黒坂 岳央
黒坂 岳央(くろさか・たけお)
水菓子 肥後庵 代表 フルーツビジネスジャーナリスト。シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、東京で会社員を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。ビジネス雑誌やニュースサイトでビジネス記事を書いている。著書に『年収1億円超の起業家・投資家・自由業そしてサラリーマンが大切にしている習慣 “億超えマインド"で人生は劇的に変わる!』(https://amzn.to/2U7ZeoX )など。

筆者は東京・大阪・シカゴ(アメリカ)とずっと都会で生活をしてきた。だが、起業に際して数年前から熊本県に移住した。

人生初の田舎暮らしだが複数のビジネスをしており、ありがたいことに地方に住んでいても会社員時代の10倍ほどの収入を実現できた。今回は単に生活費が安く済む、というだけでない地方移住をして起業するメリットについて解説する。

成功する起業の4つの条件

地方
(画像=VarnaK/Shutterstock.com)

これから起業を目指す者が心がけていただきたいポイントは、下記の4つである。

1 利益率が高い
2 在庫を持たない
3 定期的な収入
4 資本ゼロあるいは小資本で始められる

これらの条件を満たすビジネスは、これから起業するにあたって失敗しないで済むのだ。

筆者はネットショップ経営やオンライン英語教育ビジネス、ニュースやビジネス記事を書くジャーナリストや出版、講演活動をしている。

筆者が持っているビジネスはすべてこの4か条を満たしており「もうやめよう」と自分でイグジットしない限りは、資金が枯渇してゲームオーバーということはない。

そしてこれらのビジネスは都会に住んでいなくても、世界のどこにいても完結してしまうのだ。

東京と地方は固定費が違う

「東京には情報や人材が豊富なので有利」と言われる。確かに情報や人材だけを見ればメリットと言えるだろう。だが、物事を評価する際は複数のレイヤー(層)を把握して、トータルでのメリット・デメリットを俯瞰して判断する必要がある。

この事例で言えば、東京での起業は確かにメリットがある。クライアントによっては「対面でフォローしてもらえるのがいい」という価値観を持った人もいるだろう。そういう意味では、物理的に東京に身を置く意味合いはあるだろう。

だが、同時にそれをすることのデメリットも考慮する必要がある。東京で起業することの最大のデメリットは「固定費」の高さである。固定費の筆頭は「住居費」「オフィス費用」だ。

独身の若者がワンルームマンションの一室で起業するなら問題ではないが、オフィススペースを借りる、子育て世帯の起業家となると、ある程度の住居やオフィススペースを必要とする。地方と東京の坪単価は3-4倍ほど異なることはザラである。

ビジネスは永続性が極めて重要だが、毎月発生する固定費が重くのしかかる。これでは、成果が出る前にゲームオーバーとなってしまうことになりかねないのだ。

一人でやることに価値がある

世間的には「東京にはビジネスチャンスがある。一方で、地方にはそれがない」と言われる。逆説的になるが、筆者は「真逆こそ真実」と思っている。

筆者は東京にいる時期に起業をしたが、あまりにも魅力的なイベントや人脈形成作りのチャンスに奔走されてしまった経験がある。魅力的な人がイベントを開けば、直接話を聞きに行ける、人脈づくりのイベントは年中開催されている。こうしたイベントは駆け出し起業家には魅力的に映る。週末起業家だった筆者は、土日に足繁く通っていた。

だが、ある時こうした活動は無意味だったことに気づいた。スタートしたばかりの起業家に取って必要なことは「売上を作る」ことだ。

どれだけ知識やスキル、経験があろうとも、お客さんがいなければ売上がないことと同じだ。売上がなければビジネスとして存続することは不可能である。売上を作るために必要なことは、お金をかけない起業のマーケティングであり、情報発信や広告宣伝にリソースを投じることである。そしてこれらの活動は自分でできるので、誰かと一緒にやる必要性が皆無なのだ。

ある程度、自分に実績や経験・スキルがついてきたらチーム化によるメリットがあるだろう。しかし、駆け出しの起業家にはそのようなものは一切ないはずだ。つまり、東京に魅力的な人材やイベントがあるのは事実であっても、駆け出しの起業家にはほとんど活用のしようがないのである。

地方には誘惑がないからこそ専念できる

そしてあまり言われないことだが、地方で起業することのメリットはまだある。それは「誘惑がない」ということだ。

筆者は地方に移住した。ここには正直、東京のような娯楽は一切ない。田舎は車社会であるが故に、飲み会の帰りは代行運転手をオーダーする必要がある。代行を待つのは時間も取られるし出費もかさみ、何より面倒だ。だから東京のように「今日飲みに行くか?」といったフランクな誘いはない。

娯楽が少ないからこそ、ビジネスに集中できる。制約は人をクリエイティブにし、さらに集中力を与える。筆者は朝5時に起床し、夜22時に寝るまで判をついたような生活をしている。すべてのリソースをビジネスと投資に捧げ、もうそのライフスタイルを何年も過ごしている。

だが、その結果得られたものは大きい。自宅裏の山からムササビが飛ぶのを目撃するような田舎の自宅内で作られた成果物は悪くはないと思っているし、東京に住んでいたら叶わなかったであろうものはたくさんある。

「起業するなら東京より地方」というのは「安いから」という一元的な側面でしか語られない事が多い。故にその反論として「なあに、東京には情報と人材がある」という結論の出ない不毛な議論になりがちだ。

トータル的に起業は田舎が向いている

今回展開してきたような多面的レイヤーを複眼的に考慮し、トータルで思考して導き出された結果「プラスとマイナスを考慮しても、田舎のほうが起業には向いている事が多い」という結論に至ったわけである。

とはいえ、ビジネス形態や起業家のパーソナリティにも依る部分はあるので、すべての事例にアプライして語れる一般論ではないことを付け加えさせてもらいたい。(提供:THE OWNER

文・黒坂 岳央(水菓子肥後庵代表 フルーツビジネスジャーナリスト)