中国の次に来るのはEU&アフリカ?

中田 では、米国の次は中国の時代になる?

坪井 そうなるでしょう。ただ、気になるのがEUです。今は沈黙していますが、いずれ動き出すと思います。というのも、今、ドイツが注目を浴びているんです。

中田 ベルリンが熱いそうですね。大企業の拠点と化したシリコンバレーより、よほど先進的だとか。

坪井 ロシアをはじめ、世界各国の優秀なエンジニアがベルリンに集結しています。ブロックチェーンやAIのラボもヨーロッパ全体で増えています。

中田 では、中国の次はヨーロッパですか?

坪井 付随して、アフリカの存在感も大きくなるでしょう。歴史上、ヨーロッパの影響が非常に強い地域ですから。

中田 ドイツは、植民地を多く持っていたフランスや英国と違って、アフリカへの影響力は小さそうですが……。

坪井 EU全体の一体感を高めて、アフリカに参画してくるでしょうね。

「製造業思考」から抜けられない日本

中田 翻って、日本はどうでしょうか?

坪井 中国やドイツと比較にならないですね。日本は、今後、国際競争の上位ランクから落ちるでしょう。

中田 バッサリですね! ドイツと同じく自動車で一時代を築いたのに、どこで差が?

坪井 過去の成功体験から抜けられなかったのが、最大の原因だと思います。

中田 一分野で大きくリードすると、挑戦者の側に回れなくなるわけですね。製造業での成功が災いしたわけですか。

坪井 現在もその呪縛から逃れられていない感があります。例えば、今、IT人材を育てようとしているでしょう?

中田 小学校でプログラミングを教える、などの動きがありますね。

坪井 その方法は間違っていると思うんです。IT産業において最も重要なのは情報コントロールやマネジメントの力であって、IT人材=プログラマではありません。プログラマを育てようというのは、いかにも製造業的な発想です。

中田 自ら発想し、イメージを広げていくような教育へ変わっていかなくては。

坪井 ですが、過去を捨てるのは難しいでしょう。いったん過去が徹底的に潰されれば、その後、まったく違うものを作り上げられるのですが、日本は敗戦までしても戦前との連続性を保った稀有な国ですから。

中田 連合国に占領されても、間接統治でしたからね。