相手をリスペクトしつつ事実で対抗する準備を

山本氏はれいわ新選組を旗揚げする前、小沢一郎氏と自由党を結党した。自由党には、法案に対して議員の賛否を強制する党議拘束がなく、各議員が個性を発揮できる自由さがあった。

しかし、国民民主党との合同会派に合流すると、会派としての一体感が重要視され、組織の論理が山本氏の行く手を阻んだ。

「2018年、参議院での最後の年に、会派を代表して国会で質問する機会を得ました。私はそこで、『消費税5%で野党は結束すべきだ』と主張するつもりでした。

しかし、私の代表質問に、会派から指導が入りました。消費税減税や廃止は絶対に言ってはいけないことだと。なぜなら、消費税を引き上げてきたのは、他でもない民主党だからです。そのとき、〝組織のしがらみ〟に初めて直面しました」

それでも山本氏は引き下がらず、結局、国会では自身の主張を述べた。どうやって考え方の違いを乗り越えたのだろうか。

「議員歴や経験で比べれば、1期目の参議院議員である私と相手では、立場に圧倒的な違いがあります。ですから、相手をリスペクトしつつ、相手の主張に対して事実で対抗できる準備をして話し合いに望みました。『このやり方では、デフレを克服できない。だから、私はこうすべきだと思う』と。

そのうち、こちらを議論で打ち負かせないとわかると、『好きにしたらいい』と了解をいただきました。こちらの理論と熱意に心が動かされたのか、面倒くさくなったのかはわかりませんが(笑)」

そんな山本氏も、議員になりりたての頃は、国会質疑で大臣に相手にもしてもらえず、悔しい思いをしたという。

「専門性の高い人に勉強不足と思われてしまうと、そこから議論を深めるには時間がかかります。でも、『よく調べてきたな』と思わせれば、議論が平行線でも、相手を動かせる可能性はあるかもしれません」