1 はじめに
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、政府全体として必要な対策を講じられています。これに伴い、国税庁としても、感染拡大を防止するために外出を自粛するなどによって期限内に申告することが困難であった人について納税を猶予するなど、柔軟な対応をしています。例えば、個人の所得税等の申告期限については、3月16日から4月16日まで一律に延長されました。
そこで、税務調査については、どのような方針が採られるのかについて、以下で簡単に説明いたします。
2 助成金のうち非課税とされるもの
まず、税務調査とは、国税局や税務署の職員が納税者の事務所や事業所等に赴き、申告内容の確認などを目的として国税通則法に基づく質問検査権を任意に行使し、申告内容が正しいかどうかを帳簿などで確認し、申告内容に誤りが認められた場合や、申告をする義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には、是正を求めるものです。
税務調査手続きの流れを簡単に説明すると、次のようになります。
3 コロナ禍における国税庁の税務調査の方針
では、この税務調査は、新型コロナ禍において、どのような対応となっているのでしょうか。
個人の所得税等の申告期限が3月16日から4月16日まで一律に延長されましたが、この間については、「真に必要なものを除いて原則として新規の税務調査はしない」というのが国税庁の方針でした。
4月17日以降も、国税庁の基本的な方針は大きく変更されないようですが、現状を踏まえて、国税庁から全国の税務署に対し、その基本方針について改めて周知されているようです。
当面の税務調査の方針は以下になります。
〇納税者から口頭等で明確に同意が得られた場合には税務調査をする。
〇納税者の状況を十分に考慮した上で対応する。
〇所得税だけではなく、法人税、消費税、相続税等における税務調査でも同様の対応をする。
5月14日には、39府県の緊急事態宣言が解除され、残りの1都3県と北海道についても、5月25日に緊急事態宣言が解除されました。
緊急事態宣言が解除された後においても、個々の状況によっては、申告期限を個別に延長するということが考えられます。そこで、税務署から、税務調査の事前通知を受けた場合には、申告期限の延長をしている個別の事情を説明できるように備えておくことが必要となります。
現在、全国的に緊急事態宣言は解除されていますが、国税局は、6月、7月が定期人事異動の時期となることから、コロナ禍発生前のような税務調査の規模や量に急に戻るということは考えにくいと思われます。
また、今後、新型コロナウイルス感染症の第二波第三波により、緊急事態宣言が発せられる地域と緊急事態宣言が発せられない地域が生じる可能性があります。この場合、その地域によって税務調査の方針が異なる可能性もありうるところですが、いずれにしても、納税者の状況に十分に配慮した上で税務調査が進められるようです。
4 終わりに
以上が国税庁の基本的な方針ですが、今後、新型コロナウイルス感染症の発生状況によって対応が変わってくる可能性も否定できないところですので、国税庁の動きを引き続き見守っていくことが必要となりそうです。
(提供:チェスターNEWS)