(本記事は、丸林 信宏氏の著書『お金を増やす人は投資をするときどこを見ているのか』の中から一部を抜粋・編集しています)

「どのようなリスクが潜んでいるのか」を十分に把握した上で投資する

お金を増やす人は投資をするときどこを見ているのか
(画像=ilkercelik/stock.adobe.com)

あらゆるリスクを考慮して、「想定外のリスク」を「想定内」にする

投資する商品の期待利益(リターン)が大きいほど、リスクも大きくなります。したがって、リターンや利回りのみに目を奪われずに、「どういうしくみで、どの程度の損失が出る可能性があるのか」を想定しておく必要があります。

「想定外のリスク」に見舞われないためには、あらゆるリスクを考慮し、そして準備をして、「想定外のリスク」を「想定内のリスク」にしておくことが大切です。

おもな投資のリスク

◎株式投資のリスク

● 価格変動
株式は元本保証の金融商品ではありません。経営・財務状況の変化、外部評価の変化、金利や為替レートの変動、政治動向、国際情勢の変化など、さまざまな要因で株価は変動するため、投資元本を割り込むことがあります。

● 信用リスク(発行企業の経営破綻)
投資した会社が倒産すれば、保有する株式の価値が「ゼロ」になり、出資したお金は戻りません。

● 流動性リスク
流動性の低い銘柄を売買しようとする場合、通常の銘柄と較べて株価が大きく変動したり、売買に支障をきたすことが考えられます。

◎投資信託のリスク

● 価格変動リスク
政治情勢や経済情勢、企業の業績などの影響により、投資信託が組み入れている株式や債券の価格が変動する可能性があります。

● 為替変動リスク
外国の株式や債券で運用する投資信託には、為替変動リスクがともないます。

外国通貨建ての資産に投資する場合、一般的には、円高になれば基準価額にマイナス、円安ならプラスの影響があります。

● 信用リスク
国や企業が、財政難・経営不振などの理由により、利息や償還金(定められた期日に投資家に対して返還されるお金のこと)が支払われなくなる可能性があります。

● 金利変動リスク
金利が変動する可能性のことです。一般的に、金利が上がると債券価格は下落し、金利が下がると債券の価格は上がります。

◎不動産投資のリスク

● 空室リスク
利回りが良い物件を購入できたとしても、借り手がつかず、空室期間ができてしまうと、家賃収入が入りません。

● 家賃滞納リスク
滞納しているからといって、すぐに入居者を追い出すわけにもいきません。管理会社経由で支払勧告を行っても、居座られてしまう可能性があります。

● 価格下落リスク
一般的に、築年数の経過とともに、物件価格は下落していきます。

● 家賃下落リスク
築年数が経過すれば、建物と部屋の老朽化が進むため、家賃も下落していきます。新築時と同じ家賃収入が期待できなくなります。

● 災害リスク
不動産は実物資産なので、火災や地震などに見舞われると、受ける被害は大きくなります。

● 信用リスク
管理会社が倒産した場合、家賃や敷金を取り戻すことは難しくなります。

◎太陽光発電投資のリスク

● 故障のリスク
太陽光パネルは屋外に設置されるため、「積雪による架台変形」「強風によるパネル損傷」「落石によるパワーコンディショナー基盤の損傷」など、自然災害による故障によって発電(売電)がストップすることが考えられます。

【対策】
異常や故障の発見が遅れると、売電が止まってしまうため、「遠隔監視を行い、発電量の異変をキャッチする」「ウェブカメラで発電所の様子を監視する」など、早期発見が大切です。

最近では、多くの販売会社が遠隔監視を取り入れていますが、とはいえ、「アラートメールの対応」しか行っていない会社が8割です。

「人の目」で確認をしなければ故障原因の特定ができないこともあるので、異常の検知後、ただちに現場対応してくれる販売会社を選ぶ必要があります。

また、故障が発生した場合を想定して、動産保険などに加入しておくことも大事です。

● 天候リスク
発電量は日照時間に大きく左右されるため、日照不足によって経済的損失を被る可能性があります。太陽光発電事業に適した用地であっても、異常気象による日照量激減が「ない」とは断言できません。

当社にも、「悪天候が続いて、シミュレーションの発電量を大きく下回った場合、下回った分の補償をしてもらえますか?」というお問い合わせをいただくことがありますが、天候を自分たちで決められない以上、補償できないのが現状です。

【対策】
発電所の設置場所・方位・傾斜・周囲の建物による影の入り方、日照量などの情報などを参考に、「購入検討中の太陽光発電所にどれくらいの発電量が見込めるか」をあらかじめシミュレーションしておくことが大切です。ただし、203ページでも説明しますが、シミュレーションの数値を過信してはいけません。

● 低流動性リスク
「流動性が低い」と、現金化するのが難しくなります。都心の中古ワンルームマンションなどと比べ、太陽光発電所は流動性で劣っています。

ただし、業界でも再販市場を整えていこうという動きがあり、中古の太陽光発電所の取引が活発になってきています。

【対策】
太陽光発電所の購入を検討するときは、「どれだけのリターンが得られるか」よりも先に、「いざというときに、売却処分できるか」を考えるべきです。

シャープ・レシオ(投資のリスクに対するリターンの大きさを示す指標/リターン÷リスク)を検討するのは、「流動性がある」ことがわかったあとです。

また、転売するときに資産価値が落ちないように(あるいは、価値を上げるために)、徹底した保守管理を行う必要性があります(そのためにも、メンテナンス体制は重要)。

【太陽光発電所の購入検討手順】

①流動性を考える
いざというときに、売却処分ができるのか。その処分は容易か。

②シャープ・レシオを考える
リスクとリターンのバランスが取れているか。

③投資額は身の丈に合っているか
良い投資物件(太陽光発電所)が見つかっても、サイズを間違うと予想以上にランニングコストがかかり、リスクを支えきれない。

● 信用リスク
固定価格買取制度が導入された2012年以降、太陽光関連市場は急速に拡大しました。しかし一方で、事業者が乱立し、現在は淘汰が進んでいます。ノウハウ不足や安易な事業計画で経営が立ち行かなくなるケースが目立っています。

【対策】
「商品の品質」「施工体制」「アフターメンテナンス体制」の3つのバランスを考慮しましょう。

● 商品の品質(耐久性・保証・安心価格・採用実績)
● 施工体制(施工マニュアル&チェックリスト、高品質な材料・施工実績・工事補償)
● アフターメンテナンス体制(行き届いたアフターメンテナンス)

お金を増やす人は投資をするときどこを見ているのか
丸林 信宏(まるばやし・のぶひろ)
株式会社アースコム代表取締役社長
1977年、福岡県朝倉市生まれ。専門学校卒業後、完全フルコミッション型の住宅機材の営業を経て、2008年に株式会社アースコムを設立。再生可能エネルギー分野で画期的なビジネスモデルを構築する。
アースコムは、売上41億円、6期連続増収増益。産業用太陽光発電の会社としては全国トップレベルで、本社がある埼玉県に所在する全業種の中で売上高第2位。
また、県の産業労働部より「経営革新計画承認企業」「多様な働き方実践企業」と認定され「超優良企業」として、Yahoo! ニュースをはじめ、さまざまなメディアに取り上げられている。

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