目次

  1. ソーシャルレンディングとは
    1. ソーシャルレンディングは融資型クラウドファンディング
  2. ソーシャルレンディング黎明期から今まで
  3. 海外と日本におけるソーシャルレンディングの比較
    1. 米国市場
  4. ソーシャルレンディングのメリット
    1. 利回りが高い
    2. 手間がかからない
    3. 保全性が高い
    4. 初心者と経験者の間で成績に差がつきづらい
  5. ソーシャルレンディングのデメリット
    1. 一攫千金が狙えない
    2. デフォルトのリスクがある
    3. 貸し倒れとは
    4. 返済遅延とは
    5. 流動性が低い
    6. 口座管理がしづらい
  6. ソーシャルレンディング事業者の一覧
    1. 不動産系事業者
    2. COOL
    3. オーナーズブック
    4. 事業性資金
    5. SBIソーシャルレンディング
    6. クラウドバンク
    7. maneo(マネオ)
    8. クラウドクレジット
  7. ソーシャルレンディング投資の注意点
    1. デフォルトリスク
    2. 手数料がかかる
    3. 流動性に欠ける
  8. ソーシャルレンディング投資のコツ
    1. 分散投資をする
    2. 複利効果を意識

ソーシャルレンディングとは

ソーシャルレンディング
(画像=PIXTA)

ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい会社(借り手)とお金を運用して増やしたい人(貸し手)をマッチングするサービスです。

ソーシャルレンディング事業を運営する会社は、インターネットを活用し、ウェブサイト上で資産運用したい個人から小口のお金を集め、その資金を企業に融資します。

サービスにもよるものの、最少投資額は1万円と、元本が少なくとも始めやすい資産運用方法です。

ソーシャルレンディング
(画像=Fintenna)

例えば、借り手に対して15%の貸出金利で融資を行い、ソーシャルレンディング運営会社が5%の手数料を取得すると、個人には10%の利回りが分配されます。

当然、借り手企業は資金を返済する必要があります。返済額とともに、利率(今回の場合15%)を毎月支払います。

なお、元本は満期に一括返済する形もあります。

ソーシャルレンディング運営会社はこのうち、支払われた利率から数パーセントを営業者報酬として取得し、残りが投資家への利回りとなります。

利回りの計算式は、
利回り=貸出金利-営業者報酬
となります※1。

ソーシャルレンディングは融資型クラウドファンディング

個人から資金を集めるという仕組みを持つため、ソーシャルレンディングはクラウドファンディングの一つとして分類されます。

クラウドファンディングという背景で語られる場合には、融資型クラウドファンディングや貸付型クラウドファンディングと呼ばれることもあります。

また、投資型クラウドファンディングと混同されることがあるものの、投資型クラウドファンディングとソーシャルレンディングは異なります。

ソーシャルレンディング黎明期から今まで

日本のソーシャルレンディングは2008年にmaneo社の個人向け融資モデルから始まりました。しかし、高いデフォルト率などにより頓挫。その後、maneoは企業への融資に切り替え、市場が成長してきています(フィンテナ調べ)。

日本のソーシャルレンディング
(画像=Fintenna)

2014年には143億円ほどだった市場規模(調達額)も2015年約310億円、2016年約533億円、2017年約1,316億円と成長が続いており、2018年以降もさらに成長が進むと予測できます。

