日本円や米国ドルのような実体や発行主体が存在しない通貨を、暗号資産(仮想通貨)という。暗号資産(仮想通貨)は10年ほど前に登場し、その存在は瞬く間に知れ渡った。一方で、言葉は聞いたことあるけど、仕組みはよくわからないという人も多いだろう。

今回は、暗号資産(仮想通貨)の仕組みや特徴、使い方について、わかりやすく解説する。記事を読み終わる頃には、仮想通貨について一通りの知識が身につくはずだ。

そもそも暗号資産(仮想通貨)とは?

ブロックチェーン
(画像=PIXTA)

暗号資産(仮想通貨)とは、インターネットを通じて電子データでのみ、やり取りされる通貨のことだ。代金の支払への使用や日本円や米国ドルと交換することもできる。

「電子マネーとどう違うのか?」という疑問を持つ人もいるだろう。電子マネーは、日本円や米国ドルなどの法定通貨をデジタルで記録し、現金の代わりに使用しているに過ぎない。電子マネーで1万円を使えば、前払いもしくは後払いで、1万円の日本円を支払うことになる。

一方、暗号資産(仮想通貨)は、日本円や米国ドルなどの法定通貨とはまったく異なる通貨だ。単位が異なる上に、仮想通貨と日本円を交換する場合のレートは日々変動している。電子マネーのようにそのまま日本円がデジタルで記録されているというわけではない。

暗号資産(仮想通貨)は、2017年4月の法改正で、資金決済法をはじめとするいくつかの法律で定義された。その後、2019年5月に改正法が成立し、法律上は仮想通貨ではなく「暗号通貨」という表記が用いられるようになった。同時に、仮想通貨への規制も強化されている。

仮想通貨の仕組みを知る!3つの特徴とは

続いて、暗号資産(仮想通貨)の3つの特徴について解説する。

●実体がない

暗号資産(仮想通貨)はインターネット上で取引される電子データなので、紙幣や硬貨といった物理的な実体は存在しない。暗号資産(仮想通貨)の取引履歴や残高は、ネットワーク上に電子データという形で保存されている。

●発行主体・管理者が存在しない

日本円や米国ドルといった法定通貨は、国家が発行している。具体的には、中央銀行が発行主体・管理者としての役割を担っている。そのため、法定通貨は国家によって価値を保証されているという特徴がある。また、給与の支払いや税金の納付においても、法定通貨が用いられる。

一方、暗号資産(仮想通貨)にはこのような発行主体が存在しない。代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは、プログラムに従って自動で発行されている。そのため仮想通貨は、通貨を利用する人間同士の「信用」によって価値が決まることになる。管理者が存在しない、もしくは暗号資産(仮想通貨)にかかわる全員が管理者といえるだろう。

ただし、暗号資産(仮想通貨)の中には例外的に管理者を置いている通貨もある。

●全世界で利用できる

日本円や米国ドルといった法定通貨は、国家が発行している通貨であるため、使用できる範囲が限られている。そのため、旅行や出張で海外にいく際には、通貨を両替しなければならない。

一方、暗号資産(仮想通貨)は、インターネット環境さえあれば、世界中のどこでも使える可能性を秘めている。現在はインターネット環境をはじめとした技術的な限界により、どこででも暗号資産(仮想通貨)を使えるというわけではない。しかし、将来的に仮想通貨によって利便性が大きく改善される可能性があるといえるだろう。

暗号資産(仮想通貨)の4つの使い方を紹介

暗号資産(仮想通貨)を利用することで、具体的に何ができるかわからないという人も多いだろう。仮想通貨というと、投資のイメージが独り歩きしている傾向もある。しかし、暗号資産(仮想通貨)は「通貨」であることから、決済・送金・投資のすべてにおいて使用可能だ。また、レートに応じて法定通貨と交換することもできる。

