暗号資産(仮想通貨)の代表格ともいえるビットコイン。今回は、ビットコインを購入したい人に向けて、購入方法をわかりやすく解説する。また、ビットコインを初めて購入する時のよくある疑問や主要な取引所について解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
ビットコインを購入する簡単3ステップ
まず、ビットコインを購入する方法を簡単に解説する。
●ステップ1.取引所・販売所に登録する
ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)は、実体を持たないインターネット上の通貨だ。ビットコインを購入する際には、まず取引所・販売所に登録する必要がある。
手順は下記の通りだ。メールアドレス、電話番号、口座情報、本人確認書類があれば、パソコンでの作業自体は10分程度で終わるだろう。
1.取引所・販売所の公式サイトにメールアドレスを登録
2.メールアドレス宛に送られたリンクをクリックしてパスワードを設定
3.氏名・住所等の本人情報を入力
4.本人確認書類を提出(アップロードor郵送)
5.SMS認証(電話番号の確認)
6.郵送ハガキを受け取る
●ステップ2. 日本円を入金する
口座開設が完了したら、続いて日本円を入金する。開設した口座にログインし、入金手続きを行う。入金方法には、即時入金・銀行振込・コンビニ入金などがある。
ネットバンキングを利用している場合、自宅に居ながらにして即時入金が可能だ。ネットバンキングを利用していない場合は、銀行振込を選択すれば、窓口やATMから入金できる。コンビニ入金では、コンビニに設置されている端末を操作して、入金手続きをすることができる。
入金が完了したら、会員ページに資産残高が反映されているかを忘れずチェックしよう。
●ステップ3. ビットコインを購入する
入金が完了したら、いよいよビットコインを購入するステップにすすんでいく。ほとんどの取引所では、会員ページにログインし、暗号資産(仮想通貨)の一覧からビットコインを選択し、購入ボタンを押す。日本円でいくらに相当するビットコインを購入するかを入力し、購入ボタンを押せば、ビットコインの購入が完了する。
最後に、会員ページ内でビットコインの保有残高が表示されているかをチェックしよう。
なお、ビットコインを購入する際には、販売所と取引所があるため、違いについて説明しておく。簡単にいうと、販売所では販売会社との間でビットコインを売買し、取引所ではユーザー同士でビットコインを売買することになる。
販売所は手続きがシンプルでスムーズだが、スプレッドと呼ばれる手数料がやや高めに設定されている傾向がある。取引所はスプレッドが安く注文方法の選択肢も多いが、手続きや複雑で注文が通らないリスクがある。自分に合った方を選んで取引を始めるようにするとよいだろう。
ビットコインを購入できる代表的な取引所・販売所
続いて、ビットコインを購入できる代表的な取引所・販売所を紹介する。
●コインチェック(Coincheck)
東証一部上場のマネックスグループの完全子会社である仮想通貨取引所。2012年設立で、2016年には電気代をビットコインで支払う「Coincheckでんき」というサービスをリリースした。また、2019年中のアプリダウンロード数は、業界No.1と公表している。
コインチェックは2019年12月末時点で11種類の仮想通貨に対応しており、手数料は無料だ。最低取引金額は500円。また、数千万円以上の大口取引だと、優遇レートで売買ができる。
2018年1月、コインチェックのシステムがハッキングされ、NEM(ネム)という仮想通貨が大量に流出するコインチェック事件が起きている。金融庁から仮想通貨の取り扱いについて認可を受けている業者を、仮想通貨交換業者というが、当時のコインチェックは認可申請中で、みなし業者だった。なお、2019年には仮想通貨交換業登録を正式に完了している。
コインチェックでは、「Coincheckつみたて」という自動で仮想通貨を積み立てられるサービスが人気だ。1ヵ月1万円から仮想通貨の積立ができる。
また、仮想通貨を貸すことで、最大年率5.0%を受け取れる貸仮想通貨サービスも提供している。貸仮想通貨サービスは、コインチェックが扱うすべての仮想通貨で行える。
●ビットフライヤー(bitFlyer)
CryptoCompareの仮想通貨・暗号資産取引所ランキングで、ビットフライヤーは第9位にランクインした。国内最大級の取引規模を誇り、2019年の調査でも、国内利用率No.1と公表している。また、ネットショッピングや旅行予約でビットコインをもらえるサービスがある。
ビットフライヤーは2020年6月時点で9種類の仮想通貨に対応しており、ビットコインの取引所の手数料は0.01%~0.15%、販売所の手数料は無料だ。
また、最低取引数量は取引所は0.001 BTC、販売所は0.00000001 BTCだ。2020年6月時点の日本円になおすと、取引所の最低取引金額は約1,000円となっている。
●DMMビットコイン
DMMビットコインはDMM.comグループの子会社だ。DMM.comグループについては、ローラのCMで認知している人も多いだろう。また、アプリの使いやすさには定評がある。