海外と日本におけるソーシャルレンディングの比較

日本では急成長しているソーシャルレンディング。実はアメリカやイギリス、中国などのソーシャルレンディングは日本と比較して圧倒的な市場規模を誇っています。

米国市場

米国におけるソーシャルレンディングは、日本では頓挫したP2Pレンディング(個人間融資)モデルにより成長しています。

2014年の市場規模は5,500億円に届くとした上で、2025年には15兆円を超えるだろうと、PwCによるレポートで述べられています。

ソーシャルレンディングのメリット

ここからはソーシャルレンディング投資を行うにあたり、良い点や悪い点、注意するべき点について解説します。

利回りが高い

ゼロ金利とも言われるこの時代にソーシャルレンディングにおける平均利回りは8%と高い水準です(フィンテナ調べ)。

10年以内に元本が2倍になるほどの利回りは魅力的でしょう(複利計算)。

個人投資家へ高利回りを分配するには、融資における貸出金利を高く設定する必要があります。

この高い貸出金利が実現できる理由は、財務的には健全でも銀行から融資を受けられない企業があるからです。

創業年数が浅い企業や小額、借入期間の短い融資である場合、銀行からの融資を受ける難易度は上がってしまいます。

一方、ソーシャルレンディングは柔軟に融資審査を行います。

借り手企業が本当に借入金を返済できるかという確実性は厳しく審査するものの、必ずしも創業年数などに縛られない審査体制を築いているのです。

手間がかからない

ソーシャルレンディングは元本の価格変動がありません。

一度投資すると基本的には運用期間が終わり、満期償還(分配方法による)されるまで何もする必要がありません。

※デフォルトが起こった場合には元本が毀損します。

保全性が高い

ソーシャルレンディングにおける過去3年間の貸し倒れ率は1.47%と、比較的保全性が高い金融商品です(2018年1月25日現在、フィンテナ調べ)。

しかし融資という特性上、今後デフォルトが起こることは十分考えられます。デフォルトが起こった際の損失を最小限にするよう、後述する分散投資を心がけましょう。

また、投資できるファンドの中には担保や保証が付いたものもあります。

担保などがある場合は、貸し倒れが起きた際にソーシャルレンディング運営会社が担保の取得及び売却をはかり、債務履行を求めるため、比較的保全性が高くすることができます。

初心者と経験者の間で成績に差がつきづらい

ソーシャルレンディングはFXや株式投資のような価格変動がないため、時間や能力で他投資家と競う必要がありません。

投資するファンドと投資元本の金額が同じ場合、玄人投資家でも初心者でも成績は同じです。

ソーシャルレンディングのデメリット

保全性も利回りも高く、運用が楽なソーシャルレンディングですが、もちろんデメリットもあります。

一攫千金が狙えない

FXや株式投資など、元本自体が価格変動をできる投資、また、レバレッジをかけられる投資は、元手資金を数倍にすることも可能です。

しかし、ソーシャルレンディングでは高くとも利回り13%ほどです。

元本の価格変動がないため、大きな損失を被りづらい一方で、一攫千金は狙えません。

コツコツと安定的に運用し、着実に利益を重ねていく投資商品であると認識しましょう。

デフォルトのリスクがある

企業へ融資するという構造上、何らかの理由で借り手が返済不可能に陥った場合、デフォルトとなります。

投資元本を毀損する可能性があるため、ファンドや事業者を選択する際には注意が必要です。

貸し倒れとは

借り手企業の事業不振などが理由で、貸付金の返済ができない状態になると貸し倒れとなります。 投資家にとっては投資金の一部または全額が返済されないため、損失を被ることとなります。

返済遅延とは

満期までに償還を行うことができず、期日を後ろ倒しにすることです。 元本の返済が不能な状態を意味する貸し倒れとは異なり、返済遅延はあくまでも将来的に元本を償還する前提です。

流動性が低い

基本的には、一度投資を行うと満期を迎えるまで資金を引き出すことはできません。これは借り手の返済遅延が起こった際も同様です。

生活資金を削ってまで投資を行わないようにしましょう。

口座管理がしづらい

現状、1事業者の口座開設を行なっても、他の事業者に投資することはできません。 投資したい事業者が複数ある場合は、該当する全ての口座開設を行う必要があります。

ソーシャルレンディング事業者の一覧

2018年7月初旬時点で日本国内におけるソーシャルレンディング事業者数は25社です。 不動産融資を対象とした事業者が多いものの、事業者数とともにファンドの種類も広がっています。

不動産系事業者

日本におけるソーシャルレンディングは不動産需要とともに発展したと言っても過言ではありません。

不動産事業者は、COOL、オーナーズブックなどがあります。

COOL

COOL
(画像=webサイトより)

COOLは月間訪問者数400万人の金融メディアZUUOnlineを提供するZUUグループが運営する融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)です。

2020年6月29日にシステムをリニューアルし、投資家ごとの専用口座を設け、投資資金を預けることができるようになりました。事前に投資資金を預けておくことで、投資の際に振込手数料が都度かかることなく、迅速な手続きが可能となりました。

金融メディア大手のZUUグループが運営することもあって、今後大型のファンドが立ち上がることも見込めるクラウドファンディングです。

オーナーズブック

オーナーズブック
(画像=webサイトより)

不動産案件に特化した融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)サービスのオーナーズブック。都心の不動産を中心に投資ができるのが特徴です。

運営企業のロードスターキャピタル株式会社は2017年9月にマザーズ市場へ上場するなど成長中のサービスです。

事業性資金

事業性資金とは事業を運営するにあたり必要な資金のことです。

maneo、クラウドバンク、クラウドリース、スマートレンドなどが行なっています。

SBIソーシャルレンディング

SBIソーシャルレンディング
(画像=webサイトより)

