この記事では、これからFX取引を始める人に向けて、通貨ペアの表記の読み方や意味、通貨ペアの特徴をわかりやすく解説する。

FXでリターンを得るには、基本的な知識の習得をおろそかにしないことが大切だ。通貨ペアの特徴を知ることで、自然と自分に合ったトレードスタイルも見えてくるだろう。

FXの通貨ペアとは?

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(画像=PIXTA)

FXとは、二国間の通貨を売買し、為替差益や金利差収入(スワップポイント)の獲得を目指す投資手法のことだ。FXでリターンを得るには、通貨ペアの選び方がポイントとなる。

まず、FXの通貨ペアについて基本的な知識を押さえておこう。

FXの通貨ペアの表記

通貨ペアとは、売買する二国間の通貨のことだ。FXでは、まずトレードする通貨ペアを選択する。通貨ペアは間を「/」で区切って下記のように表記される。

米ドル(USD)/日本円(JPY)
ユーロ(EUR)/米ドル(USD)
豪ドル(AUD)/日本円(JPY)

FXでは英字表記されることも多いため、カッコ内には各通貨の英字表記を記載した。FX取引をするなら、主だった通貨については英字表記を見てもどの通貨かすぐわかるようにしておきたい。

取引通貨と決済通貨

通貨ペアの表記では、「/」の左側を「取引通貨」と呼び、右側を「決済通貨」と呼ぶ。

為替レートは、1通貨単位の取引通貨を、どのくらいの決済通貨と交換できるかを表す。たとえば「米ドル/日本円」の為替レートが「103円」という場合、1ドルを103円と交換できるという意味だ。FXでは、左側の取引通貨を基準に取引をする。たとえば、取引数量が1万通貨という場合、取引通貨を1万通貨売買することをいう。

そのため、為替差益が生じるのは右側の決済通貨となる。たとえば、「1ドル=100円」の時に1万円で100ドルを購入したとして、その後「1ドル=110円」の時に100ドルを売却したとすると、1万1,000円の日本円が手に入り、1,000円の為替差益が発生する。

取引通貨で取引し、決済通貨で為替差益が出ると理解しておくとわかりやすいだろう。

クロス円とドルストレート

通貨ペアのうち、米ドル以外の通貨と日本円の組み合わせを「クロス円」と呼ぶ。

米ドルは世界の基軸通貨なので、たとえば「ユーロ/日本円」の取引をする場合、「ユーロ/米ドル」と「米ドル/日本円」を掛け合わせてレートを算出する。このようなケースを「クロス円」と呼ぶ。「豪ドル/日本円」「英ポンド/日本円」などもすべて「クロス円」だ。

一方、「米ドル/日本円」など、米ドルがふくまれる通貨ペアを「ドルストレート」と呼ぶ。日本円以外でも、米ドルが含まれる通貨ペアはすべて「ドルストレート」だ。

「クロス円」「ドルストレート」といった単語は、FXに関するレポートやニュースなどで出てくることがあるため、覚えておくといいだろう。

FXの通貨ペアを学ぶ!メジャー通貨とマイナー通貨 とは

FXでは、取引量の多い通貨をメジャー通貨と呼び、取引量の少ない通貨をマイナー通貨と呼ぶ。続いて、メジャー通貨とマイナー通貨の特徴や具体例を解説していく。

メジャー通貨とは?特徴や代表的な通貨を紹介

取引量の多いメジャー通貨は、流動性が高く、値動きがなだらかで、約定しやすい(申し込んだ金額で取引が成立しやすい)という特徴がある。また、FX取引の実質的な手数料といえるスプレッド(通貨の買値と売値の差)が狭い。

代表的なメジャー通貨は下記の通りだ。

米ドル(USD)
ユーロ(EUR)※欧州連合(EU)で使われている通貨
日本円(JPY)
英ポンド(GBP)
豪ドル(AUD)
カナダドル(CAD)
スイスフラン(CHF)

マイナー通貨とは?特徴や代表的な通貨を紹介

マイナー通貨は取引量が少ないことから、少しの要因で大きく値上がり・値下がりするという特徴を持つ。また、取引量が少ない通貨ほど約定しにくく、損切ラインを越えてしまうリスクもある。さらに、実質的な手数料であるスプレッドが広く、取引コストがかかるのも難点だ。

主なマイナー通貨は下記の通りだ。

南アフリカランド(ZAR)
トルコリラ(TRY)

FXの主要な通貨ペアの特徴は?