●決済

商品を買ったり、サービスの提供を受けたりした時に、決済手段として暗号資産(仮想通貨)を使うことができる。スマホやパソコンで手軽に決済できるため、現金決済より手間がかからないといえるだろう。

大手家電量販店、ネット通販、サブスク、レンタルサービスなどさまざまなジャンルで仮想通貨による決済が導入されている。とはいえ、まだまだ暗号資産(仮想通貨)が利用できるのは一部なので、現金決済やクレジットカード決済と併用しながらでないと、不便を感じることも多いだろう。

●送金

暗号資産(仮想通貨)を別の人間に送金することもできる。電子データであり管理者もいない暗号資産(仮想通貨)は、送金において強みを発揮する。金融機関などを介して送金する必要がないため、法定通貨と比べてはるかに低いコストで、スピーディに世界中へと送金できる。

●投資

暗号資産(仮想通貨)の価値は大きく変動するため、大きなリターンを獲得できる可能性を秘めている。そのため、暗号資産(仮想通貨)は投資対象として注目されてきた。

仮想通貨の投資では、相対的に価値が低い時に購入し、価値が高くなってから売却することで、売却益を出す方法が一般的だ。また、暗号資産(仮想通貨)FXと呼ばれるレバレッジ取引をすることもできる。しかし、元手を超えて取引するレバレッジ取引は初心者にはリスクが高いので、まずは現物取引から始めた方が無難だろう。

●交換

暗号資産(仮想通貨)を、日本円や米ドルなどの法定通貨と交換することもできる。交換レートは日々変動しているため、交換する際にはレートをチェックする必要がある。また、異なる暗号資産(仮想通貨)同士をレートに従って交換することも可能だ。

暗号資産(仮想通貨)の種類は?代表的な通貨を紹介

現在は1,000種類を超える仮想通貨が存在しているといわれている。ここでは、代表的な暗号資産(仮想通貨)として、ビットコイン・イーサリアム・リップルの3つを紹介する。

●ビットコイン

ビットコインの起源は、2008年にSatoshi Nakamoto名義で発表された論文だ。ビットコインの登場は翌年の2009年で、最初の暗号資産(仮想通貨)といわれている。ビットコインは、暗号資産(仮想通貨)の軸ともいえる分散型システムを確立した画期的な仮想通貨だ。

ビットコインは暗号資産(仮想通貨)の中で最も知名度が高く、時価総額も大きい。しかし、近年、少しずつ他の暗号資産(仮想通貨)にシェアを奪われつつある。

●イーサリアム

イーサリアムは2015年に登場した仮想通貨だ。ビットコインに次いで知名度が高く、時価総額も大きい。契約を自動実行するスマートコントラクト技術を採用していることがイーサリアム独自の特徴だ。

たとえば、二者間で通貨を交換する場合、自分が送金したとしても相手側が送金しないリスクがある。しかしスマートコントラクトでは、相手が送金することを自分が送金する条件として設定できる。そのため、二者間でも公平で安全な取引が可能となっている。

●リップル

リップルは、2004年に登場した仮想通貨だ。ビットコイン、イーサリアムに次ぐ時価総額を誇る。リップルは他の暗号資産(仮想通貨)とは違い、リップル社という企業が管理している。そのため、送金速度が速いことが特徴だ。

リップルは処理スピード、処理コストの観点から、国際送金の懸け橋となる「ブリッジ通貨」として期待されている。また、世界数十ヵ国の銀行と提携を進めており、ネットワークを拡大しつつある。今後は、リップルがますます存在感を増していくかもしれない。

暗号資産(仮想通貨)の技術的要素を解説

暗号資産(仮想通貨)の登場には、技術的要素が深く関係している。続いては、暗号資産(仮想通貨)を成り立たせる技術的要素として、ブロックチェーンとマイニングについて解説する。

