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エボラ出血熱が西アフリカを中心に世界で猛威をふるっている。WHO(世界保健機関)の10月8日付の発表によると、エボラ出血熱は西アフリカを中心に発生し、西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネ、の3カ国において10月5日時点での感染者(疑いも含む)は8,033人、死者が3,865人とのことである。そのような状況で、本稿ではエボラ出血熱関連銘柄としてどのような銘柄が挙がり、それらの今後の見通しを分析していく。


多彩なエボラ出血熱関連

①アゼアス < 3161 >
防護服販売
②富士フィルムホールディングス < 4901 >
子会社(66%出資)の富山化学工業が治療薬を開発
③大正製薬ホールディングス < 4581 >
富山化学工業に34%出資
④テルモ < 4543 >
注射器、カテーテル
⑤オカモト < 5122 >
手術用や検査検診用の手袋製造
⑥高砂熱学工業 < 1969 >
医療用クリーンブース
⑦日本光電 < 6849 >
医療機関向けに温度感知機器装置を販売

このなかで、エボラ出血熱の動向と最も関連が深いのは、富士フィルムと大正製薬が出資する富山化学工業である。なぜなら富山化学工業が開発している薬がエボラ出血熱治癒に使われる可能性が高いからだ。具体的には、富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン(一般名:ファビピラビル)」をフランスで、エボラ出血熱に感染したフランス人女性看護師に投与したところ、エボラ出血熱が治癒して退院したと、富士フィルムホールディングスが10月6日付ニュースリリースで発表している。

また、当リリースでは、ドイツでも「アビガン」をエボラ出血熱患者に投与したとの発表がされており、フランス、ドイツを始め各国から「アビガン」の提供要請を受けているとことである。
2014年3月期決算において、富山化学工業の売上高は約108億円(2014年3月期)富士フィルムホールディングス全体の連結売上高2兆4,400億円からすると0.5%も占めず、微々たるものである。しかしながら、富士フィルムホールディングスの2014年3月有価証券報告書によると、メディカル事業を成長事業と位置付けており、富山化学工業が持つ抗生物質製剤が医薬品事業の売上拡大に貢献したとの記述があることから、富山化学工業が富士フィルムホールディングスのメディカル事業の中で、重要な位置を占めていることが考えられる。


他銘柄への影響は限定的

エボラ出血熱はアメリカ合衆国での感染が確認され、アフリカ大陸以外での感染の拡大が懸念されている。しかしながらWHOの発表では、血液や排泄物、母乳や精液で感染するとしているが、咳やくしゃみでは殆ど感染しないとしており、新型インフルエンザより感染力は弱い。また、西アフリカの国の医療体制が貧弱で、感染した患者の隔離がうまくできていないケースも感染拡大の一因となっており、エボラ出血熱の感染は日本や欧米諸国に拡大しないと考えるのが自然だろう。このような状況を考慮すると、治療薬以外の医療用設備や器具でエボラ出血熱感染銘柄に挙げられている銘柄については、エボラ出血熱拡大によって業績の向上に結び付くとは考えにくい状況である。

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