(本記事は、秋畑誠の著書『楽算メソッドⓇ: 数式・図式で思い通りの人生を手に入れる法則』合同フォレストの中から一部を抜粋・編集しています)

「事実」−「当たり前基準」=「感じ方」

コップから水があふれる
(画像=taa22/Shutterstock.com)

先生 これを見てください。グラスの中に水が入っていますね。このグラスの水、多いと思いますか?それとも少ないと思いますか?

図3─1
(画像=楽算メソッドⓇ)

ミク あ、この話、知っています。同じものを見ても「こんなにある」と喜ぶ人と「これしかない」と不満を持つ人がいるって話ですよね。

先生 では、こうしたらどうでしょう?このグラスの水を、2lのペットボトルに移します。多いと感じますか?それとも、少ないと感じますか?

図3─2
(画像=楽算メソッドⓇ)

ミク ううん......、さすがに少ない......かな。

先生 じゃあ、このふたを開けて、バスタブにバシャバシャと入れたら、どうでしょう?

図3─3
(画像=楽算メソッドⓇ)

ミク もう、ほぼ空っぽですよね。「気の持ちよう」の限界を超えている気がします。

先生 そうです。でも、水の量としては同じです。

ミク まぁ、それはそうですけど......。

先生 グラスに入っていても、ペットボトルでも、バスタブでも、100mlという量は変わりません。同じ量だと知っているのに、少ないと感じてしまいます。これはなぜだと思いますか?

ミク それは、入れ物の大きさが変わったからじゃないですか?

先生 そうですね。これについて、引き算を使って説明していきます。

基準が変われば感じ方も変わる

ミク 引き算?

先生 「3:事実」-「2:当たり前基準」=「1:感じ方」という式で仕組みを説明します。今、コップの中に水が100ml入っています。この100mlというのは「3:事実」です。ここから、「2:当たり前基準」を引いていきます。

図 3 ─ 4
(画像=楽算メソッドⓇ)

ミク 当たり前基準?

先生 そうです。水の話で言えば、水を入れる容器の大きさが、この「当たり前基準」になります。当たり前基準が、200ml入るグラスなのか、2l入るペットボトルなのか、200l入るバスタブなのか。この当たり前基準から事実を見るから、その差分によって「1:感じ方」が変化してしまう。

図 3 ─ 5
(画像=楽算メソッドⓇ)

ミク ああ、なんとなく分かります。

先生 半分も入っていれば、まぁそれなりに入っている感じがあると思います。なので、このグラスの場合、基準は100mlぐらい。水の量から引き算すると、差は0ml。多くもなく、少なくもなくといった感じでしょうか。

ミク たしかに、多いとも少ないとも感じないかも。

先生 でも、同じ100mlの水を、容量2lのペットボトルに入れると、どうでしょう。このペットボトルの場合、当たり前基準は1l、つまり1000mlくらいですね。すると、「100ml-1000ml=-900ml」。こんなに足りないよ、という気持ちになります。

ミク たしかに、ちょっとしか入ってないと思いました。

先生 水の量自体は同じなのに感じ方が変わったのは、基準が変化したからです。さらにはバスタブにこの100mlを入れたら、どうでしょう?バスタブの半分は約100lだから、100000mlです。そこに100ml。こうなると、もはや入っていないに等しいくらいに感じてしまいます。

図 3 ─ 6
(画像=楽算メソッドⓇ)

ミク ほんと、そうですね。バスタブにそれっぽっちの水じゃ、意味ないです。

先生 でも、事実は変わりません。水の量は変わっていないのに、どのような基準でそれを捉えるかによって、満足したり、不満に思ったりしてしまう。

ミク じゃあ、多いと捉えるようになるのが正解ですか?

先生 多いと捉えることと、少ないと捉えること。どちらも正解とはいえないし、不正解ともいえません。また、どちらも正解でもあり、不正解でもあります。

ミク ん?結局どっちなんですか?

先生 感じ方に絶対はないんです。水100mlという事実は、絶対に少ないんだということはありません。小さな容器に入れれば、多く感じることもできる。でも、大きな容器に入れれば、少なく感じることもできる。

ミク うん、たしかにそうなんですけど......。

先生 主観で語られるようなものは、みんなそうです。形容詞というのは、基本的に主観で表現されます。「多い、少ない」「美しい、汚い」「すごい、しょぼい」。これらの形容詞は絶対的ものではなく、それぞれの持っている当たり前基準によって変わります。

楽算メソッドⓇ
秋畑 誠(あきはた・まこと)

1974年生まれ。1999年電気通信大学大学院修士課程修了。
同年ソニーへ入社。16年間エンジニアとしてオーディオ設計に携わる。
2010年、小学校4年生で受けた全国一斉知能テストが全国1位だったことを知り、自分では当たり前だと思っていた思考方法が特異(強み)であることに気づく。
その後、心身不調をきっかけに、モノづくりからヒトづくりへの転身を決意。
2016年、株式会社バランス&チューニングを設立。
世の中の法則をシンプルな算数で図式化した「楽算メソッドⓇ」を開発。
4年間、営業ゼロ・告知ゼロにもかかわらず、口コミだけで受講生が集まり続ける。分かりやすさと高い成果が評判となり、ソニーや富士通をはじめとする企業・団体から定期研修や講演の依頼が相次いでいる。

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