本記事は、末永雄大氏の著書『キャリアロジック 誰でも年収1000万円を超えるための28のルール』(実業之日本社)の中から一部を抜粋・編集しています
会社選びという虚構
多くの人は良い会社を選ぼうと必死です。
せっかく内定をもらっても、もっと良い会社があるんじゃないか、とエントリーを追加する「会社選び難民」が後を絶ちません。
転職エージェントという仕事柄、「オススメの会社を教えてください」と聞かれることが多いのですが、ハッキリ言って、良い会社に入社するかどうかは、キャリア形成においては関係がありません。
もちろん、私もあえて悪い会社に入社しようなどとは勧めません。
が、良い会社に入社する=良いキャリア形成ができる、というわけではないのです。普通の会社でも、きちんと業界×職種経験を選択できれば有望なキャリアにできるのです。
私は、会社軸で選ぶのではなく、職種軸でキャリアを選ぶことをオススメしています。大手企業に勤められたとしても、配属部署によっては市場価値観点で不遇な経験を積むことになってしまうからです。
知名度はなく、小規模な会社でも、市場価値の観点で評価を得られる職種であれば、そちらを選択した方が有益な場合が多いのです。
例えば、有名私大を卒業して大手百貨店に入社し、店長の実務経験を3年間積んだAさんと、無名大学を卒業して30人規模の小規模ネット広告代理店でアカウントプランナーの経験を3年間積んだBさんであれば、どちらが市場価値が高いでしょうか。答えはBさんです。
Aさんは、あくまで、小売業界×店舗での経験が3年間で、転職できるのは同じ小売業界内に限られます。他の業界や職種は全くの未経験という評価なのです。
一方で、Bさんは、ネット広告業界の無形商材・法人営業職の経験が3年間ある、という評価になります。こうなると、ネット広告業界内での転職はもちろん、異なる業界の法人営業、大手事業会社のWEBマーケター職などへの転職可能性が広がっていきます。
このようにAさんとBさんをくらべたときに、企業の選択肢が多いのはBさんです。
前提として、そもそも良い会社に入ろうというスタンス自体が「会社内価値」を高める思想で、「市場価値」を高めようという発想ではありません。
たとえブラック企業であっても、経験した実務内容が良いものであれば、おのずとその人の市場価値は高まるのです。
逆に、どんなにホワイト企業でも、市場価値観点で評価される経験ができなければ意味がないのです。
ブラック企業であっても、ホワイト企業であっても、そこで得られる業界×職種の実務経験がキャリア形成上、重要なのです。
ここで、企業をマトリクスに整理してみると、「①ブラック×市場価値高まる」「②ブラック×市場価値高まらない」「③ホワイト×市場価値高まらない」「④ホワイト×市場価値高まる」の4つの象限に分類できます。
あくまで市場価値を高める観点で考えると、
「ホワイト×市場価値が高まる」→「ブラック×市場価値が高まる」→「ホワイト×市場
価値が高まらない」→「ブラック×市場価値が高まらない」の順番で選択できると良いでしょう。
しかし、現実は「ホワイト×市場価値が高まる」という会社は少なく、市場価値が低い段階では内定を得られないのが現実で、「ブラック×市場価値が高まる」からキャリアが始まるのが実情です。
なので、最初は「ブラック×市場価値が高まる」会社で市場価値を高めて、その後に「ホワイト×市場価値が高まる」か、「ホワイト×市場価値が高まらない」会社の専門職ポジションに転職するのが賢い戦略でしょう。
よくキャリア論で「石の上にも3年」という言葉を聞くと思います。
しかし、一概にそうとは限らず、「市場価値が高まること」が前提です。身体や精神を壊さないことを前提として、市場価値が高まるのであれば、キャリア形成においてブラック企業でも3年間やり切るメリットは十分にあります。
ですが、市場価値が高まらないなら、ホワイト企業であっても、ブラック企業であればなおさら3年を待たずして辞めてしまっても良いでしょう。
年齢が若い方が未経験の求人にチャレンジしやすいためです。1年でも早く市場価値が高まるキャリアを積んでいくのに超したことはありません。
●まとめ
・良い会社を選ぼうとすることはキャリア形成や市場価値を高めるうえでは意味がない ・良い会社かどうかで選ぶよりも、職種で選ぶ方がキャリア形成で有利になる ・ブラック企業かホワイト企業かではなく、市場価値が高まる経験が積めるか否かで仕事を選ぶべき
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