SBIグループの100%子会社で、2011年よりリリース。利回りは比較的低いが、長年の実績から投資家の信頼もあり、ファンド募集はすぐに募集額が埋まる場合もあります。

クラウドバンク

クラウドバンク
(画像=webサイトより)

証券会社の中で初めて融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)に参入したのが日本クラウド証券のクラウドバンク。

再生可能エネルギーや不動産、中小企業支援など多様なファンドに投資できるのが特徴です。

maneo(マネオ)

maneo(マネオ)
(画像=webサイトより)

2008年に国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)サービスとしてリリース。融資型では業界No.1のシェアとなっており、国内不動産や再生可能エネルギーなどさまざまなファンドに投資することができます。

クラウドクレジット

クラウドクレジット
(画像=webサイトより)

2013年にリリースされた海外特化型の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)サービス。世界各国の事業者と提携しており、北欧やペルー、イタリアなど世界各国のファンドに投資ができます。

海外ローン

海外ローン特化で独自色を見せているのがクラウドクレジット。日本にいながら、海外の事業者に融資が可能です。

他にも、アメリカンファンディングやガイアファンディングといった海外特化型の事業者があります。

再生エネルギー

クラウドバンクやSBIソーシャルレンディングでは、太陽光発電ファンド案件の募集実績があります。

地方

地方を拠点にしているソーシャルレンディング事業者では、Pocket Funding(ポケットファンディング)・沖縄、さくらソーシャルレンディング・福岡、ネクストシフトファンド・鳥取などがあります。

各事業者それぞれ異なる特徴を持つため、どのような会社なのか、どのようなファンドに投資できるかなど吟味しましょう。

ソーシャルレンディング投資の注意点

ソーシャルレンディング投資は、コツコツと利益を積み上げていくタイプに合った投資です。 しかしながら、元本の毀損などリスクも孕んでいます。

ここからは、可能な限りリスクを抑えるために、知っておくべきポイントを解説します。 ソーシャルレンディング投資を行う際の参考にしてください。

デフォルトリスク

ソーシャルレンディングは比較的保全性が高い金融商品ではあるものの、常にデフォルトリスクを孕んでいます。

企業への資金貸付という性質上、融資先が財政難に陥るなど想定外の事態が起こるとデフォルトとなります。

投資を行う際は事業者やファンドのリスクを事前に見極めましょう。

手数料がかかる

ソーシャルレンディングでは出金の際に手数料がかかる事業者がほとんどです。 1万円など少額の投資を行なっていた場合、出金手数料により利益が目減りしてしまいます。 どんな手数料がかかるのか、いくら必要なのかについてはしっかりと確認する必要があります。

流動性に欠ける

一度投資を行うと、その資金は満期まで引き出すことができません。 途中解約ができないことを前提に余裕資金で投資することをこころがけましょう。

ソーシャルレンディング投資のコツ

ソーシャルレンディングは投資では利益をあげることもあれば損失を出すこともあります。

初心者でもはじめやすい投資である一方、何も知らずに投資を行うよりも、リスクを避ける方法や運用のコツを知っていたほうが良いでしょう。

ここからはソーシャルレンディングの保全性や利益を高めるために気をつけたい点を解説します。

分散投資をする

分散投資とは投資対象を多様化させ、リスクの集中を避けることです。

例えば特定の事業者に投資を集中させていた場合、その事業者が倒産に陥ると投資金額すべてが毀損する可能性があります。

ソーシャルレンディング投資においても分散投資は欠かせません。複数のファンドに投資金額を分けるだけでは、分散投資として不十分です。

以下の4種類の分散を意識した投資を行いましょう。

  • 事業者
  • テーマ
  • ファンド(金額)
  • 融資先

複利効果を意識

複利運用とは、運用により得た収益を再投資することで、利益が利益を生んでいき雪だるま式にどんどん利益が大きくなっていくことです。

ソーシャルレンディング投資は元本の価格変動が無いため、仮に利回り8%で複利運用した場合、想定では9年で元本の2倍になります。

複利運用を意識し、

  • 投資予定の資金はできる限り間を空けず投資すること
  • 利益を使ってしまわず、投資に充てること

を徹底しましょう。

ソーシャルレンディング投資は「リスク管理を行うこと」、「利益を最大化」することが成功への近道です。

自分の信頼できる事業者やファンドを見つけ、ソーシャルレンディング投資を行いましょう。

1)手数料などは除く
2)参照:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX10H0D_Q7A110C1FFE000/
3)現在は3事業者のみ