(本記事は、阿比留 眞二氏の著書『紙1枚で仕事の課題はすべて解決する』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)
時間をコントロールされる側から、する側へ
タイムマネジメントの研修依頼は、もちろん時間管理ができていない人が多いからです。残業時間が多いので減らす方法を指南してほしいというのが依頼の大きな理由です。
ただし、依頼者は、残業をしていたとしてもそれが成果・実績につながるのなら問題はないとおっしゃっていました。単に残業代を出すことが惜しいわけではないのです。
私は、研修生たちと残業の根本理由を探しました。皆仕事をサボっているから残業しているのではないことは明白です。
残業の原因は、自分で時間をコントロールできていなかったからなのです。多くの場合、他者から協力を求められたり、任される仕事のせいで、自分がそれまでやっている仕事を定時までに終わらせられないことがわかりました。
組織なので、会社のために自分以外の人から依頼される仕事もやらなければいけないことはあります。
しかし、その仕事が入ったとしても、定時に終われる時間割をつくるべきなのです。
もしくは、自分にはこれ以上手に負えないということを、早目早目に、上に伝え、応援を求めるなどの必要があったのです。これも、自分で時間を管理していなければ、自分に余裕があるのかないのかすらもわかりません。この仕事はどのくらいで終わるのか、ということをイメージしていなければ、時間割は組めません。
社会人は、自分で時間をコントロールすることが何より大事です。
長い時間働くからいい成果が出るわけではありません。成果が出るような時間の使い方をするから意味があるのです。
時間をムダにする3つの理由
生産性の向上が叫ばれているため、時間の大切さは誰もが認識しています。しかし、時間を大切にできない。
「時間が足りない」「定時に帰れない」
こういう人は多いものです。
これは、なぜなのでしょうか? それには、3つの理由があります。
- 何をするのか、あいまいな時間がある
- タイムマネジメントとはTO DOリストだと思っている
- この仕事はいつやるべきなのかを認識していない
何をやるのかがわかっていなければ、それは確実に時間のロスにつながります。何から始めようかな、というような迷いの時間はムダです。また、何をするのかを決めていなければ、仕事に一気に集中することもできないでしょう。
時間のマネジメント法を知らないということもあります。人は仕事をTO DOリストで管理します。実はこれすらやらない人も多いのです。
しかし、TO DOリストは、やることを決めてはいますが、時間まで管理できているとは言えません。
また、自分が抱えている仕事を意識して把握し、この仕事はいつやるのか、ということをしっかり決めている人も少ないものです。
これでは、なかなか成果の出る時間の使い方はできません。
時間割で「あいまいさ」をなくす
時間は意識して管理しなければ、気がついたら過ぎ去っていたという状況になります。
目的のない時間を過ごしている人に、生産性の高い仕事はできません。「この時間にはこれをやる」という決断をしておかなければ、仕事は中途半端な出来になってしまいます。
タイムマネジメントができない大きな理由が、「あいまいな時間」を持っているからです。
仕事は、「何時に何をやるか」が明確でなければなりません。多少のズレは起こるかもしれませんが、目標を持つべきです。
タイムマネジメントがうまくいかない人は、仕事の時間割というものがないのです。
自発的に時間割をつくって動かなければ、会社から頼まれたことをただやるだけになります。
これでは、こなす状況になり、仕事の質も上がりません。主体的に仕事に向かうからこそ、成果は出るのです。
「この時間にはこれをやる」と決め、成果を期待して行なうと、集中力は高まります。
目標もなくただやる仕事は、時間がかかったわりには成果は低いのです。
なんとなく仕事をする、ということは避けるべきです。集中もできませんし、つらいだけです。
あいまいな時間を捨て、やることを明確にする意識を持ってください。