新型コロナウイルスの感染拡大による悪影響が、さまざまな業界に広がっている。コンビニ業界も例外ではない。外出自粛などの影響で、売上に影響が出ている。セブン、ファミマ、ローソン、ミニストップといったコンビニ大手各社の現在の状況を紐解いていこう。

2020年10月の売上高は軒並み前年実績割れ

コンビニ業界
(画像=Kana Design Image/stock.adobe.com)

新型コロナウイルスの感染を防ぐためには、なるべく人との接触機会を減らすことが望ましい。そのため、コンビニを訪れることはリスクだとも考える人は少なくない。このような背景から、各コンビニチェーンの来店客数は前年と比べると減っている状況だ。リモートワークの増加なども影響している。

最新の2020年10月のコンビニ各社のデータを見ていくと、既存店の売上高は、セブンイレブンが前年同月比6.0%減、ファミリーマートが6.1%減、ローソンが6.9%減、ミニストップが8.9%減という厳しい状況だ。各社の状況を詳しく説明していこう。

セブンイレブン

セブンイレブンの客数は、前年実績割れが続く。新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年3月以降の客数は、3月が前年同月比7.1%減、4月が同14.7%減、5月が同17.0%減、6月が同7.9%減と厳しい状況だった。

その傾向は最近になっても改善せず、7月が前年同月比12.1%減、8月が同5.5%減、9月が同8.3%減、10月が同9.8%減となっている。売上こそ客単価の上昇で前年同月を上回った月があったものの、じわりじわりと業績に影響が出ている。

運営元のセブン&アイ・ホールディングスが10月に発表した2021年2月期第2四半期の連結業績(2020年3~8月)において、国内のコンビニ事業の営業収益(売上高)は、前年同期比6.1%減の4,584億1,200万円、営業利益は前年同期比11.5%減の1,179億9,300万円という結果だった。

セブン&アイ・ホールディングスは「外出自粛及び在宅勤務の推進により、客数等に大きな影響がありました」と説明している。

ファミリーマート

一方のファミリーマートはどうか。月次の営業実績をみると、セブンイレブンより厳しい状況だ。客数が前年同月比でマイナスが続いているのはセブンイレブンと同じだが、ファミリーマートは2桁%減の状況から抜け出せていない。

セブンイレブンと同じく、2020年3月以降の既存店の客数を追うと、3月が前年同月比10.1%減、4月が同22.2%減、5月が同19.9%減、6月が同14.7%減。その後も、7月が前年同月比16.2%減、8月が同11.9%減、9月が同13.3%減、10月が同10.2%減となっている。売上高についても、前年実績を超えた月は、2020年3月以降では一度もない。

ファミリーマートの第2四半期の連結業績の数字も厳しい。営業収益(売上)は前年同期比11.2%減の2,356億8,900万円、事業利益は前年同期比30.5%減の321億8,900万円で、最終損益は107億2,500万円のマイナスとなり、赤字に転落している。

ローソン

ローソンもファミリーマートと同じく、客数の2桁%減が続いている状況だ。2020年3月以降の客数は前年同月比で、3月7.7%減、4月19.3%減、5月20.8%減、6月14.4%減、7月15.1%減、8月13.2%減、9月13.4%減、10月12.0%減となっている。売上高も前年同月比で1割減程度の状況が続く。

2021年2月期第2四半期の連結業績は、営業総収入(売上)が前年同期比12.5%減の3,228億9,000万円、営業利益が前年同期比54.6%減の166億9,000万円、経常利益が前年同期比57.7%減の148億6,200万円で、最終損益は前年同期比83.6%減の33億700万円まで落ち込んだ。

ローソンも客数や売上高の減少の要因として、リモートワークの広がりや外出機会の減少を挙げている。

ミニストップ

最後にミニストップだが、前年同月からの客数の減少は1桁減と2桁減を行ったり来たりする状況だ。2020年3月以降の数字を追うと、3月4.6%減、4月14.5%減、5月15.3%減、6月9.6%減、7月14.2%減、8月8.4%減、9月11.4%減、10月12.4%減となっている。

ミニストップの2021年2月期第2四半期の連結業績は、営業総収入(売上)が7.8%減の918億8,000万円で、営業利益は27億500万円の赤字、経常利益は23億7,200万円の赤字、最終損益も26億5,500万円の赤字だ。

ミニストップはコロナ禍以前から業績低迷が続いており、2020年2月期まで3期連続で赤字を計上している。コロナで苦しい状況は続くが、消費者が自宅で食事をする機会が増えていることを受け、スイーツや寿司などの商品群の品揃えを強化するなどして対応している。

第3波による影響に懸念、商品配達の取り組みにも注目

このように、新型コロナウイルスはコンビニ各社の業績を圧迫している。日本では現在、第3波とも言える感染拡大が起きており、各社へのさらなる影響が懸念される。一方、最近ではUber Eatsなどでコンビニ商品を配達する取り組みも始まっており、売上の底上げにつながるかに注目したい。(提供:THE OWNER

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)