本記事は、高橋ダン氏の著書『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています

不動産は頻繁に価格を見る必要がない

不動産投資,資産運用,頭金
(画像=smolaw/Shutterstock.com)

私が個人的に好きな投資対象は、不動産と貴金属です。不動産の世界にはプロがたくさんいますが、私が実践していることで他の投資家と少し違うのは、さまざまな国で不動産を購入していることです。

アメリカでも何度も投資しましたし、マレーシア、ベトナム、インドネシアでも経験があります。シンガボールでは投資していませんが、4年間住んで現地の様子はおおよそわかっているので、ブローカーに協力してもらいながら情報収集をしています。

世界のお金持ちも不動産には積極的に投資しています。お金持ちが不動産を好きな理由の一つは、価格を頻繁に見る必要がないからです。

株式や債券は時に値動きが激しくなるため、ストレスを感じてしまいます。ヘッジファンドを運用しているときは、お客さんと夜中の2時、3時まで電話していることもありました。「ダン、なぜ価格が動いているの?」とよく聞かれました。みんなストレスを感じていたのです。

もちろん、不動産の価格も動きますが、常にチェックしている必要はありません。

また、土地はどんなに価格が下がってもゼロになることはほぼないのです。他の金融商品はゼロになることもあれば、マイナスになることもあります。

しかも金融機関からの融資を利用することで、少ない資金で物件を買うこともできます。

私が最初に買ったコネチカットの物件は5つのベッドルームがある戸建て(次項参照)で、それを大学の人たちに貸しました。底値で買ったのでとても良い投資になりました。

私がコネチカットで不動産投資をすることになったきっかけ、底値で購入できた理由などは次項で紹介します。

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(画像=『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』より)

summary
土地の価格は下がってもゼロになることはほぼないためリスクが低い。

不動産は安全でリターンが高い投資!?

私が不動産投資を始めたのは2010年(24歳)のこと。19歳のときにウォール街でインターンを始めて、21歳でプロフェッショナルとして入社したのですが、すぐにリーマンショックが起きました。

そのとき何冊も本を読んで、不動産投資に興味を持ちました。

なぜなら、歴史的に大きな財産を築いた人の多くは、銀行からお金を借りて不動産を買っていることを知ったからです。

ただ当時は働き始めたばかりで、手元資金があまりなかったので、すぐに投資を始めることはできませんでした。

お金を貯めながらチャンスをうかがい、2009年に株式市場が底を打ったタイミングで本格的に不動産を探し始めました。

5歳年上の先輩が5〜10戸保有する不動産のプロだったので、彼のおすすめを聞きました。彼が保有している近くの物件を見せてもらい、高い家賃収入を得られることを知りました。

場所はニューヨークの近くにあるコネチカット。ニューヨークからは電車で50分ほどの距離です。

そして、2010年に最初の不動産を買いました。いまでも鮮明に覚えています。運良くマーケットが底に近いときに買ったので、その後の3〜5年で価格は50%ほど上がりました。

購入するときにローンを利用していたので、実際に投資した金額は物件価格よりはるかに少ない金額でした。それでも投資資金は3〜5年で約3倍になったのです。

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(画像=『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』より)

そのとき、思いました。

「こんなに簡単にお金を3倍にできて、しかも安全性が高い」

戸建ての物件で土地も付いていましたし、家賃の利回りも約12%ありましたので、とても良い投資でした。

そこからベトナムやインドネシア、マレーシアなど東南アジアに行って、不動産投資をしました。

私は日本国籍を持っていますが、日本ではまだ不動産投資をしたことがありません。これからはチャンスが来ると思うので、日本でも不動産投資を考えています。

summary
歴史的に見てお金持ちは、銀行から融資を受けて不動産を購入している。

おすすめは「戸建て」投資

不動産投資は大きく2つのカテゴリーに分かれます。住宅(レジデンシャル)と商業施設(コマーシャル)です。他にもさまざまなものがありますが、代表的なのはこの2つです。

