(本記事は、小杉樹彦氏の著書『世界一わかりやすい 20秒プレゼン実践メソッド 特別講義』秀和システムの中から一部を抜粋・編集しています)
EPの「3点セット」とは?
EPを行なう際は、なるべく身軽なほうがいい。
荷物が多いと、話しにくいため、携帯品は最小限に留めるべきだ。
例えば、EPでは急遽、メモが必要となる場面が少なくない。
質疑応答の際に指摘を受けたら、その場でメモしよう。
メモを取る習慣が付いていない人は、社会人でも意外と多い。
メモする行為は、相手の話をしっかり聴いている意思表示でもある。
メモは質疑応答における基本中の基本なのだ。
せっかくアドバイスをもらっても、それを聞き流してしまったのでは、相手は「この人は見込みがないな」と感じるに違いない。
もちろん、成長の芽を自ら摘んでしまうのだから、これほどもったいないことはない。
EPに臨むにあたって必ず持参してほしいアイテムがある。
私はそれらを「3点セット」と呼んでいる。
具体的には次の3つである。
(1)ペン (2)メモ帳 (3)電卓
これはEPにおける必需品である。
ペンについては、「PILOT VCORN直液式水性ボールペン」がおすすめだ。
滑るように滑らかに書けるので、ストレスがかからない。
ちなみに、私も長年愛用している。
「ペンだと書き間違えたら訂正ができない」と考える人もいる。
だが、そもそも、質疑応答中に鉛筆で書いた文字を消しゴムで、ていねいに消している時間はないし、その場合、消しクズの処理にも困るだろう。
あくまでもメモ書きなので、書き間違えた箇所は、二重線で訂正すればいい。
あとで見返してわかれば、それで問題ない。
よって、メモ帳はアナログに限る。
PCやデジタル手帳では、メモする際に相手から何をしているのかわからないので、不安感を与えてしまうので気をつけたい。
電卓は、その場で計算するために不可欠なアイテムだ。
もちろん、暗算ですぐに答えが出ない計算をする際にも役立つが、それ以上に、相手からの質問に対して、間違いのないように答えようとする「誠実な姿勢」を見せることができる。
たとえ「20円+30円=50円」といった超初歩的な計算であっても、あえて電卓を使うことによって、間違いのない仕事を心がけているんだな、と相手は「この人は信用できる」と心の中で密かに評価してくれるのだ。
なお、こちらもメモと同様の理由から、スマホの電卓機能での計算は避けてほしい。
以上、「3点セット」をEP当日は必ず持参するように準備しよう。
資料は「A4」1枚に限る
大量の詳細資料を用意する人がいる。
これでは「相手のことを考えている」などと口が裂けてもいえない。
何の前触れもなくドサっと資料を渡されたら、相手はどう感じるだろうか?
「読む気も起きない」というのが本音だろう。
資料についても、相手は常に忙しいという前提に立って考えなければいけない。
突然、見ず知らずの人から大量の資料を渡されても、事細かに詳細まで読んでくれるようなお人好しに、私はこれまで会ったことがない。
具体的には「A4用紙1枚」にまとめるのがベストである。
実際、A4で1枚のピッチ資料であれば、次のようなメリットがある。
□何より相手に読んでもらいやすい □最重要事項だけ伝えることができる □資料の作成時間を大幅に短縮できる
「資料がたった1枚では熱意がないと思われてしまうのでは?」と不安に感じる人もいるだろうが、実際はまったくの逆だ。
A4の大きさ1枚にまとめるという作業は簡単そうに見えて、じつは極めて難易度の高いことである。
「A4」1枚の資料にはムダは一切ない。
EP同様に、資料も極限まで研ぎ澄まされている必要がある。
例えば、出版企画書もよくA4用紙1枚にまとめるよう指示されることがある。
編集者は多忙だ。
本書の企画書も最終的にはA4用紙1枚にまとめて提出した。
何百枚もある原稿であっても、たった1枚の企画書にまとめることができるのだ。
20秒足らずのEPの資料が1枚にまとめられないはずがない。
A4用紙1枚にまとめる際の文字数の目安は、600〜700字だ。
これくらいなら読みにくさもないだろう。
小さなフォントで何千字も詰め込んでいるようでは、意味がないことは自明だ。
ただ、コンパクトにまとめたいからといって、どうしてもこれだけは外してはいけないという項目がある。
それは「引用・出典」だ。
どれだけ素晴らしいEPをしても、あとから相手が資料を読み返して、著作権侵害で批判されてはいただけない。
紙質についてもこだわってほしい。
やや厚めのもので印刷しよう。
書類の端が折れているなどもってのほかだが、それ以上に、厚手の紙のほうが見栄えもいい。
こうした一手間が積み重なって、大きな差となっていくことは覚えておこう。
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