新しいインデックスの登場
『スマートベータ指数』は、2014年の春に公的年金を運用する年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が新たな投資基準のひとつとして採用することを発表し、話題になったものだ。従来のパッシブ運用とアクティブ運用とは異なった特徴を持つ指数となる。伝統的な時価総額加重インデックス(たとえば、TOPIXやS&P500)の持つ課題に対して、それを代替するインデックスとして注目が集まった。
スマートベータ指数とは
スマートベータ指数は、その定義にもいくつかあり、正式なものがまだ明確には決まっていない。野村証券の定義を引用すると、「スマートベータ指数は、従来の時価総額型の指数のように市場全体の平均や値動きを代表する指数ではなく、財務指標(売上高、営業キャッシュフロー、配当など)や株価の変動率などの銘柄特定の要素に基づいて構成される指数」となる。
今まで世界の金融市場で使われてきた時価総額加重インデックスは、インデックス構成銘柄を時価総額のウエイト付けされたインデックスである。割高な銘柄のウエイトが大きく、反対に割安なウエイトが小さくなるため、割高・割安が修正されるときには、インデックスのリターンが低下するという問題を抱えている。
しかし、スマートベータ指数は“時価総額以外”の基準でウエイトを付与するインデックスであるため、こうした問題を持たない。それにより、スマートベータ指数の方が時価総額加重インデックスよりも良いリターンが出せる、また、かかるコストも低く抑えることができるとされる。
スマートベータ指数を利用することで、「時価総額型指数の問題点を改善できるうえに手数料も安くすむ」、別の言い方をすれば、「パッシブ運用でありながらアクティブ運用の側面をもつ投資が可能」とういうメリットを持つことになる。このメリットにより、特に年金業界で導入が広がってきているのだ。