中小企業や個人事業主

商工会議所に比べると、商工会は資金が限られている点も特徴のひとつ。商工会は全体的に規模が小さく、取り組んでいる事業も各地域の規模に合わせた内容になっている。

一方で商工会議所は、中小企業に加えて大企業も会員に迎えており、市区単位での比較的大きな事業に取り組んでいる。本記事では商工会議所に絞って詳しく解説するが、町村単位での活動に興味を持っている経営者は、商工会についても基礎知識を身につけておきたい。

商工会議所の事業内容

商工会議所が取り組む事業は、大きく以下の2つにわけられている。

商工会議所の事業の種類概要
一般事業会費収入と事業収入を原資した事業の総称。あらゆる事業者を対象に、さまざまな支援事業に取り組んでいる。
経営改善普及事業各自治体や国の助成金を原資とした事業。創業者や中小企業、個人事業主を対象に、経営相談や融資などを行っている(大企業は対象外)。

では、商工会議所が実際にどのような事業に取り組んでいるのか、その一例を簡単に紹介していこう。

商工会議所の主な事業内容概要
・政策提言活動地域や地方企業の立場から、国や自治体に対して提言をする活動。
・会員交流事業会員が相互で親睦を図れるように、イベントなどを開催する事業。人脈の構築や、情報収集などに役立つ。
・検定事業簿記検定や販売士検定をはじめ、さまざまな検定試験の企画や運営。
・国際交流、国際化支援経済委員会やビジネス研究会の設置、定款変更のサポートなど、さまざまな角度から企業の国際化を支援している。
・共済事業生命共済をはじめ、生命保険や傷害保険のような共済制度を実施している。商工会議所の会員は、通常よりも安い金額で加入することが可能。

ほかにも経営相談や広報活動、産業振興など、商工会議所が取り組んでいる事業は多岐にわたる。その中でも以下で挙げる2つの事業は、中小経営者が確実に押さえておきたいものだ。

1.研修やセミナーの開催

商工会議所は世の中の事業者や従業員に向けて、研修やセミナーを開催している。基本的なビジネススキルを学べるものから、専門的な内容を学べるものまでイベントの幅が広いので、各地域の開催情報はぜひチェックしておきたい。

実費を負担する必要はあるものの、会員であれば割引価格で受講できる点も大きなメリットだ。経営者自身の勉強にはもちろん、人材育成の場としても低コストで利用できる。

2.独自の融資制度

商工会議所は世の中の経営者に向けて、独自の融資制度を実施している。たとえば、創業資金をスムーズに借入できる制度や、通常より低い利率で融資を受けられる制度も見られるので、資金調達の選択肢として意識しておきたい。

また、最大で2,000万円の融資を受けられる「マル経融資」も、経営者が確実に押さえておきたい制度。マル経融資は担保や保証人が不要であり、返済期間が最長10年と長いため、企業経営のさまざまなシーンに活用できる。

ただし、商工会議所の融資制度は地域・時期によって異なるので、常に最新情報をチェックすることが重要だ。資金調達を主な目的にしている場合は、各商工会議所のホームページなどで融資制度を確認しておこう。

企業が商工会議所に加入するメリット・デメリット

商工会議所への加入を考えている経営者は、検討する前にメリット・デメリットも理解しておきたい。特に以下で紹介するメリット・デメリットは、加入するかどうかの重要な判断基準となるので、理解しながらしっかりと読み進めていこう。

商工会議所に加入するメリット

商工会議所に加入するメリットとしては、主に以下の点が挙げられる。

○商工会議所に加入する主なメリット
・会員限定のサービスや特典を受けられる
・地域での人脈を構築できる
・自社や商品をアピールする機会が増える
・経営体制を整えられる
・資金調達の手段を増やせる

会員限定のサービスを利用できる点は、商工会議所に加入する最大のメリットだ。たとえば、電子証明書や参加するセミナーの割引、損害賠償に対する補償制度など、商工会議所ではさまざまな会員限定サービスが用意されている。