続いて、FXの主要な通貨ペアをピックアップし、特徴を解説する。FX取引をするなら、どの通貨ペアを選ぶかは非常に重要だ。それぞれの特徴を押さえ、自分に合った通貨ペアを選ぶようにしたい。

米ドル/日本円

日本で人気の高い通貨ペア。世界でも第2位の取引量を誇る。

海外旅行や海外出張で、ドルになじみがある人も多いだろう。アメリカの情報は日本でも比較的ニュースなどから入手しやすく、投資判断に活かしやすい。取引量が多いことから流動性が高く、値動きも安定しており、約定しやすい。スプレッドも狭いことから、FX初心者にとっても取り組みやすい通貨ペアといえる。

スプレッドが狭いこと、流動性が高いことから、数秒から数分でトレードするスキャルピング、1日のうち数時間トレードするデイトレードにも適している。また、中長期にわたって投資する場合は、日米の経済政策の動向を注視し、ファンダメンタルズ分析も取り入れて値動きを予測したいところだ。

ユーロ/米ドル

世界で最も多く取引されている通貨ペア。取引量が非常に多いことから、スプレッドが狭く、約定しやすい。値動きは「米ドル/日本円」より激しいが、比較的安定している。

上昇トレンド、下降トレンドになると、トレンドが長く続く傾向がある。そのため、「ユーロ/米ドル」では、チャートから値動きを読むテクニカル分析を活かしやすいといわれている。EUやアメリカの情報は日本のニュースでも入手しやすいことから、日本円を介さない通貨ペアの中では、取り組みやすいといえるだろう。

ユーロ/日本円

「クロス円」の通貨ペア。「米ドル/日本円」に比べると値動きは激しい。ユーロは取引量の多い通貨なので、スプレッドは狭い。

「ユーロ/米ドル」「米ドル/日本円」のレートに左右されるため、「ユーロ/日本円」の通貨ペアを保有するなら、「ユーロ/米ドル」「米ドル/日本円」の動向も注視しておきたい。

豪ドル/日本円

オーストラリアの通貨である豪ドルと日本円を組み合わせた「クロス円」の通貨ペア。

オーストラリアは鉱物をはじめとした天然資源の豊富な国で、鉱物のコモディティ市場と関連性が深い。また、オーストラリアは最大の貿易相手国である中国経済の影響を受けやすいという特徴がある。

そのため、「豪ドル/日本円」の通貨ペアを保有するなら、コモディティ市場の値動きや中国経済の動向をチェックしておくことが大切だ。

英ポンド/日本円

イギリスの通貨であるポンドと日本円を組み合わせた「クロス円」の通貨ペア。英ポンドは米ドルが台頭する前のかつての基軸通貨だ。現在でも、世界で4番目の取引量を誇っている。

「英ポンド/日本円」は値動きが激しい通貨ペアとして、FXトレーダーの間で人気がある。値動きが激しいということは、短期的な利益を狙いやすいということだ。そのため、数秒から数分でトレードするスキャルピング、1日のうち数時間トレードするデイトレードに適している。

ただし、値動きが激しいということは、一瞬で大きな損失を出してしまうリスクもあるということを意味する。その点を理解して、FX初心者ならまずは少額からトレードを始めたい。

スワップポイントを狙える通貨ペア

FX取引では、為替差益を狙う投資手法と、金利差であるスワップポイントを狙う投資手法がある。まず、スワップポイントの魅力を簡単に説明する。

スワップポイントとは?

