「社長が選ぶ今年の社長」というランキングの2020年版で、今年も作業服大手ワークマンの小濱英之氏がトップ5に選ばれた。トヨタの豊田章男社長やソフトバンクグループの孫正義社長など、世界的に超有名な経営者に混じってのランクインだ。小濱氏はどんな点が評価されたのか。

「社長が選ぶ 今年の社長 2020」のランキング

ワークマン
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

「社長が選ぶ今年の社長」は、学校法人「産業能率大学」の総合研究所が毎年発表しているランキングだ。2008年に第1回を実施し、2020年は13回目の発表となる。

ランキングは、従業員6人以上の企業経営者に対し、その年の最優秀経営者が誰かを聞く形式で行われており、2020年版の調査は11月20~24日の5日間で555の有効回答を得た。その結果が以下の通りとなった。

<社長が選ぶ 今年の社長 2020>
1位(2位)169票:豊田章男氏/トヨタ自動車(代表取締役社長)
2位(1位)49票:孫正義氏/ソフトバンクグループ(代表取締役会長兼社長)
3位(4位)45票:大山晃弘氏/アイリスオーヤマ(代表取締役社長)
4位(3位)41票:小濱英之氏/ワークマン(代表取締役社長)
5位(6位)30票:永守重信氏/日本電産(代表取締役会長 CEO)
5位(18位)30票:似鳥昭雄氏/ニトリホールディングス(代表取締役会長)
7位(5位)20票:柳井正氏/ファーストリテイリング(代表取締役会長兼社長)
8位(初)18票:古川俊太郎氏/任天堂(代表取締役社長)
9位(7位)16票:吉田憲一郎氏/ソニー(代表執行役 会長兼社長 CEO)
10位(33位)10票:星野佳路氏/星野リゾート(代表)
※順位の右隣の()は前年順位

2年連続でトップ5入りしたワークマンの小濱氏

ワークマンの小濱氏は、2019年版で初めてこのランキングに登場し、2020年版では前年から1位順位を下げたものの、依然として4位でトップ5にランクインしている。では小濱氏に投票した理由としては、どのような声が多かったのか。

具体的には「市場をみる目、感性、判断力が素晴らしい」「作業着の概念を変えた」「社員に予算を付けない、頑張らせない等、普通には考えられない社員指導で売り上げを爆上げしている」といった声が多かったという。

回答者の年代別ランキングでは、小濱氏は40代以下で3位タイ、50代で5位タイ、60代で4位となっており、若い世代の経営者から特に評価されていることが分かる。

商品開発部長時代からの小濱氏の功績

小濱氏が率いるワークマンは、近年急激に業績を向上させていることで知られている。チェーン全店の売上高は、2016年3月期は714億6,500万円だったが、2020年3月期は1,220億4,400万円まで増えた。2021年3月期は1,400億円規模の売上を見込んでいる。

売上高を伸ばしているだけではなく、利益もしっかりと残せている。2016年3月期は62億3,300万円だった純利益が、2020年3月期には133億6,900万円と2倍以上に膨らんだ。売上高、純利益ともに綺麗に右肩上がりの状況が続いているのだ。

もちろん、これがそのまま小濱氏の功績と言えるわけではない。小濱氏は、大学卒業後にワークマンに入社したプロパーだが、2019年4月に新社長に就任したばかりだからだ。

しかし、それでも小濱氏がほかの経営者から大きく評価されるのは、商品開発部の部長などをしているときにアウトドアを意識した商品開発に取り組み、いまのワークワンの快進撃の火種を作ってきたからだ。そしてワークマンは職人だけではなく、一般客の取り込みにも成功している。

コロナ禍においても業績好調、小濱流「任せる」経営術も奏功

小濱氏に対する評価はそれだけにとどまらない。

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した2020年4~6月期においても、ワークマンは30.5%増という営業利益を残した。小濱氏が社長に就任後、低価格と機能性を両立させることやファッション性を高めることに注力したことが、このような結果につながったといえる。

さらに最近では、女性客の集客にも力を入れ始めている。作業着は男性の使用を意識した商品が大半だったが、女性の使用を想定した高機能な衣料品の販売に力を入れ始めた。小濱氏の時代になり、ワークマンは作業服店からさらに進化を遂げている。

また、小濱氏は「任せること」の重要性を強調している。人は誰でも任せられると、やりがいを感じる。このような基本的なことを小濱氏は実践し、ワークマンで働く全ての従業員がよりいきいきと動ける職場作りに力を入れた。

来年のランキングでもトップ5入り!?

小濱氏は、コロナ禍も動じない。「社長が選ぶ今年の社長」は毎年発表される。このままの調子でワークマンの快進撃が続けば、小濱氏は来年もトップ5入りしそうだ。引き続きランキングに注目である。(提供:THE OWNER

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)