企業の事業展開には、これまで金融機関からの融資のほか、株式や社債の発行による投資家からの資金調達が主流であった。しかし、技術の発展により事業主と個人がSNSなどのプラットフォームを通じて簡単に繋がり合える時代には、お金の流れにも変化が訪れ「共感」を得ることでマネーが動くようになってきている。
クラウドファンディング登場でお金の流れに変革
そのマネーの流れに変革をもたらしたのが「クラウドファンディング」である。クラウドファンディングとは、不特定多数の人から資金を集めてプロジェクトを実現していく仕組みだ。事業主にとっては新たな資金調達手段、出資者はプロジェクトの応援団となり、新たな投資スタイルともなる。
クラウドファンディングと一口に言っても、プロジェクトによって資金の流れは以下の4つに大きく分類される。
●1.寄付・購入型
文字通り、プロジェクトに資金を寄付したり、資金を拠出したりすることでサービスや製品を受け取るタイプのクラウドファンディングである。
●2.融資型
「ソーシャルレンディング」と呼ばれることもある。プロジェクトを運営する企業などが出資者に対し利息を支払う。
日本クラウドファンディング協会が公表したデータからタイプ別の一例として融資型の市場規模をみると、2019年は1,113億円の資金がクラウドファンディングを通じて調達された。
●3.ファンド型
融資型にも類似しているが、出資者は利息ではなく分配金としてリターンを受け取るのが特徴である。
●4.株式投資型
投資の見返りとして、プロジェクトを実施する企業の未公開株を受け取ることになる。
「応援、共感、支援」ができる投資先は多様
クラウドファンディングで事業者と投資家を結び付けるプラットフォームでは、数多くのプロジェクトが紹介されて資金提供を呼び掛けている。
クラウドファンディングで資金を提供する際には、投資家という性格もさることながら、一個人としてそのプロジェクトに対し共感や応援、支援といった気持ちが生じる。こうした投資家一人一人の気持ちが輪となって資金が集まり、プロジェクトが推進されるのがクラウドファンディングの醍醐味でもあるだろう。
具体的なプラットフォームとして「Makuake」「READYFOR」「GREEN FOUNDING」「Crowd Bank」「FUNDINNO」などが提供するクラウドファンディングの利用が広まってきている。プラットフォームを提供する上場企業の中には、株価が右肩上がりで成長しており、投資家からもクラウドファンディングに対する期待が伺える。
直近では新型コロナウイルスの感染拡大による外出抑制を含む社会的隔離措置の影響から、観光業や飲食業など幅広い産業が打撃を受けた。イベントのキャンセルや販売先を失った事業者の苦難に共感し、ビジネスを応援・支援したいと心を動かされて、さまざまなプロジェクトに資金が集まっている。
銀行預金でもプロジェクト支援が可能
プロジェクトを応援するための資金を提供するプラットフォームは、クラウドファンディングが中心となって拡大している。一方で、金融機関の預金を通して企業や事業所のプロジェクトの支援ができる環境も整備されている。
具体的には、10万円の定期預金や1,000ドルの外貨預金を顧客が銀行に預ける際、障がい者へのスポーツ用義足の提供や、各地の子ども食堂の運営など支援するプロジェクトを選択できる。銀行は預かったお金の一定割合を、顧客が選択したプロジェクトに寄付する形となり、顧客が寄付金を負担する必要はない。
こうした取り組みは、貧困削減やすべての人に健康と福祉を提供することなどを目標とする国連の持続可能な開発目標 (SDGs) に貢献する商品として、「ジャパンSDGsアワード」で特別賞を受賞するなどの評価を得ている。
投資によって自らの利益を上げたり資産増やしたりという願望も去ることながら、心を動かされるようなプロジェクトに対して共感し、ビジネスを応援・支援したいという思いから、投資マネーが動く時代を迎えているのだ。
(提供:大和ネクスト銀行)
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