DMMビットコインは2020年6月時点で12種類の暗号資産に対応している。取引手数料は基本的に無料(※BitMatch取引手数料を除く)で、レバレッジ取引では1日に0.04%の手数料が発生する。最低取引数量は0.001BTC。2020年6月時点の日本円になおすと約1,000円である。
社外・社内の不正を24時間監視する、資産の95%以上をコールドウォレットで保管するなど、セキュリティにも非常に力を入れている。
●GMOコイン
東証一部上場のGMOインターネット株式会社の子会社、GMOコイン株式会社が運営する仮想通貨取引所。GMOグループにはGMO証券株式会社もあり、金融機関
GMOコインは2020年9月時点で9種類の仮想通貨に対応している。取引所の手数料は-0.01%~0.05%、販売所の手数料と入出金手数料は無料だ。最低取引数量は0.0001BTCで、2020年9月時点の日本円になおすと、取引所の最低取引金額は約112円となっている。
GMOコインにも、貸仮想通貨サービスがあり、最大年率3%を受け取れる。最低取引数量は1BTCで、約10万円程度から利用できる。
GMOコインは、仮想通貨FXに特化したアプリ「ビットレ君」を提供しており、初心者でも使いやすいことで人気を博している。
●SBI VCトレード
東証一部上場のSBIグループの仮想通貨取引所。グループ会社である住信SBIネット銀行との連携に力を入れている。
SBI VCトレードは2020年9月時点で3種類の仮想通貨に対応している。
手数料について、取引手数料、入金手数料は無料だが、仮想通貨の売買価格(レート)がそもそも手数料を実質的に含めた金額での提示となっている。また、出金手数料については、住信SBIネット銀行なら金額にかかわらず50円、住信SBI銀行以外の金融機関なら、3万円未満は160円、3万円以上は250円となっている。
最低取引については、ビットコインの数量と日本円の金額でそれぞれ規定がある。ビットコインの最低取引数量は0.0001BTC、日本円の最低取引金額は500円。0.0001BTCを2020年9月時点の日本円になおすと、約112円なので、現在は500円が最低取引の基準となる。
ビットコインを購入するメリット
続いて、ビットコインのメリットを3つ紹介する。
1つ目のメリットは、高い投資効果が期待できることだ。ビットコインが登場した当時、1万BTCでピザを注文した人がいた程度の価値しかなかった。しかし2018年には、1BTCは200万円を記録している。当時の1万BTCを保有しておけば、200億円の資産を築けたといわれている。このように、大きなリターンを期待できることがビットコインに投資するメリットだ。
2つ目のメリットは、送金コストが低く、スピードが速いことだ。金融機関を利用すると、送金にも手数料がかかる。特に国際送金(海外送金)だと、手数料も高く、手続きも煩雑だ。入金までに時間がかかるケースも多い。
一方ビットコインなら、面倒な手続きはなく、簡単に送金できる。手数料は数十円程度で、数十分で入金される。手間、コスト、スピードのどれをとっても、ビットコインに軍配が上がる。
3つ目のメリットは、両替しなくても海外で使えることだ。日本では、大手家電量販店など、一部の企業がビットコイン決済を導入しているものの、まだまだ導入企業は少ない状況だ。しかし欧米諸国では、年々ビットコイン決済の導入が進んでいる。
海外旅行や海外出張で、現地通貨へと両替すると、両替手数料がかかる。両替手数料を負担する必要がなく、世界中どこででも使えることは、ビットコインの大きなメリットだろう。
ビットコインを購入する注意点
魅力の多いビットコインだが、当然リスクもある。ビットコインを購入するなら、リスクについてもしっかり押さえておくようにしたい。
まず、価格変動リスクがある。ビットコインは価格変動の振れ幅が大きい。そのため、下落相場の際には、大きなストレスがかかることがある。
また、制度変更リスクにも注意する必要がある。ビットコインの歴史は、まだ十数年に過ぎない。法改正や規制変更によって、ビットコインの取引が制限されたり、ビットコインにかかる税金が見直されたりする可能性がある。
さらに、ハッキングや盗難リスクがある。仮想通貨の仕組みそのものは非常に強固で安定性が高いが、取引所がハッキング攻撃にさらされると、ビットコインの流出が起きるかもしれない。
初心者がビットコインで失敗しないための秘けつ
初心者がビットコインを購入する時は、2つのポイントを押さえておくようにしたい。
1つ目は、複数の口座を開設することだ。1つの口座だけで取引していると、大規模なハッキングや盗難が起きた時、一気に資産を失ってしまうリスクがある。複数口座を開設することで、ハッキングや盗難のリスクを分散できるだろう。
2つ目は、余裕資金で取引することだ。投資の基本ともいえるが、暗号資産(仮想通貨)は値動きが激しいからこそ、特に意識しておきたい。資金が必要になり換金しようとしたタイミングが、たまたま下落相場だった場合、損失が大きくなる可能性がある。
余裕資金であれば、再び相場が上昇するのを待つこともできる。また、最初のうちは少額から取引を始め、投信感覚を磨いていくことも大切だろう。
ビットコインを購入する際によくある疑問
最後に、ビットコインを購入する人が悩みがちな質問をまとめた。これからビットコインを購入する人は参考にしてほしい。
●買った後の保管はどうすればいい?