●ブロックチェーン技術とは

ビットコインをはじめ多くの暗号資産(仮想通貨)では、ブロックチェーン技術が活用されている。ブロックチェーンとは、ブロックと呼ばれるデータをつなげて管理するデータベースを意味する。中央管理者がいない代わりに、全員でデータベースを監視することができる。

ブロックチェーンでは、送金情報をはじめとした取引履歴が、すべて暗号化されて連結されていく。その後、別の取引が行われたとしても、一度発生した取引が上書きされることはない。そのため、ブロックチェーンを活用すれば、データ改ざんは実質不可能だといわれている。

一部例外はあるが、多くの暗号資産 (仮想通貨)は、ブロックチェーン技術によって支えられている。

●マイニングとは

マイニングとは、暗号資産 (仮想通貨)の取引内容を承認し、1つのブロックとしてブロックチェーンに追加することをいう。ブロックを追加するには、ハッシュ関数を利用し、高度な演算を行わなければならない。そのため、マイニングをするためには高性能なコンピュータが必要だ。

暗号資産 (仮想通貨)には、基本的に管理者が存在しない。そのため、マイニングを行うのも利用者側だ。しかし、マイニングは大変な作業であり、コストがかかる。コストとは、高性能なコンピュータを準備する費用や稼働させている間の電気代だ。

そのため、マイニングを行った者には、報酬として新たな通貨が発行される。マイニングは、日本語に訳すと「採掘」だ。鉱山を掘って金を探し当てるように、高性能なコンピュータで計算を実行し、報酬として暗号資産 (仮想通貨)を得る――これが、一連の作業がマイニング(採掘)といわれる理由だ。

基本的に、仮想通貨の発行数には上限が定められている。そのため、世界中の「採掘者」は競うようにマイニングを行い、報酬としての暗号資産 (仮想通貨)の発行を狙う。自分一人で機材をそろえてマイニングをする人もいれば、グループを作り集団でマイニングをする人たちもいる。

暗号資産(仮想通貨)のリスクを知ろう

利便性が高く、投資効率もいい仮想通貨だが、当然リスクもある。暗号資産(仮想通貨)を決済で活用したり、投資目的で保有したりするなら、暗号資産(仮想通貨)のリスクも知っておくべきだろう。

●価格変動リスク

暗号資産(仮想通貨)には価格変動リスクがある。仮想通貨の価格は常に変化しており、急騰・急落するケースも少なくない。そのため、暗号資産(仮想通貨)を保有する場合、暗号資産(仮想通貨)の価格に影響を与えると想定される情報には、常にアンテナを張っておく必要がある。

たとえば、災害や戦争、法令・制度変更などは、暗号資産(仮想通貨)の価格に影響を及ぼす可能性がある。

●法規制・税制リスク

暗号資産 (仮想通貨)についての法規制や税制が変更されることで、損失が発生するリスクがある。たとえば、非常に使い勝手が悪くなった結果、価格が急激に下がるといったことも想定される。また、税金の負担が重くなることで、投資対象としての魅力がなくなることもないとは言い切れない。

●サイバー攻撃リスク

暗号資産(仮想通貨)を取引する場合、取引所を利用することが一般的だ。取引所がハッキングされれば、暗号資産(仮想通貨)が流出するといった事態も起こりうる。実際2014年には、マウントゴックス社がハッキングされ、約480億円ものビットコインが盗まれるという事件が発生した。

ブロックチェーンを活用した暗号資産 (仮想通貨)の仕組みそのものは破られなくても、取引所が狙われる危険性があることは十分に理解しておきたい。

一方で「ハッキングが怖いから」といって暗号資産 (仮想通貨)を敬遠するのは、「銀行強盗が怖いから」と銀行にお金を預けないのと同じようなものだ。リスクを想定することは大切だが、過剰に恐れると判断を誤る可能性があることを頭に入れておいた方が良いだろう。

●システムリスク

システム障害が起きた結果、希望するタイミングで取引ができず、価格変動によって損失を計上してしまうリスクがある。取引所のシステム障害やネットワークトラブルのほか、自分が持つコンピュータのシステム障害も無視できない。

