本記事は、坪田充史氏の著書『総理大臣の通訳が教える! マルチリンガルになるための”英語”最速マスター術』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています

時間を作り出す戦略を立てる

英語,オンライン学習
(画像=PIXTA)

「勉強しようと思うな。勉強するな!」

ボクは先輩からそう教わりました。え?勉強しちゃいけないの?と思うかもしれませんが、勉強時間を作ろうとすると作れないのです。

外国語は日常の中で自然と話せるようになるものです。あえて勉強時間を作って習得するものではないのです。あなたが日本語を習得したときも、ごく自然に日常生活で使っていたらいつの間にか話せるようになったのではないでしょうか。

スペイン語も同じです。たとえば「おはよう!」と挨拶するとき、「ブエノス、ディアス」と言ってみるのです。日本で会話していることを、そのフレーズをスペイン語で話してみてください。わからないフレーズはその場で調べればいいですし、現在はスマートフォンですぐに調べることができます。

これは、毎日の会話の中に練習の機会を取り入れるやり方です。勉強する時間を作り出そうとしなくていいわけです。

音声を聞くのも質の高い勉強法ですが、これも特別に時間をとる必要はありません。通勤時や運転中、家事のときにも聞くことができます。防水機能がついているスマートフォンを使い、お風呂で聞くこともできます。

そんなふうに、あえて時間を作り出さないで隙間時間を活用して語学を身につけるやり方をボクは推奨します。大事なのは勉強という感覚ではなく、話しているという感覚になることです。

とくに音声学習は重要です。音のリズムがつかめると、単語を覚えるスピードが明らかに変わります。音声と語の結合ができるので、脳への定着がスムーズになるのです。文字から入った学習者と音声から入った学習者とを比較すると、圧倒的に音声から入った学習者のほうが習得スピードは速いのです。

とにかく聞くことです。ネイティブスピーカーが話すリズムをきっちりととらえることが「文法」「リーディング」「語彙力」にまでいい影響を与えます。言葉と音声を結びつけることができるからです。

アメリカ英語とイギリス英語は違うとよくいわれますが、音声を聞いてみれば、誰でもはっきりとわかります。映画「ハリーポッター」はイギリス英語、ハリウッド映画の「トイ・ストーリー」はアメリカ英語です。「ハリーポッター」と「トイ・ストーリー」を比較してみればその差は歴然としています。

その他、重要な言葉は強調して発音しますし、疑問文のときの発音や、聞き分けられる音と聞き分けられない音の違いなども、とにかく聞くことで脳に定着していきます。文字を読むだけでは絶対に身につかないことが、聞くことで身につくのです。

日常生活の中で、とにかく聞いて、聞いて、聞きまくる。そんな勉強法をおススメします。

毎日アウトプットする

「アウトプットの法則」というものがあります。コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツ教授の実験結果です。知識を定着させるには、インプットとアウトプットの比率を3:7にするのがベストだというのです。

え?と思うかもしれません。日本の学校教育はインプット重視でアウトプットはほとんどされませんので、インプットが7割ではないかと思う人も多いのではないでしょうか。しかし実際は、インプットの2倍以上アウトプットしなければ知識は定着しないのです。

語学も同じです。頭に入れた外国語はどんどんアウトプットしましょう。

ラーニングピラミッドという考え方もあります(図4–2)。これは、学習法別に知識の定着率を測定したものです。「講義」はわずか5%です。「読書」は10%。「視聴覚教材を使う」のは20%。ここまでがインプットですが、アウトプットを入れた勉強法として「デモンストレーション」は30%。「グループ討議」は50%。「自ら経験する」は75%。「他人に教える」のは90%です。

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(画像=『総理大臣の通訳が教える! マルチリンガルになるための”英語”最速マスター術』より)

人に教えると、身につくスピードもアップします。教えるためには、こちらも学ばなければいけませんし、どうやって教えればいいかをいろいろと考えますから。

さらに教えていると、相手から「これって、こういうことじゃないですか?」「面白いYouTube動画を見つけましたよ」「こんな話を聞いたことがあります」とか、重要な情報を得ることもあるのです。

ボクもYouTubeやブログを使って、不特定多数の人へスペイン語を教えています。すると、コメント欄にいろんな書き込みがあり、それが案外勉強になるのです。これもアウトプットの大きなメリットだと思います。

初心者にとって、人に教えるのは少しハードルが高いかもしれませんが、とにかく身につけた言葉は日常生活で声に出すようにすればいいのです。相手が日本人だとちょっと恥ずかしいかもしれません。そんなときは、頭の中で出すだけで声に出さなくてもOKです。

とにかく、アウトプットです。覚えた単語でもいいし、例文でもかまいません。映画のセリフでもいいので話してみましょう。テレビ画面に向かって1人で話しても、公園を歩きながらブツブツとつぶやいてもいいのです。

英会話教室で話すとなると、1週間に1回程度になります。これでは、アウトプットが少なすぎます。3:7の法則を思い出してください。週に1回とか月に1回では上達が遅くなります。目の前に外国人がいるいないにかかわらず、毎日アウトプットするのです。

ボクのアカデミーでは、受講生らがSkypeやZoomなどを使って気軽にスペイン語で会話をしています。そんなふうに同じ志を持った仲間がいると便利です。毎日、1時間、2時間と、世間話をするだけでも、十分にスペイン語が習得できます。

総理大臣の通訳が教える! マルチリンガルになるための”英語”最速マスター術
坪田充史(つぼた・あつし)
コロンビア・ハベリアナ大学国際関係学部大学院修士課程卒。一般社団法人ことばインターナショナル代表理事。プレジデンシャルアカデミー校長。安倍総理とコロンビア大統領の拡大首脳会議同時通訳(2014年)、高円宮妃殿下、各国大使、大臣などの通訳経験を生かし、語学の習得だけでなく、語学スキルを仕事にして世界で活躍する方法を教えるプレジデンシャルアカデミーを立ち上げる。その後、わずか3年で、日本全国はもちろん世界18ヵ国で5万人以上(スペイン語では日本一)の会員数に。現在、各国大使館の信頼を得て、多岐にわたる事業を積極的に展開。日本と世界を結びつける事業の一方で、オリンピックをはじめとする国際イベントでの通訳の育成・輩出を行っている。2020年東京オリンピック・パラリンピック:コロンビア、アルゼンチン選手のスポンサー。2020年東京オリンピック:日本政府内閣官房ホストタウンアドバイザー。

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