(本記事は、秋畑誠の著書『楽算メソッドⓇ: 数式・図式で思い通りの人生を手に入れる法則』合同フォレストの中から一部を抜粋・編集しています)

自分の評価を求める前に、まずは相手を評価する

人の評価
(画像=Davizro Photography/Shutterstock.com)

ミク Aさんは、上司がきちんと評価をしてくれたんですね。

先生 前向きな姿勢を崩さなかったところを、きちんと見てくれていた。

ミク でも、私みたいな普通の事務仕事だと、できて当たり前と思われているみたいなんですよね。

先生 そうですか?

ミク なんだか、ちゃんと評価されてない気がして......。

先生 なるほど。もし、自分が相手から評価をしてほしかったら、自分から相手を評価したほうがいいですよ。

ミク 自分から評価?どういうことですか?

先生 「うちの上司はちっとも評価してくれない」「自分はしっかりやっているんだから評価してほしい」というのは、「評価がほしい」「評価してくれ」という意識。つまり、自分への「イン」の気持ちです。

ミク たしかに、アウトかインかだったら、インっぽいですね。

先生 ではミクさんは、その上司に対してどんな意識を持っていますか?

ミク えっと......あんまりよく思ってないです。「もっとしっかりしてくれよ」みたいな。

先生 そう。「インが先」の意識を持っている人は、陰口をたたくことが多いんです。

ミク すみません。

先生 ミクさんに限らず、そういう人はたくさんいます。居酒屋で「あの部長はなってないから。俺が部長だったらこうするのに!」とかね。

ミク 私の場合は、ロッカールームやランチタイムですけどね。

先生 まぁ、そんな感じで愚痴を言っているわけです。上司に対してそんな評価をしているんだから、自分に対してもよい評価が返ってくるわけがないですね。

ミク これまた耳が痛いです。

先生 みんな「ほしい」「ほしい」というインの気持ちを持っていますが、評価してほしいなら、まず先に自分が相手を評価すればいいんです。相手を先に評価するということは、つまり「評価される」ということを与える、先にアウトするということです。

ミク 先に評価するんですか?

先生 そうです。こちらから先に評価してしまえば、巡り巡って「評価される」が戻ってきます。

図 2 ─ 4
(画像=楽算メソッドⓇ)

ミク でも、評価するなんて、上司の仕事じゃないですか?

先生 評価といっても、別に、上司の成績をつけるわけではありません。敬意をもって接するということです。上司のことを尊敬して、そういう意識で接している部下は、大抵きちんと評価されます。

ミク なるほど。たしかにそうかもしれない。

自分の発したものが後から必ず戻ってくる

先生 「なってない上司だな」といった意識で働いていると、「評価されない」が戻ってきます。すると、「もっと評価されていいはずだ」と、また悪いサイクルを起こしてしまう。

ミク なんかそれって、すごくイヤです。

先生 でもこれ、仕事に限った話ではないんです。恋愛、男女関係もそう。

ミク うわ、それってますます困ります。

先生 恋愛でもよくあります。「構ってほしい」「褒めてほしい」という。ひと昔前の「3高」なんて、まさにこれ。「高身長、高収入、高学歴の人、私のとこにやって来て!」と。

ミク いまや3高なんてのはバブル時代の伝説みたいな話ですけれど、でもやっぱり収入が高いに越したことは......。

先生 でもね、高収入でバリバリ稼いでいる男性とおつき合いするなら、自分からもそれ相応のものを与えられなければダメですよね。あなたはそんな相手に何を与えられますか?

ミク ううん......そう言われると、もう返す言葉がありません。

先生 素敵な相手に見合う魅力、あなたが相手に提供できる価値は何ですか?と聞くと、皆さん黙ってしまいます。相手に求める条件ならいくらでも出てきますが、これ、逆は難しいんです。

ミク はい。

先生 評価するというのも同じです。自分は相手を評価していないのに、相手から一方的に評価されるなんてありません。とはいえ、慣れていないと結構難しいものです。

ミク 課長のいいところ、見つけられるかなぁ......。

先生 先入観を取り除いて、素直に見てください。「こういう面もあるけれど、こういういいところもあるよね」という評価できる面に意識を向けましょう。

ミク ううん......会社に遅刻しない、とか?そんなことくらいしか見つかりません。

先生 まずは、そんなところからでもいいですよ。時間を守るというのは大切なことですし。こうして相手のよいところに意識を向け続けると、やっぱり自分にも評価される意識が戻ってくるんです。

ミク そうなんですね。じゃ、とりあえず明日から課長のこと褒めときます。

先生 それじゃ意味ないですよ。思ってもないことを言ってゴマをすっても、見抜かれてしまいますから。トレーニングだと思って、一つずつ、いいところを見つけていきましょう。そのうちに慣れてきて、どんな人が相手でも瞬時にいいところを見つけられるようになります。

ミク 分かりました。やってみます。

先生 いいところを見抜く力がつけば、これは一生モノの財産ですよ。評価すれば評価されるという巡りは、生活のあらゆる場面で起こってきますから。

ミク 本当ですか?

