(本記事は、阿比留 眞二氏の著書『紙1枚で仕事の課題はすべて解決する』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

ビジネスマン,楽しむ
(画像=PIXTA)

仕事のおもしろさは課題設定で決まる

課題を設定する意識があるかどうかで、仕事の結果は大きく変わります。

自分が何を求めているのか、そのためにどう動いていこうか、という意識があれば仕事は面白くなっていきます。

どんなレベルに仕上げようか、どう個性を出そうか、これを考えるだけで仕事への意欲は大きく変わるのです。

この仕事は、このパターンでこなしていけばいい、と決めつけてしまえば楽ですが、仕事は面白くありません。毎回同じような仕事をしていては、刺激がないから当然です。

自分はこの仕事に対してどんなレベルの結果を欲していて、どんな方法で達成するのかを考える人だけが結果を出します。

たとえば、私がコンサルを担当している企業さんに、営業職のAさんがいます。勤務して2年8カ月なので、もう少しでベテラン社員になります。

その会社の社長から「Aさんにもっと仕事ができるようになってほしい」という依頼で、コンサルを担当することになりました。

Aさんの上司はプレイングマネジャーで、忙しくてAさんを教育できないので、私に白羽の矢が立ったのです。

Aさんと話をしてみると、しっかりしていて仕事ができないというイメージではありませんでした。

しかし、Aさんは自分なりに頑張っているのですが、上司から仕事ができないとみなされています。

「そんなこともできないのか!」とよく言われるそうです。

私は、上司と部下の間で、すれ違いが発生していると感じました。上司が要求するものと、Aさんがやっていることに落差があると感じたのです。

無意識にできることが増えていく

そこで私は、Aさんに簡単な提案をしました。チェックリストをつくることを提案してみたのです。

仕事でチェックすべきことを10件挙げてもらい、自分がどれをやれていて、どれをやれていないのかを確認できるようにしてもらったのです。

使っているうちに、これがいつもやれていないから自分の評価が低いのだ、という項目があぶり出され、認識できるようになっていきました。つまり、上司が求める仕事のレベルがわかってきたのです。

上司は怒る、でもAさんはなぜ怒られているのかわからない。この状況を続けると、いつまで経っても評価されません。

このケースでは、シンプルに言ってしまえば、上司と自分との狙いをすり合わせることを課題とし、チェックリストを使うというアクションを考えたのです。

何と何をやればいいのか。そのあとは何を継続すればいいのかを明確にすることが大切です。

チェックリストを繰り返し使いながら仕事を進めると、上司が望んでいるやるべきことを意識することが習慣化されました。

繰り返していると、学習が進み、無意識にやれることが多くなり、今度はやれていないことだけに意識を集中すればいいようになります

つまり、意識しなければならないことが減っていくのです。そうすると、やれていない数件だけに集中すれば、仕事の質が上がり、上司との関係もうまくいくことになります。

私の狙いは、もちろん成果を出してもらうことでしたが、仕事を面白くしてもらうという狙いもありました。

自分で「やるべきことリスト」の項目をつくり、できたらチェックしていく。

自分で考えた行動を実行していくことは、少なくとも普段の仕事のやり方よりは面白いはずだと考えたのです。このように、課題を設定し、アクションを考えると、いろんな面でプラスの相乗効果が生まれてきます。

〝自分事になる〟から成果が出る!

問題設定ではなく、課題設定が大事です。それには理由があります。

課題設定をすることは、今、自分自身に起こっていることの原因分析をすることにつながるからです。

つまり、仕事なら自分が達成できていなかったり、人間関係やキャリアならうまくいっていない原因を知ることができるのです。

原因を知らずに前に進めるかというと、それはできません。自分事の課題を設定することではじめて、具体的なアクションを考え、実行することができるのです。

まずは、現状とそれが起きている原因を受け入れることです。

人は、自分なりに納得してからしか動き出せません。だからこそ、原因を突き止め、課題を設定し、行動するというサイクルを自分自身で回すしかないのです。

このサイクルを回しさえすればいいという意志が持てれば、現状を変えていくことができます。

問題設定をしてもなかなか人は具体的な行動を起こすことができません。自分事でなければ、何をすればいいのか、がわからないからです。

課題を設定することで、やるべきことが見えてきます。そして、自分に合った解決策を見つけることができます。

問題と課題の違いを知らない人は多いものです。

私は、真の問題解決は、一人ひとりが課題を設定し解決することが積み重なった結果だと考えています。

つまり、問題はひとりでは解決することができません。自分が何をすればいいのかが不明確だからです。

だからこそ、私は課題設定とその解決に意識を向けることが大切だと考えるのです。

紙1枚で仕事の課題はすべて解決する』
阿比留 眞二
課題解決コンサルタント。株式会社ビズソルネッツ代表取締役。
1954年、東京・中野生まれ。明治大学商学部卒業後、花王石鹸株式会社(現・花王株式会社)入社。以後、26年間、管理部門、販売・企画部門、社員教育部門などに配属され、そこで培った経験をもとに、独自のビジネス・メソッドを作り上げる。2005年、株式会社ビズソルネッツを立ち上げ、「課題解決コンサルタント」として、そのメソッドを駆使し、さまざまな企業の経営者から幹部・幹部候補社員、新入社員まで、14年間でのべ5000人を指導。著書に、ベストセラー『最高のリーダーは、チームの仕事をシンプルにする』(三笠書房)がある。

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