現預金も盗難リスクがあるように、暗号資産(仮想通貨)にも盗難リスクは存在する。そのため、安全な保管方法を選ぶことが大切だ。
取引所で保管する方法以外にも、ウェブウォレットやハードウェアウォレットを自分で選ぶこともできる。有名なウェブウォレットには、blockchain.infoがある。日本語に対応していることから、日本でも利用しているユーザーは多い。
一定の金額は取引所やウェブウォレットで保管しておき、大量のビットコインはハードウェアウォレットで保管しておくと、より安全だろう。ただし、ハードウェアウォレットを使うには専用端末を購入する必要があり、手間が発生する。
また、完全にローカルで保管したいなら、デスクトップウォレットという選択肢もある。ただし、設定に時間がかかることや、パソコンが故障すると仮想通貨を取り出せなくなるリスクなどがある。さらに紙に印刷して保管するペーパーウォレットという方法や、モバイルで保管できるモバイルウォレットなどもある。
必要に応じて、取引所、ウェブウォレット、ハードウェアウォレット、デスクトップウォレットなどを使い分けることが大切だ。
●換金したくなったらどうする?
国内の取引所を利用していれば、簡単にビットコインを日本円に換金できる。手順としては、まず売却希望金額や売却希望数量を決めておく。交換レートをチェックしたうえで、問題なければ換金を行う。具体的には、「BTC/JPY」という通貨ペアを選択して取引する。
資産が日本円に両替されたら、その金額を銀行口座へと送金する。取引所では入出金メニューがあり、会員ページから簡単に送金できることがほとんどだ。その後、銀行からお金をおろせば無事に換金できる。
換金手続きはインターネット上ですぐに完結しても、銀行に入金されて引き出すまでとなると、時間がかかる場合もある。また、換金したいタイミングで大幅に相場が下落していたら、タイミングをみはからう必要もある。
そのため、換金が必要な場合は、余裕を持って手続きすることが大切だ。
●買うタイミングは?(ドルコスト平均法)
初めてビットコインを買う時、タイミングがつかめなくて一歩を踏み出せないという声を耳にすることもある。確かに、いざ買おうと思っても、「これから相場が下がるかも」「今は割高なのでは?」と考えると、購入に踏み切れない気持ちは理解できる。
そんな人には、ドルコスト平均法という考え方で購入することをおすすめする。ドルコスト平均法というと難しく聞こえるが、毎月一定金額を購入し続けることだ。たとえば、1ヵ月1万円、1年で5万円など、あらかじめ決めた金額をコツコツと定期的に購入していく。
ドルコスト平均法では、必然的に、価格が安い時は購入数量が増え、価格が高い時は購入数量が減ることになる。そのため、長期的に見れば、自然とリターンが得られる可能性が高くなる。相場が下がったとしても、たくさん買い増せると思えば、精神的にも安心感がある。
初心者なら、ドルコスト平均法を活用してみるといいだろう。
●購入以外の入手方法
取引所で購入する以外にも、ビットコインを買う方法がある。それは送金とマイニングだ。送金とは、個人で売買する方法だ。誰かからビットコインを送金してもらうことになる。
マイニング(採掘)とは、ビットコインの取引の検証に参加することだ。マイニングに参加すれば、報酬として新しいビットコインを受け取れる可能性がある。しかし、世界中の大規模な事業者がマイニングに参加しているため、個人でマイニングに参加するのは難しいといわれている。
ビットコインを購入して知識を血肉化する
何事もそうだが、いくら知識や情報を得たとしても、実際に取り組んでみるまでは本当の意味で理解することはできない。ビットコインに関心があるなら、少額でもかまわないので、実際に購入して保有することが大切だ。
保有することで、どのような情報がビットコインの相場に影響を与えるのか、肌で感じることができるだろう。
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