ビットコインについて「暗号資産(仮想通貨)の1つ」というイメージはあっても、具体的には知らないという人は多い。今回は、ビジネスマン向けに、ビットコインについて要点をまとめてわかりやすく解説する。

ビットコインについて基本的な知識を押さえておきたい人は、ぜひ参考にしてほしい。

ビットコインは暗号資産(仮想通貨)の1つ

暗号通貨,税金
(画像=月刊暗号資産)

ビットコインは暗号資産(仮想通貨)の代表格ともいえる存在だ。紙幣や硬貨といった実体を持たず、インターネットを通じて取引されている。ビットコインというと、投資をイメージするかもしれないが、決済に使ったり、海外に送金したりすることもできる。

仮想通貨は現在1,000種類以上存在するといわれており、その中でもビットコインは圧倒的な知名度を誇っている。ビットコインの他に有名な暗号資産(仮想通貨)として、イーサリアムやリップルなどが挙げられる。

仮想通貨は、法律上は「暗号資産」と呼ばれている。最初に法律に登場した際には、仮想通貨と呼ばれていたが、G20など国際社会で暗号資産と呼ばれることが増えたことから、2020年の法改正で暗号資産に統一された。暗号資産は通貨に限らず、インターネット上で価値を持つ財産を指す言葉だ。

ビットコインを作った謎の人物とは?ビットコインの歴史

ここで改めてビットコインの歴史について振り返ってみよう。

2008年10月、サトシ・ナカモトという人物が、インターネット上にビットコインに関する論文を公開した。論文は英語で書かれており、サトシ・ナカモトが日本人なのか外国人なのか、個人なのか本名なのか、すべては謎に包まれており、現在も正体はわかっていない。

論文が公開された3ヵ月後の2009年1月には、ビットコインのソフトウェアが公開され、運用が開始された。また、2010年にはビットコインを両替できる取引所が設立されている。2010年に「ビットコイン・ピザ・デー」というできごとが起こる。ラズロ・ハニエツ氏が、1万BTCで25ドル相当のピザ2枚を購入したのだ。実体がなくインターネット上にしか存在しない通貨が、実体を持つモノと交換された歴史的な瞬間だった。

1ドルを107円とすると25ドルは2,682円となり、1BTCは0.26円だったということになる。その後、ビットコインは値上がりを続け、2018年には1BTCが200万円を超えた。当時ピザを購入した金額をそのまま保有しておけば、200億円の資産を築けた可能性があるということだ。

2020年6月15日現在、1BTCは約100万円、ビットコインの時価総額は約1,731億8,179万ドル だ。一時期に比べれば値下がりしているものの、登場から10年と少しでここまで知名度・時価総額ともに上がったことを考えれば、ビットコインが大きな可能性を秘めていることがわかるだろう。

暗号資産(仮想通貨)の仕組みを簡単に解説

続いて、少々抽象的になるが、暗号資産(仮想通貨)についてさらに詳しく解説する。

ビットコインをはじめ多くの暗号資産(仮想通貨)では、ブロックチェーン技術が活用されている。ブロックチェーンは分散型台帳と呼ばれており、取引データは複数のコンピュータに分散して保存されている。また、保存する過程で暗号化されるため、データ改ざんが実質的に不可能といわれている。

実際に、ビットコインが登場してから約10年の間、ブロックチェーンに支えられた暗号資産(仮想通貨)の仕組みそのものは一度も破られていない。

日本円や米国ドルなどの法定通貨には中央銀行が存在し、金融機関が管理者の役割を担っている。しかしブロックチェーンには、発行主体も管理者も存在しない。取引データはすべて公開されており、ユーザー同士がシステムを支えている。

ビットコインでできる3つのこと

ビットコインの使い方は、主に決済・送金・投資の3種類だ。

決済については、商品を購入したり、サービスを受けたりする時に、ビットコインを使うことができることを意味する。しかし、ビットコインで決済するには、企業が決済システムを導入している必要がある。

現在、大手家電量販店をはじめ、いくつかの企業がビットコインによる決済を導入している。しかし、クレジットカードや電子マネーと比較すると、まだまだ使用できる企業は少ないのが現状だ。

続いて送金についてだが、国際送金(海外送金)でビットコインを利用するメリットは大きい。銀行で手続きするよりもはるかに少ない労力と手数料で、簡単かつスピーディに海外へと送金ができる。もちろん国内における送金でビットコインを利用することも可能だ。

投資については、いくつかの方法があるが、ポピュラーなのはビットコインを購入し、値上がりしたタイミングで売却する方法だ。ビットコインは価格変動が大きいため、タイミングをみはからうことが重要になる。