●取引所の破たんリスク

暗号資産 (仮想通貨)の取引所が経営破たんするリスクについても考慮しておかなければならない。経営破たんすると、民事再生法や会社更生法に基づいた手続きが行われる。財務状況が極端に悪い場合、一部の資産が返還されないリスクがある。

暗号資産 (仮想通貨)のリスクへの対応策

リスクを完全にゼロにすることはできなくても、対応策を講じることで、限りなくゼロに近づけることは可能だ。続いては、リスクを抑えるための対応策を紹介する。

価格変動リスクや法規制・税制リスクに対しては、国内外の動向にアンテナを張っておくことが重要だ。関連するニュースを定期的にチェックする習慣をつけたり、同じ暗号資産 (仮想通貨)を保有する投資家のSNSアカウントをフォローしたりといった対応策が考えられる。

サイバー攻撃リスクやシステムリスク、取引所の破たんリスクに対しては、複数の取引所を利用することで、リスク分散をはかるという方法がある。また、金融庁から認可された仮想通貨取引所を選ぶのも重要だ。

さらに、IDやパスワードの管理を厳密にするなど、個人レベルでのリスクヘッジも忘れないようにしたい。IDやパスワードを使い回さない、予想しやすいIDやパスワードを使わない、IDやパスワードを第三者に伝えないといったことは基本的なことだからこそ、必ず徹底しておきたい。

また、投資として暗号資産 (仮想通貨)を保有する場合、余剰資金での投資にとどめておくことも重要だ。

お金に関して、リスクのない管理方法というのはないに等しいだろう。タンス預金でも銀行預金でも強盗リスクはあるし、投資商品にもそれぞれのリスクがある。大切なのは、どのようなリスクがあるかを理解し、対応策を知っておくことだ。

暗号資産(仮想通貨)と税金

最後に、暗号資産(仮想通貨)と税金について解説する。暗号資産(仮想通貨)の取引で「得をした」場合、所得税や贈与税がかかる。

所得税がかかるのは、暗号資産(仮想通貨)を売却して売却益が出た時や、購入時より値上がりした暗号資産(仮想通貨)で決済した時、購入時より値上がりした暗号資産(仮想通貨)を他の暗号資産(仮想通貨)と交換した時だ。暗号資産(仮想通貨)の事業を行っている場合などを除き、暗号資産(仮想通貨)によって得られた利益は雑所得に分類される。

暗号資産(仮想通貨)の利益をはじめ、給与所得以外の所得が年20万円を超えて発生した場合、確定申告をしなければならない。雑所得は給与所得など他の所得と合算される。所得税の税率は所得の合計金額に応じて変わり、5%から45%まで変化する。

また、贈与税がかかるのは、暗号資産(仮想通貨)を受け取った時だ。年間110万円を超える仮想通貨を送金などで受け取った場合、贈与税の申告をしなければならない。贈与税率は贈与された金額に応じて変わり、10%から55%まで変化する。

税金のことを想定していないと、ある日急に多額の納税が必要になり、支払に苦しめられるケースも想定される。暗号資産(仮想通貨)を始めるなら、税金については早いうちから情報収集し、支払に備えておくようにしたい。

暗号資産(仮想通貨)が指し示す私たちの未来

暗号資産(仮想通貨)に対して「流出が怖い」「損をしそう」といったマイナスイメージを持つ人もいるだろう。しかし、イメージに踊らされて暗号資産(仮想通貨)を切り捨ててしまうのは、もったいないことだ。

暗号資産(仮想通貨)は登場から約10で高い知名度を確立した。暗号資産(仮想通貨)がますます広まれば、国境に縛られず、より自由で安全な取引ができるようになるかもしれない。

暗号資産(仮想通貨)の秘めている可能性に目を向け、正しく見極めることが大切だ。

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