スワップポイントとは、二国間の金利差によって得られる収入のことだ。

たとえば、日本のような低金利の国の通貨にかわって、金利の高い国の通貨を保有することで、金利差分を毎日受け取れる。金利差によって生まれる利益といえるだろう。長期的に通貨ペアを保有し、スワップポイントを受け取ることを目的としてトレードするスワップトレードという投資手法もある。

マイナススワップに注意

一方で、スワップポイントで注意しなければならないのが、金利差が逆転した時だ。金利差が逆転した場合、逆に毎日金利差分を支払わなければならない。これをマイナススワップという。

通貨ペアを保有している間は、マイナススワップになるリスクを十分に警戒し、取引コストが知らぬ間にかさんでしまうことがないよう注意したい。

スワップトレードにおすすめの通貨ペア

スワップトレードに適しているのは、金利水準の高い新興国の通貨だ。たとえば、スワップトレードでは下記のような通貨ペアが人気だ。

トルコリラ/日本円
メキシコペソ/日本円
南アフリカランド/日本円

新興国通貨では、政策金利が10%を超えることもあり、スワップポイントだけでかなりの利益になることがある。スワップポイント狙いで通貨ペアを保有するのも1つのトレードスタイルだ。

スワップトレードに適したFX会社5選

FX会社によって取り扱っている通貨ペアには違いがある。また、同じ通貨ペアでも、FX会社によってどのくらいスワップポイントを受け取れるかは異なる。そのため、スワップトレードをするなら、FX会社は慎重に選ぶ必要がある。

続いて、スワップトレードに適したFX会社を5社紹介する。下記の5社はすべて、「トルコリラ/日本円」「メキシコペソ/日本円」「南アフリカランド/日本円」というスワップポイントの高い新興国の通貨ペアをすべて取り扱っている。

LIGHTFX

特に「南アフリカランド/日本円」のスワップポイントが、業界でも最高水準を誇る。「英ポンド/日本円」や「豪ドル/日本円」など主要通貨ペアのスワップポイントも高く設定されている。スワップトレードに力を入れているFX会社といえるだろう。

外為どっとコム

「トルコリラ/日本円」「メキシコペソ/日本円」「南アフリカランド/日本円」のどのスワップポイントも高水準。お得なキャッシュバックキャンペーンにも注目したい。

FXプライムbyGMO

「トルコリラ/日本円」のスワップポイントは、LIGHTFXやみんなのFXと並んで業界最高水準を誇る。無料オンラインセミナーが充実しているのも初心者にとって安心なポイントだ。

みんなのFX

「トルコリラ/日本円」のスワップポイントは、LIGHTFXやFXプライムbyGMOと並んで業界最高水準を誇る。「南アフリカランド/日本円」もLIGHTFXに次いで高水準。

ヒロセ通商

「トルコリラ/日本円」「メキシコペソ/日本円」「南アフリカランド/日本円」のどのスワップポイントも高水準。キャッシュバックキャンペーンやプレゼント企画が充実しているのも特徴だ。

自分に合った通貨ペアでFXトレードをスタートしよう

通貨ペアにはそれぞれ特徴があり、適したトレードスタイルがある。通貨ペアの特徴を理解し、自分に合った通貨ペアを選ぶことが大切だ。

短期のトレードを繰り返すスキャルピングやデイトレードをするなら、スプレッドの狭い主要通貨ペアからスタートしたい。慣れてきたら、少しずつ値動きの激しい通貨ペアにチャレンジしてみよう。

中長期で通貨ペアを保有し、スワップポイントを狙うなら、まずはFX会社選びが重要だ。金利水準の高い新興国通貨なら、高いスワップポイントを期待できる。

ただし、新興国通貨を保有することにはリスクもある。また、知らぬ間にマイナススワップになっていないかどうかも注視しておかなければならないだろう。