先生 ええ、本当ですよ。会社、家族、恋愛、あらゆる人間関係で有効なんです。

ミク それを聞いて、ヤル気が出てきました。頑張ります!

アウト貯金をしよう

貯金,増やす
(画像=Singkham /Shutterstock.com)

ミク 巡り巡って自分に返ってくるって言いましたけど、本当ですか?

先生 もちろん、本当ですよ。

ミク だって、挨拶しても無視されることがあるし。自分が課長を褒めたって、なんかあんまり評価してもらえる気がしないんですけど......。

先生 巡り巡って必ず返ってくるのですが、それがすぐに返ってくるとは限りません。

ミク 時間がかかるってことですか?

先生 はい。すぐに返ってくる場合もあれば、返ってくるまでに時間がかかることもあります。すぐに返ってこないからといって、諦めちゃダメですよ。「積陰徳」といって徳は必ず陰で積まれていますから。「情けは人のためならず」です。

ミク 徳が積まれる......ですか。でも、やっぱり早く返ってきてほしいです。

先生 「アウト→イン」は、すぐ目の前で返ってくる場合もあれば、数カ月後、数年後に返ってくることもあります。

図 2 ─ 5
(画像=楽算メソッドⓇ)

ミク 数年後だなんて、待てそうにありません。

先生 まぁ、そう言わずに、気長にチャレンジしてみてください。すぐ返ってくれば嬉しいし、なかなか返ってこないときは、貯金していると思って。

ミク 貯金ですか?

先生 要は、蓄積されるんです。徳のある行いが貯まって、それが一気に返ってきます。貯まったものが一気に返ってくるので、「なんか、すごいのが来たぞ!」という感じになります。徳が陰で積まれるというのは、善い行いにも悪い行いにも成り立つ法則なんです。「誰も見てないからいいや」と、こっそり何かやったとしたら、それも蓄積されてしまいます。

ミク それはそれで、やっぱり怖いです。

先生 行いが素晴らしい人は、いつか一気に飛躍します。

ミク じゃあ、私もこれから徳の貯金をしようと思います。

先生 いいですね。

ミク 挨拶をスルーされるとムカつきますが、それでも貯金されていると思えば、気持ちがおさまりますし。

先生 あ、そこは注意してください。無視されて、「なんだよー」みたいなイラッとする気持ちを出してしまうと、残念なことになってしまいますから。

ミク え、残念なことって何ですか?

先生 せっかく挨拶しても、イラッとした気持ちを出していたら、イラッとする出来事が返ってきちゃうんです。

ミク えー、そうなんですか?

先生 挨拶をしても返事がないときは、「きっと何か考え事をしていたんだろうな」とか、「今、忙しいのかな」くらいに思って、気にしないことです。

ミク なるほど。そうします。

先生 自分は気持よく「おはよう」と挨拶してるんだから、それだけでいいんです。すぐに戻ってこなくても、「今、貯まっているな」とニヤニヤしていればいい。

ミク 小銭がチャリン、チャリンって感じですね。

先生 そういうことです。

楽算メソッドⓇ
秋畑 誠(あきはた・まこと)

1974年生まれ。1999年電気通信大学大学院修士課程修了。
同年ソニーへ入社。16年間エンジニアとしてオーディオ設計に携わる。
2010年、小学校4年生で受けた全国一斉知能テストが全国1位だったことを知り、自分では当たり前だと思っていた思考方法が特異(強み)であることに気づく。
その後、心身不調をきっかけに、モノづくりからヒトづくりへの転身を決意。
2016年、株式会社バランス&チューニングを設立。
世の中の法則をシンプルな算数で図式化した「楽算メソッドⓇ」を開発。
4年間、営業ゼロ・告知ゼロにもかかわらず、口コミだけで受講生が集まり続ける。分かりやすさと高い成果が評判となり、ソニーや富士通をはじめとする企業・団体から定期研修や講演の依頼が相次いでいる。

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