(本記事は、星子尚美氏の著書「腸のことだけ考える」ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

運動
(画像=PIXTA)

運動で腸をきれいにする

自家用車やバス・電車、エレベーターやエスカレーターなどの移動手段の普及、家電の充実により、私たちの生活は便利になりました。しかし、そのために現代人の生活は意識的にカラダを動かさないと運動不足になりがちです。過度な運動は活性酸素を大量に発生させてカラダの老化を促すことになるのであまり良くありませんが、運動不足もそれはそれで問題です。腸が汚れる大きな原因にもなります。

適度な運動で汗をかくことは、腸の大敵であるストレスの解消にもなります。また、便や尿から排出しきれなかった有害なミネラルをカラダの外に追い出す有効なデトックスにもなります。

ただし、短時間の激しい運動で一気にドッと汗をかくのは、体内に必要なミネラルも同時に失うことになってしまうのでおすすめできません。適度なウォーキングやランニングなどの有酸素運動でじんわり汗をかくほうが健康的です。なるべく「ゆっくり、マイペース」な運動を心がけ、それを習慣化するようにしましう。

「運動」と聞いただけで敬遠される方がいるかもしれませんが、それほど大げさにとらえることもありません。運動の習慣と言っても、なにも特別なことをしなくてもいいのです。

  • 歩くときはいつもより少し大きく手を振り、歩く速度を上げてみる
  • 最寄り駅のひとつ手前の駅で降りて、歩いてみる
  • エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を積極的に使う
  • 電車の中では座らずに、なるべく立って過ごす
  • あえて坂道のあるルートを選んで歩いてみる
  • 立っているときは、つま先立ちをする
  • 買い物に行くときは、電車やバスを使わず徒歩で行く
  • 拭き掃除や庭仕事など、比較的動作の大きい家事を積極的に行う

この程度でいいのです。普段の生活のなかでこれらを意識して行動するだけでも、筋肉の衰えを防げます。理想を言うなら、やはりじんわりと汗をかく程度の運動習慣があったほうがいいのですが、汗をかくこと自体はお風呂などでも可能です。ハードルを上げて三日坊主で終わるよりは無理なく継続できるほうを選びましょう。腸をきれいにするには、食事内容にしろ、規則正しい生活習慣にしろ「継続」が一番大切です。

お風呂でデトックス

最近では、お風呂をシャワーでサッと済ませてしまう方が多くいます。

朝の寝起きならむしろ42℃くらいの熱いシャワーを浴びることで交感神経を優位にして、シャキッと目を覚ますことができるので良いと思います。しかし、夜はぬるめのお湯にゆっくりつかることをおすすめします。

39〜40℃前後のお湯でカラダをじっくり温めて副交感神経を優位にすると、その後の就寝時に心地よい安らかな睡眠を得ることができます。暑い夏場は特に「シャワーだけ」派の方が増えるかもしれませんが、夏こそ冷房でカラダが芯から冷え切っています。なので、ぜひシャワーから湯船につかる習慣に切り替えてください。

お風呂の入り方としては、できれば就寝時間の2時間前までに、39〜40℃くらいのお湯で20〜30分ほどじっくり半身浴をするのがおすすめです。カラダを温めるだけでなく、有害ミネラルを体外に追い出してくれる「しっとり汗」が出てきます。それに加えて、汗腺の機能も活発になり、よい汗をかきやすい体質に近づきます。

反対に42℃くらいのお湯だと、心臓に負担がかかるので注意してください。一気に大量の汗をかくことになるのでデトックス効果もいまひとつです。

同じようにサウナを利用する場合でも、低温サウナでじっくりとカラダを温めるようにしましょう。熱すぎて5分といられないような高温サウナは、かえってカラダに負担がかかり、疲労がどっと蓄積されるので、おすすめできません。こちらも一気に大量の汗をかくことになるのでデトックス効果はイマイチです。

ちなみに、体内の有害ミネラルは、次の図のような割合で体外に排出されます。「汗はたった3%なのか」と思われるかもしれませんが、便や尿から排出しきれなかった有害ミネラルを外に追い出すことができるので、あなどるべからず。一方、便の排泄を司る腸のデトックス能力のすごさもおわかりいただけたかと思います。

私たちのカラダは、腸をはじめとする組織が十分に機能していれば、多少有害なものが体内に入ってきてもしっかりと排除することができるということです。

腸のことだけ考える
(画像=腸のことだけ考える)

