新型コロナウイルスは、経済に大きなダメージを与えている。外出自粛や国、自治体による休業要請などにより、多くの企業の株価は下落した。しかし、そのような状況にあっても、いくつかの企業は株価を上昇させている。では、株価を上昇させている企業は、どのような企業でその理由は何なのだろうか。
ここでは、新型コロナウイルスによる株価への影響やウィズコロナ、アフターコロナで業績を伸ばす企業について見ていこう。
新型コロナウイルスで多くの企業の株価は下がった
新型コロナウイルスの感染拡大により日本企業の経営状況は大きな影響を受けている。日経平均株価を見ても、2020年1月6日の大引は2万3,204円86銭だった株価が、新型コロナウイルスの影響が出始めた2月下旬ごろから下落が始まり、3月19日には年初来安値となる1万6,358円19銭(場中)にまで落ち込んだ。
4月に入って株価は持ち直し、5月に入ってからは1万9,000円台~2万円台を行き来している。しかし、新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向となった5月になっても、日本全体で企業の株価は新型コロナウイルス流行前の価値まで持ち直すことはできていない。現在第2波の到来が予期されているが、もしこれが続けばさらに下落傾向が続くことが予想される。
日本全体で企業の株価は下落傾向にあるが、その中でも特に値を落としているのは以下のような業種や企業だ。
- サービス業
- 観光業
- 原油関連企業
- インバウンドや外出自粛の影響がある企業
- 工場の稼働停止などの影響を受けた企業
例えばサービス業では、企業のセールスプロモーションやブランディングサービスを手掛ける「エードット<7063>」では、3月2日に3,515円だった株価が5月1日には2,150円となり、5月1日における騰落率はマイナス38.8%となった。
スポーツ人財採用支援事業を行うスポーツフィールド<7080>や旅行業を行うベストワンドットコム<6577>なども、3月2日と比較して5月1日における騰落率は約25%を超えるマイナスを記録するなど、サービス業全体の株価は下落している。
また、「野村原油」「WTI原油」など原油関係の連動型上場投信などでも、3月2日と5月1日の株価を比較すると、5月1日における騰落率は70%を超えるマイナスとなっており、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた結果となった。このほか、不動産業の株式も40~60%のマイナスの騰落率となる企業が出てきており注意が必要だ。
新型コロナの影響があっても株価が堅調な企業はある
新型コロナウイルスで株価が下落する企業がある一方、業種によっては、新型コロナの影響があっても株価が堅調な企業もある。例えば、以下のような新型コロナウイルスの対策に必要な銘柄だ。
- テレワーク関連銘柄
- ドラッグストア銘柄
- 医薬品関係銘柄
- 健康や衛生管理関連銘柄
- 巣ごもり消費関連銘柄など
テレワークに必要な技術を提供しているブイキューブ<3681>では、2020年2月14日には年初来安値となる495円(場中)だった株価が、同年4月1日には年初来高値となる約3倍の1,440円まで上昇している。マスク素材大手の川本産業<3604>では、2020年1月15日の株価は533円(大引)であったが、同年1月31日には、3,795円という高値を付けた。
このほかにもスマホゲームや電子コミックなど、巣ごもり消費関連銘柄の株価が堅調な傾向だ。このように新型コロナウイルスが流行している間は、新型コロナウイルスによる国民全体の行動変動にマッチした企業の株価が堅調となっており、新型コロナウイルスが終息するまでこの傾向は続くと予想される。
コロナ後に株価が上昇する企業とは?
新型コロナウイルスが終息しても、企業の株価は「堅調が続く企業」「株価が下落する企業」「終息と共に株価が上昇する企業」の3つに分かれるだろう。
堅調が続く企業
新型コロナウイルスが終息しても堅調が続く企業とは、テレワークに関係するIT関係の株価やパソコン、PC用品の製造販売などを行っている企業の銘柄だ。新型コロナウイルスは、国民や企業に外出自粛や在宅勤務、外出自粛などさまざまな行動変容を生じさせる結果となった。コロナ後も国民や企業の巣ごもり消費の増加や在宅勤務などの行動変容は続くと考えられる。そのため、これらの企業の株価は、コロナ後も堅調だろう。
株価が下落する企業
一方新型コロナウイルスが終息すると株価が下落すると考えられる企業は、マスクや防護服、消毒薬などコロナ特需となっている企業だ。実際、マスクの供給は回復しつつあり、市場価格もかなり落ち着いてきている。今後、需要と供給のバランスがとれるようになれば株価の上昇も落ち着いてくるだろう。
終息と共に株価が上昇する企業
また、新型コロナウイルスの終息と共に株価が上昇する企業としては、観光業やサービス業が挙げられる。新型コロナウイルスによる自粛の反動や政府の景気回復の施策により、観光業やサービス業の株価は持ち直すだろう。ただし、コロナ禍以前の水準までインバウンドが回復した場合や外出自粛が解除された場合の話だ。万一新型コロナウイルスが終息と蔓延を繰り返し、インバウンドが回復しなかったり外出自粛が繰り返し行われたりした場合には、低迷が続くことも考えられる。
今後も株式市場の動きに注目
コロナ後の企業の株価がどうなるのかは、新型コロナウイルスの蔓延がいつまで続くかによって大きく異なってくるだろう。大事なのは、常に状況を予測し株価の変動の兆しが見えたらすぐに動けるよう、株式市場の動きを注視しておくことである。(提供:THE OWNER)
文・THE OWNER編集部