FRBの方針に影響するか

前述の通り、雇用統計の結果が良好だったことを受け、FRBの緩和終了後の最初の利上げは、2015年半ばであろうと期待されている。つまり、それ以上の前倒しは無いであろうとの予想だ。

また、FRBは時間当たり賃金の変化を重視しており、今回市場が雇用統計に大きく反応しなかったのは、この時間当たり賃金がFRBの期待に応えていないためである。FRBはかねてから利上げの条件として雇用情勢の改善を上げているが、特に賃金の伸びとインフレ率が期待通りでは無いことが、利上げに慎重にさせるはずだからだ。さらにFRBはフルタイム勤務を希望しているにもかかわらずパートタイムで働いている人数の改善が鈍いことも重視している。結局、FRBは利上げに慎重な姿勢を崩していないが、それでも出口戦略に関する議論が加速することは間違いなであろう。FRBは28~29日のFOMC(連邦公開市場委員会)で量的緩和政策の終了を決めるであろうと見られている。その際、ゼロ金利政策の解除時期についても議論されるはずだ。


FRBが注目する「LMCI(労働市場情勢指数)」

FRBは10月6日に、新たに開発した指数であるLMCI(労働市場情勢指数)を公表した。その結果、労働市場は夏場に失速したが、9月にはLMCIが2.5ポイント上昇し、勢いを取り戻したことを示した。

LMCIは失業率、平均時給、フルタイムが見つからないためパートタイムで働いている人数など、19の労働関連指数から算出されており、LMCIは景気拡大局面では上昇し、景気後退(リセッション)曲面では低下します。従って、米経済がリセッションを脱した2009年半ば以来では、LMCIが低下したのは2ヶ月のみだ。

ちなみに2014年1月と2月のLMCIは3ポイントの伸びで、これは労働市場の回復が鈍化していることが読み取れる。3月は4.9ポイント上昇し、4月は2012年2月以来の高水準である7.1ポイントを示した。

ところが5月から8月にかけて再び減速し、それが9月で要約上昇に転じたため、FRBが利上げ時期を巡る議論を活発化させる可能性が高まった。とはいっても8月の2.0が2.5になっただけで、相変わらず低い水準だ。

イエレンFRB議長が、失業率は必ずしも労働市場の全容を示していない、と語っていることは、逆にLMCIを重視していることを示しているのだろう。つまり、利上げ時期を見極めるには、LMCIの今後の数値に注目する必要がある。

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