(本記事は、秋畑誠の著書『楽算メソッドⓇ: 数式・図式で思い通りの人生を手に入れる法則』合同フォレストの中から一部を抜粋・編集しています)
「座る向き」で成果が変わる
先生 仕事でも、「これは誰の責任だ」「何が悪い?」などと現在の評価や分析、過去の粗探しばかりしていたのでは、前に進みません。
ミク ああ、いつも会議はそんな感じです。
先生 でも、「今はこんな感じだけど、3年後はどうなっているかな?」「どこを目指したらいいかな?」という話をすると、「新しく〇〇のサービスを始めて......」「こんなにお客さんが増えて......」と会議も盛り上がります。みんなのベクトルが 同じ未来に向かい、どんどんエネルギーが満ちていくわけです。
ミク 同じ方向を向くことが大事なんですね。
先生 はい。カフェやレストランなどにあるカップルシート(図4─8)は、席が横並びになっていて、同じ方向を見て座ります。
ミク そういえば、そうですね。カップルなんだから、お互いの顔が見たいはずなのに。
先生 相対していると、お互いを批評したりぶつかったりする方向に話が向かいます。しかし、同じ方向を向いていると、和やかに会話が進みます。よく、忙しいビジネスマンが「タクシーの中で商談や打合せをするとうまくいく」と言いますが、 同じ方向を向くことで、建設的な話し合いがもてるのでしょう。
ミク 見つめ合ったほうがうまくいくと思っていたのに......。
先生 向かい合うというのは、敵対のポジションです。裁判では被告と原告の席が向かい合っていますが、これはまさに闘いを表しています。
ミク これからは、席の座り方に気をつけます。
先生 それがいいと思います。楽算アカデミーの受講生に、上司との評価面談のとき、向かい合わせでなく、L字に座るようにした方がいらっしゃいます。いい雰囲気で面談が進み、これまでで最高の評価をもらったそうです。
ミク それって、その人が仕事を頑張っただけじゃないですか?
先生 もちろんそれもあるかもしれませんが、席による効果も掛け合わさります。試しにミクさん、課長さんとの面談があったら、L字に座ってみて、どうなったか結果を教えてくだ さい。
ミク 分かりました。面談のときは私もL字か横並びで座ります。
似て非なる「仲間」と「同志」
ミク 友だちとうまくやっていく方法ってありますか?
先生 あんまりお友だちとうまくいってないんですか?
ミク そういうわけじゃないんですけど......。一緒に海外移住を目指している語学スクールの友だちがいて、その子たちと話すとすごく楽しいし刺激を受けるんです。
先生 海外移住! 素晴らしい目標があるんですね。頑張ってください。
ミク ありがとうございます。
先生 そのお友だちと何かあったんですか?
ミク いえ、そっちじゃないんです。会社の同僚のほうです。なんか、表面上のおつき合いっていうか、語学スクールの友だちみたいに何でも話せる感じじゃなくって。ちょっとモヤモヤしているんです。
先生 なるほど。それは、「仲間」と「同志」の違いを理解することで、解決できるかもしれません。「仲間」と「同志」って、同じようなものだと思うかもしれませんが、楽算メソッドでは「仲間」と「同志」を明確に違うものとして扱います。
ミク 何がどう違うんですか?
先生 「仲間」というのは「1:現在」が同じ人です。今、 同じグループに所属している、やっていることが同じ。これが仲間です。
ミク はぁ......。 先生 何を言いたいかと言うと、「見ている先はバラバラ」ということ。目標としている「3:未来」は違います。みんな違うところを見ている。たとえば、会社の同僚。現在、職場が一緒なので仲間です。でも、ある人は自分の出世だけを目指して仕事をしている。ある人は、お客様の「ありがとう」の言葉が嬉しくて働いている。また別のある人は、定年までの安定した収入があればいいと思って会社に来ている。てんでバラバラ です。
ミク ほんと、それです。みんな違います。
先生 こういう関係だと、転職した途端にサヨナラです。もしかすると、社内で異動になっただけで関係が終わってしまうかもしれません。こうなったら、また同じ職場にならない限り、関係は戻りません。これが「仲間」です。
ミク 社会人になってからの知り合いは、ほとんどそんな感じです。
先生 同じ組織の一員というだけのつながりです。かたや「同志」はというと、現在の仕事や職場はバラバラでいいんです。志を共にしていれば。
ミク 「志」ですか?なんだか、幕末の志士みたい。
先生 はい。松下村塾の志士は、まさにそうです。武士や町民など、さまざまな出自の人たちが集いましたが、志は一つ。
ミク でも私、「志」だなんてすごいものは持ち合わせていませんが。
先生 たしかに「志」というとちょっと構えてしまいますが、そう難しく考えなくて大丈夫です。楽算メソッド的にいえば「3:未来」です。同じ未来を共有している人が「同志」だと思ってください。
ミク 同じ未来を見ていれば、一緒にいなくてもいいんですか?
先生 はい。場所や職業、性別や年齢には捉われません。みんなが一つの未来を見据えている組織というのは、強いつながりを持ちます。「世界平和」のような大きな目標でもいいし、もっと身近なところで「売上30%増」でもいい。スポーツをやっているなら、「全国大会出場」とかでも構いません。その目標がなんであれ、同じ未来を見ている同志の結束は固くなります。
ミク 「仲間」と「同志」の違い、分かってきました。仲間より、同志のほうがいいんですよね?
先生 どちらがいいというものでもありません。仲間は仲間で、今の時間を共にするパートナーですし。ただ、ベクトルとしては、同志のほうが強くなります。
ミク これも、ベクトルなんですね。
先生 はい。仲間の場合、一人ひとりが見ている未来が違うので、ベクトルの向きが違います。それらを足し合わせると ......。
ミク 打ち消しあっちゃう?
先生 そうなるかもしれませんね。ところが、同志の場合、ベクトルの向きは同じ。それらを足し合わせると......。
ミク すごく大きくなりますね。
先生 そうなんです。同じ未来を描いている人たちが集まると、ものすごい成果を出すことができます。それが図4─10のように「①仲間であり同志でもある」ゾーンです。
ミク なるほど。
先生 ミクさんは、もしかしたら、仲間と同志がごっちゃになって、悩んでしまったのかもしれませんね。
ミク そうみたいです。モヤモヤがスッキリしました。ありがとうございます。
先生 職場でも同じ未来を共有できるといいですね!
1974年生まれ。1999年電気通信大学大学院修士課程修了。
同年ソニーへ入社。16年間エンジニアとしてオーディオ設計に携わる。
2010年、小学校4年生で受けた全国一斉知能テストが全国1位だったことを知り、自分では当たり前だと思っていた思考方法が特異(強み)であることに気づく。
その後、心身不調をきっかけに、モノづくりからヒトづくりへの転身を決意。
2016年、株式会社バランス&チューニングを設立。
世の中の法則をシンプルな算数で図式化した「楽算メソッドⓇ」を開発。
4年間、営業ゼロ・告知ゼロにもかかわらず、口コミだけで受講生が集まり続ける。分かりやすさと高い成果が評判となり、ソニーや富士通をはじめとする企業・団体から定期研修や講演の依頼が相次いでいる。
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