ほかにも、イベントに参加することで横のつながりを築けたり、共済制度によって安心できる経営体制を築けたりなど、商工会議所のサービスは社内外の環境を整える際に役立つ。ただし、すべての事業者にとって有益なサービスとは限らないので、各サービスの内容は事前にチェックしておきたい。

商工会議所に加入するデメリット

商工会議所に加入するデメリットは、「コストがかかる」点だ。加入時には入会費として一律3,000円、その後も規模に応じた年会費を毎年支払わなくてはならない。

東京商工会議所を例に挙げると、資本金1,000万円の法人は毎年45,000円、10名以上の団体会員では毎年30,000円の年会費が発生する。地域によって年会費の仕組みにはやや違いがあるので、その点も事前に調べておきたい。

入会費の負担はそれほど大きくないが、毎年発生する年会費は経営の負担になる恐れもあるため注意しておこう。

商工会議所に加入するメリット商工会議所に加入するデメリット
・会員限定のサービスや特典を受けられる
・地域での人脈を構築できる
・自社や商品をアピールする機会が増える
・経営体制を整えられる
・資金調達の手段を増やせる
・入会費が発生する(3,000円)
・年会費が発生する(数万円~30万円)

上記の表は、ここまで紹介したメリット・デメリットを簡単にまとめたものだ。商工会議所への加入を検討する際には、「発生するコスト以上にメリットを得られるか?」を慎重に判断することが重要になる。

各地域で実施されているサービスや、自社が加入した場合のコストをしっかりと調べたうえで、加入する費用対効果をきちんと分析しておこう。

商工会議所の加入率は?入会資格と加入方法も合わせてチェック

商工会議所の加入率については、実は具体的な数値が公表されていない。あくまでも目安だが、日本最大の東京商工会議所の加入率は1割~2割、地方では加入率が5割を超えるエリアもあると言われる。
特に地方都市では、商工会議所が「重要なコミュニティ」として活用されている例も存在する。そのような地域でスムーズに人脈・取引先を構築するには、商工会議所への加入が必須になるかもしれない。

つまり、商工会議所に加入するかどうかは、事業を営む「地域の特性」も踏まえて判断することが重要だ。地域の中で不利な立場にならないために、周辺企業や同業他社などの情報を調べながら慎重に判断していこう。

商工会議所の入会資格

商工会議所への加入を決めたら、次は「入会資格」をチェックしなければならない。とは言うものの、商工会議所の入会資格は以下のように定められているため、一般的な法人であれば特に注意するべきポイントはないだろう。

○商工会議所の入会資格(東京商工会議所)
東京23区内で営業している商工業者であれば、法人、団体、個人事業主を問わず入会可能。また、法人や団体に該当しない場合であっても、商工会議所の趣旨に賛同する場合は、特別会員として入会できる。

上記の「特別会員」とは、議会選挙などの選挙権・被選挙権を有さない会員のことだ。議会選挙に深く関わることはできないものの、商工会議所が提供するサービスは利用できるため、一般的なビジネスマンが加入するような事例もある。

商工会議所への加入方法

商工会議所への入会方法は、地域ごとにやや違いがある。たとえば、東京商工会議所ではインターネットで問い合わせができるほか、オンライン上でそのまま申し込むことも可能だ。

ただし、地域によってはネット申し込みに対応していない可能性もあるので、各地域の入会方法は事前に調べておきたい。スムーズに申し込みを行うために、各商工会議所の公式ホームページなどで入会方法を確認しておこう。

商工会議所は経営を助けてくれる存在!ただし、地域ごとの違いには要注意

商工会議所はさまざまな企業にとって心強い存在であり、ときには経営を積極的にサポートしてくれる。また、経営基盤の強化につながる制度やイベントも実施しているので、加入するか否かに関わらず、常に最新の情報をチェックしておきたい。

ただし、商工会議所は各地域に存在しており、地域ごとに特徴がやや異なるため注意が必要だ。加入を検討する場合も、その地域の特性をしっかりと調査したうえで慎重に検討しよう。(提供:THE OWNER

文・THE OWNER編集部