住宅にはさらにマンション、アパート、戸建てに分かれます。一方、商業施設にはオフィスビルや物流施設、工場、ホテルなどがあります。

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(画像=『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』より)

これまで私が知り得た経験だと、商業施設のほうが景気変動の影響を受けやすいといえます。景気が悪くなると、商業施設もそれに反応して価格が下落するということです。特に小売店、工場、ホテルはその影響を受けやすい傾向があります。

住宅では、マンションやアパートは一戸当たりの土地の面積が戸建てよりも非常に小さいのが特徴です。

戸建てかマンションかで迷う人もいると思いますが、投資として考えるなら戸建てが有利というのが世界的な認識です。基本的に、戸建てのほうが土地の面積が大きいからです。

マンションはごく限られた土地の所有権しかありません。いまは土地の価格が下がっているとしても、10年、20年先には上がっているかもしれません。そのときに有利なのは、土地の面積が広い戸建てです。

もう一つ、戸建てが有利である理由として、供給の問題があります。戸建ては土地がなければ戸数を増やすことはできませんが、マンションは違います。

マンションの場合、同じ土地の面積でも高層化するなどによって、供給戸数を増やすことが可能です。供給が増えれば価格が上がりにくくなることもあります。この点でも、不動産投資をする際には戸建てが有利だと考えています。

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(画像=『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』より)

summary
土地は供給を簡単に増やせないので土地を持っていたほうが安全。

株式市場が底打ちした2年後に不動産市場が動く!?

アメリカにはさまざまなデータベースがありますが、私が特に好んでよく見ているのは「FRED」のデータです。

アメリカには、中央銀行であるFRBの支店的な役割を果たす連邦準備銀行が12あります。そのうちの一つ、セントルイス準備銀行が運営している経済統計データサイトがFREDです。

FREDでアメリカの歴史的な住宅の平均価格(ハウスプライス・インデックス)を見ると、2008年に始まったリーマンショックによる景気後退は2009年まで続きました。

その後、住宅価格が本当に下がり始めたのは2011年末から2012年初めです。相当な遅れがありました。

このときの株式市場を見ると、2009年の3月に底をつけています。つまり、不動産価格が底をつけたタイミングとは約2年半のズレがあったのです。この点は非常に面白いと思います。

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(画像=『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』より)

次に日本も見てみましょう。日本の住宅価格は2013年に底をつけ、アベノミクスで本当に上がり始めたのが2014年です。同じ時期の日経平均株価を見ると、上がり始めたのは2012年末からでした。ここでも遅れが1〜2年間あったことになります。

このように、不動産市場は株式市場の後に動くことが多いのです。同じ時期に動くときもありますが、直近の景気後退を見るとアメリカ、ユーロ圏、日本ともに不動産価格の上昇は、株式市場の上昇の約2年後に始まる傾向があるといえます。

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(画像=『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』より)

summary
アメリカ、日本ともに不動産市場は株式市場に遅れて動く。

世界のお金持ちが実践するお金の増やし方
高橋ダン(たかはし・だん)
東京生まれ、日本国籍。10歳までの多くを日本で過ごす。その後アメリカに移り、12歳で投資を始める。21歳のときにコーネル大学をMagna Cum Laude(優秀な成績を収めた卒業生に与えられる称号)で卒業。ニューヨークのウォール街で19~20歳のときにサマーインターンとして働く。その後21歳でフルタイム勤務を開始し、投資銀行業務、取引に従事する。26歳でヘッジファンド会社を共同設立し、30歳で自身の株を売却。その後シンガポールに移住。約60ヵ国を旅し、2019年秋に東京に帰国。2020年1月にYouTubeでの動画投稿を本格始動し、わずか3ヵ⽉でチャンネル登録者数が10万人を超える。同年8月現在、日本語のメインチャンネルが20万人、英語チャンネルが4万人。納豆と筋トレをこよなく愛する。

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