場合によっては大きなリターンを狙える一方で、損をしてしまうリスクがあることには注意しておきたい。

ビットコインの2つのメリット

続いて、ビットコインのメリットを2つ紹介する。

●ビットコインのメリット1.手数料が安い

お金を移動させるとき、負担になるのが手数料だ。

銀行をはじめ、金融機関を利用した従来の送金方法だと、手数料が発生する。海外送金の場合は、最低でも数千円の手数料がかかる。また、受取に数日かかることや、手続きが面倒なことなど、利用者にとって不便なことが多かった。

しかしビットコインであれば、送金手数料は無料もしくは格安となる。数十円程度の手数料で送金が可能で、数十分程度で資金が移動する。送金の際に、手数料を安くすませたい、タイムラグをなくしたいと思った経験は誰しもあるだろう。

インターネット上の通貨ならではの低コストとスピード感が、ビットコインを送金で利用する大きなメリットだ。

●ビットコインのメリット2.両替が必要ない

海外旅行や海外出張によく行くなら、両替を負担に感じる人は多いだろう。クレジットカードを利用するにしても、場所によってはクレジットカードが使えない可能性があるため、多少は現金を用意しておかなければならない。

両替の度に手数料がかかることや、手持ち現金がなくなった時に両替所を探さなければならないことは、大きな負担だ。

しかし、ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)は、地域によって限定されているわけではない。そのため、理論上は世界中のどこででも使うことができる。現在は残念ながら、仮想通貨が普及しきっていないため、利用できないケースも多い。

しかしアメリカやヨーロッパを中心として、ビットコイン決済を導入する企業は急激に増えている。いずれは両替をすることなく、ビットコインを使ってスムーズに海外で決済できる日がくるだろう。そうなれば、旅行中のストレスは大きく軽減されるはずだ。

ビットコインが「盗まれた」事件も

仮想通貨はデータ改ざんが実質的に不可能で、安定性の高いシステムだと説明してきた。しかし、現実には流出事件が発生している。

実は、流出事件でも、暗号資産(仮想通貨)の仕組みそのものは破られていない。流出が起きた理由は、仮想通貨を売買するには、取引所を通す必要があり、取引所がハッキングを受けたからだ。

例えば、2014年には、世界最大級の取引所であったマウントゴックス社がハッキングを受け、ビットコインが盗まれる事件が起きた。当時盗まれたビットコインは、約75万ビットコインで、日本円にすると数百億円の価値があったとされている。

この事件によって、マウントゴックス社は経営破たんした。また、1年後にCEOが横領の疑いで逮捕されている。

ビットコインは本当に危険なのか?

流出が起きると、メディアは大きく報じるため、「暗号資産(仮想通貨)は危険だ」というイメージを持つ人は少なくないだろう。確かにハッキングリスクなどがあることは事実だが、だからといって一概に仮想通貨そのものが危険だと決めつけてしまうと、判断を誤る可能性がある。

たとえば金融機関であっても、不正アクセスや銀行強盗のリスクと隣り合わせだ。今回のコロナ禍でも、地方銀行をはじめとした金融機関が赤字続きで、経営破たんする可能性があることが指摘されている。預金者を保護するペイオフでも、1,000万円を超える預金は保護されない。

また、インフレが起きて物の価値が2倍になれば、預貯金の価値は2分の1になる。こういった点を踏まえると、一概に「暗号資産(仮想通貨)は危険だ」とはいえないことがわかるだろう。

ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)について正しく知識を身につけ、資産を適切に配分すれば、逆に日本円が持つリスクや金融機関が持つリスクを分散することもできる。

ビットコインのリスクを知る

最後に、ビットコインのリスクについて解説する。今後、ビットコインを保有しようと考えているなら、リスクを正しく認識したうえで投資することが大切だ。

●価格変動リスク

どんな投資でも、価格変動リスクには気を配っておく必要がある。特にビットコインをはじめとした仮想通貨は、価格変動の幅が大きいといわれている。購入時よりも価格が下落するリスクがあることは、常に想定しておくようにしたい。

価格変動リスクに備えるには、ビットコインの需要と供給に影響を及ぼすニュースに敏感になり、情報収集を怠らないことが大切だ。また、長期的にみれば価格が持ち直す可能性は十分にあるため、余裕資金で投資すると、リスクを抑えることができる。

●制度変更リスク

仮想通貨の歴史は、まだ長くはない。法律に初めて登場したのは2017年で、2020年にも改正が行われたばかりだ。今後、暗号資産(仮想通貨)に関して規制が入ったり、暗号資産(仮想通貨)にかかる税金が見直されたりする可能性は否定できない。

制度変更の可能性があることを念頭に置き、国際社会の動きや政府動向を注意深く見守ることが大切だ。

ビットコインは大きな可能性を秘めている

ビットコインは、決済手段としても、投資対象としても、大きな将来性を秘めている。登場から10年と少しで、暗号資産(仮想通貨)はここまでの知名度を獲得した。

今後、技術や経済の発展によって、国境に縛られずにヒト・モノ・カネが動く時代へと突入していくだろう。そんな社会において、ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)が果たす役割は大きいと予想されることにも注目しておきたい。

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