良質な睡眠を得るために

「寝る子は育つ」の言葉通り、健全なカラダをつくるうえで睡眠は欠かせません。腸をきれいにするためにも良質な睡眠が必要です。

睡眠時には、眠っているときにのみ生成される成長ホルモンが分泌され、代謝を良くしたり、筋肉を増強したり、体温の恒常性を保ったりしてくれます。私たちのカラダのデトックスやメンテナンスを行うための大切な時間なのです。また、脳は眠りによってリセットされ、ストレスからも解放されます。しかし、睡眠不足になったり、睡眠の質が悪かったりすると、そうしたすばらしい機能も低下してしまいます。

心身をリラックスさせて質の良い睡眠を得るためには、次のことを試してみてください。自分に合ったやり方を組み合わせて、毎日の入眠の儀式にすることをおすすめします。


●消化に良いものを食べる
●夕食は寝る2〜3時間前までに終わらせる
●寝酒をしない
●布団に入る2時間前までにぬるめのお風呂に入る
●夜のお風呂は39〜40℃のぬるめのお湯で20〜30分程度の半身浴をする
●寝る直前の1時間はパソコン、スマホ等の使用を控え、照明を落として部屋を暗くする
●カモミール、ベルガモット、ラベンダーなどリラックス効果のあるアロマを寝室で焚(た)く
●静かなクラシック音楽など、耳に心地よく自然に眠りに誘われる音楽を流す
●寝る前に布団の上であぐらをかき、目を閉じてゆっくり深呼吸し、5分間瞑想する
●布団に入る前にストレッチをする

一日に必要な睡眠時間は、年齢や体質、その日の疲れ具合などで大きく異なります。平均的な睡眠時間は成人でおよそ6〜7.5時間と言われますが、あくまで参考程度にとどめ、自分に必要な睡眠時間を維持しましょう。

ただし、夜の22時から深夜2時くらいにかけては、カラダに必要な各種ホルモンが分泌される時間帯なので、この時間には眠りについているようにしたいものです。

22時に眠りにつくのは、現代人にとってはなかなか難しいことかもしれませんが、生体リズムを整えて基礎代謝を高めるためにも、少なくとも日付が変わらないうちには布団に入るようにしてください。

その際、眠る直前まで明るい照明をつけていたり、パソコンの画面を見ていたり、布団のなかでスマートフォンを眺めたりするのはやめましょう。目と脳が刺激されて、寝つきの悪さの原因になります。

「ワイン1杯だけなら……」と寝酒を習慣にしている人もいるかもしれませんが、最近発表された研究結果によると、アルコール摂取直後に寝ると睡眠を妨げる脳波が出ることが確認され、昼間のイライラや頭痛などに関連するとも言われています。ごくたまに少量をたしなむ程度ならよいのですが、普段は控えたほうがいいでしょう。

快適な眠りのためには、布団・枕などの寝具にも気を配りましょう。朝起きたときに腰の痛みを感じるときには、マットレスを買い替えたほうがいいかもしれません。肩こりや首の痛みを感じるときは、枕の具合をチェックして高さを調整します。睡眠中にじっとり汗をかいたり、肌寒さを感じたりするようなら、肌着やパジャマを見直して体温調節します。

腸のことだけ考える』
星子尚美(ほしこ なおみ)
星子クリニック院長・医学博士。昭和31年生まれ。昭和57年、東京女子医科大学医学部卒業。昭和63年、熊本大学医学部大学院修了。医学博士号取得。放射線科專門医取得。平成5年、産業医取得。平成11年、健康スポーツ医取得。平成18年、日本臨床抗老化医学会認定医取得。アロマコーディネーターライセンス取得。米国ISNF公式認定サプリメントアドバイザー取得。平成21年、キレーション点滴専門医取得。ビタミンミネラルアドバイザー取得。高濃度ビタミンC点滴療法専門医取得。アンチエイジング統合医療認定医取得。平成26年、東久邇宮国際文化褒賞授賞(予防医学に貢献した等)。アーユルヴェーダハーブ専門医取得。大病を患い2回も九死に一生を得たことから、医師として自分が知り得た知識を伝えることが使命と考え、正しい医療とは何かを探求する。全人的医療を目指した自由診療のみの代替医療のクリニックを開業。がん、生活習慣病などの難病に苦しむ患者の治療と予防医療を行っている。食事療法をはじめとし、腸内洗浄や便移植などの最先端医療を駆使し、患者に優しい、カラダに優しい検査治療を行う。一般的な病院やクリニックとは一線を画すスタイルで治療を行っている。著書に『「平熱37℃」で病気知らずの体をつくる』(幻冬舎)、『病気がどんどんよくなる「腸のお掃除」のやり方―「食べる水素」で腸をキレイに保つ』(ナショナル出版)など。

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