(本記事は、原 マサヒコ氏の著書『入社1年目の心得』総合法令出版の中から一部を抜粋・編集しています)

挨拶
(画像=PIXTA)

入社1年目の最強の武器とは

とにかく挨拶をしよう

会社に入ってすぐは歳も一番下で、仕事も一番知らない立場で、「まだ何も力を発揮できない」と思うかも知れません。しかし、「新入社員だからこその武器」というものがあります。それは「元気である」ということです。皮肉な話ですが、社会に出ると多くの人が疲れてしまいます。今まで通りのやり方で仕事をしながら量ばかりをこなし、疲労してしまう。そんな中、新入社員というのはスポーツの試合で言えば途中から投入された交代選手のようにフレッシュです。ですから、元気よく挨拶をしたり、礼儀正しくお辞儀をしたりするだけで良いのです。

「それだけ?」「単純すぎる」と思うかも知れませんが、挨拶というのは非常に重要な動きと言えます。元気な挨拶が社内を活気づけることにつながります。会社組織にフレッシュな空気が入ってくること自体に意味があるのです。会社としても新入社員にいきなり「案件を獲得してほしい」などという無理な期待はしておらず、「職場が明るくなる」などを期待している人が多いものです。

しかし、最近は「挨拶をしない新入社員が多い」と嘆く上司が増えていると聞きます。なぜ挨拶をするという行為ができないのでしょうか。知人の若手社員などに話を聞くと「挨拶をしたところで仕事ができるようになるわけじゃないですよね」という冷めた意見をいくつか耳にしました。今の若者っぽい意見だとも思いますが、まさにそこが「違う」と言いたい部分です。挨拶は「今すぐに結果を出すことができない新人だからこそやるべきこと」であり、仕事にすぐに直結するわけではありませんが、巡り巡って仕事に影響してくるものなのです。ただ、中には「挨拶をしたけど無視された。怖くてもうしたくない」という人もいました。よっぽどの理由がない限り、これはその上司の責任と言えるでしょう。しかし、たとえ無視されたとしても挨拶をし続けるというのが正しい動きではあるのです。

挨拶をすることで何が起きるか

では、挨拶がどう仕事に影響するかという例を挙げてみましょう。実際に聞いたことのある話ですが、ある企業で「エース部署」と呼ばれる部署がありました。そこにはベテランの優秀な営業パーソンたちが所属しており、成果を挙げ続けて、会社を引っ張っていくような存在の部署でした。ある時、その部署に引き抜かれた新人がいました。その新人はまだ何も成果を挙げていません。そこで引き抜きをした部署のリーダーに「なぜあの新人を引き抜いたのですか?」と聞くと、「会社のロビーでいつも元気よく挨拶をしてくれるから」ということだったのです。

ここもひとつのポイントですが、挨拶というのは同僚や直属の上司だけでなく「誰にでも挨拶をする」ということが重要です。自分が所属している部の部長や課長だけでなく、ほかの部課長には挨拶をしていますか? ビルの掃除のおばさんや守衛のおじさんには挨拶をしていますか? たまに、自分の上司にはヘコヘコするけれど、利害関係のない人にはまったく見向きもしないという人がいますが、見る人は見ています。「ああ、そういう人なんだ」と影で思われてしまうことでしょう。

昔、こんな番組がありました。社長が〝覆面清掃員〟になって自分の会社に潜入すると、優秀な社員とそうでない社員がよくわかるというものです。優秀な社員は、清掃員にもしっかり挨拶をし、誰に対しても同じように接していることがわかったというのです。子どもの頃は誰に対しても元気よく挨拶をしていたはずです。そういった姿勢を忘れることなく、オフィス内の誰にでも同じように元気よく挨拶をしていきましょう。

また、現代では「ネットで自分のことを発信することが大事だ」とよく言われます。SNSが発達していますので、Twitter上で面白いことをやろうとしたり、著名人に絡んでいったりする人もいるでしょう。もちろん、個の時代なのでSNSを駆使することは大事です。しかし、社会人として一番大事な「発信」は、まず目の前の人にしっかりと挨拶ができることです。どんなインフルエンサーであろうが、どんな有名人であろうが、この点は必ず押さえているはずです。

入社1年目の心得
原 マサヒコ
プラス・ドライブ株式会社 代表取締役。1996年、神奈川トヨタ自動車株式会社に現場メカニックとして入社。5000台もの自動車修理に携わりながらも、技術力を競う「技能オリンピック」で最年少優勝に輝く。さらに、カイゼンのアイデアを競う「アイデアツールコンテスト」でも2年連続全国大会出場を果たすなど活躍。活動の場をIT業界に変えると、PCサポートを担当したデルコンピュータでは「5年連続顧客満足度NO.1」に貢献。インターネットベンチャーや1年間のニート、フリーランスなどの経験を経て2015年にライティングに特化した会社を設立し、現在は多くのクライアント先に対して付加価値を提供している。また、全国から講演依頼を年間で50回以上受け、「トヨタの現場ノウハウ」や「若手のキャリア構築」について講演することをライフワークとしている。著書に、『人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた』(経済界)、『どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力』(ダイヤモンド社)、『Action!トヨタの現場の「やりきる力」』(プレジデント社)などがある。

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