投資信託では、実際の資産運用が投資信託運用会社のプロによって行われます。そのため、素人が株式や債券などを実際に購入して行う投資に比べると、失敗しにくいと言えるでしょう。
しかし、そんな投資信託でもやはり失敗は起こり得ます。大きな損失が出ないようにするには、対策・ポイントを事前に理解しておくことが大切です。今回は、投資信託の失敗とはどのような状態なのか、失敗しやすいケースとしてどのような状況が考えられるのかについて解説します。
投資信託の失敗は予備知識のなさに起因することが多い
投資信託における失敗とは様々な例が存在しますが、一番多いのが何も知識がない状態でオススメされた商品をそのまま買ってしまい、含み損を抱えてしまっているケースです。
事前のリサーチをせずに情報もないままに購入し、その後もチェックせずに置いておくと含み損が生じやすくなってしまいます。投資信託は元本が保証された金融商品ではありません。損失を出して運用に失敗してしまう可能性もあるので、予備知識を得ておくことが大切です。
では実際に投資信託でどのような失敗事例が考えられるのか、ケースごとにご紹介します。
投資信託で失敗しやすい事例①・・・ランキングを鵜呑みにする
投資信託を初めて購入する人の場合、「どれを選べばよいのかわからないから、とりあえず売れている商品を買っておけば大丈夫だろう」と考え、販売会社やメディアが提示している販売ランキング上位の商品を買おうとする人もいるでしょう。
しかし、自分が何パーセントの運用利回りを目標にしたらよいのか、投信購入後はどのように管理したいのか、など自分の運用スタイルと合った投信を自分の目で選ぶことが大切だといえるでしょう。ランキングは参考程度としておくとよいでしょう。
投資信託で失敗しやすい事例②・・・損切りのタイミングを逃す
投資信託で多少含み損が出てしまった場合でも「これから持ち直すだろう」と思い、そのまま対策を打たないで放置するという人がいます。確かに、価格は日々変動するため、値下がりしても持ち直すことは珍しいことではありません。
しかしその一方で、値下がりした商品が、持ち直すとは限らないことも理解しておく必要があります。状況によっては、損失が出ている状態でも、それより大きな損失を出さないためにその時点で損失を確定させる「損切り」が必要な場合もあります。
含み損で大きな損失を出した人は、この「損切り」の決断が遅れたことが原因となることが多いです。自分で損失額を決定することになるので、勇気のいる行動ではあります。しかし、持ち直しの見込みのない投資信託をズルズルと引きずると、含み損がどんどん大きくなってしまうでしょう。事前に損切りを行う水準を設定しておき、そこを越えたら決断するというルールを自分で決めておくのが望ましいと言えます。
投資信託で失敗しやすい事例③・・・毎月分配型ファンドで元本を取り崩す
短期的に利益を得たい人にとって、投資信託の分配金には魅力があります。特に毎月分配型ファンドの場合、毎月一定額の分配金を受け取れるので、投資信託で収入を得ているという実感を得やすいでしょう。
ところが、毎月分配型投資信託では、分配金をまかなえるほどの資産運用の成果が出なければ、元本を取り崩して分配金が支払われるケースがあります。その場合、自分が投資した資金が戻ってきて、購入した元本が減っていきます。単に資金が戻ってくるのであれば、損はしていないのですが、実は損失が発生しているのに、分配金を受け取っていることで、その損失に気が付かないというケースもあります。分配金の仕組みをあらかじめ理解し、運用益がきちんと発生しているのかどうかを確認する必要があるといえます。
投資信託で失敗しないための分散投資と長期投資
投資信託で失敗しないためのポイントは多々ありますが、特に重要と言われているのが「分散投資」と「長期投資」です。
分散投資とは、1つの投資信託だけに集中して投資をするのではなく、複数の商品に分けて購入しリスクを分散することを言います。分散投資であれば、特定の商品が値下がりしても、別の商品が値上がってカバーできる機会が得られるので、損失が発生しにくいのです。
もちろん、投資信託自体でも複数の株式や債券に投資が行われ、リスクが分散するような資産運用は行われています。しかし、商品を購入する側も商品の中身まで考えて、幅広い商品に分散投資するよう心がけましょう。そうしないと、気づいたら日本株ばかりで、最終的に米国株だけ持っているような状態になっていることもあります。商品の数ではなく、あくまでも中身の分散をすることが大事です。投資信託の投資対象はさまざまで、国内外の株式や債券のほか、これらとは値動きの異なる不動産(REIT)やコモディティ(エネルギーや農作物など)など種類も幅広いので、投資対象の異なる投資信託をいくつか保有することで、さらに分散投資が可能になります。
また、一般的に投資信託で収益を得るなら、長期投資を考えるのが得策と言われています。長期投資をして複利運用の恩恵を受けた方が、最終的に得られる収益が大きくなる場合が多いからです。
しかし、人によっては短期的な利益を重視したいというケースもあるでしょうから、長期投資こそ望ましいとは必ずしも言えないでしょう。それぞれの人にあった投資方法を選択することが重要です。
投資信託を選ぶときは自分で内容をきちんと理解したものを選ぶ
投資信託の失敗とは、投資信託を購入したのに「含み損」が発生するなど、自分の資産を増やせていない状態を指します。失敗が起こる要因はさまざまですが、典型例として挙げられるのは、ランキングを鵜呑みにする、損切りのタイミングを逃す、分配金を偏重してしまう、などです。
投資信託の失敗を避ける上では、分散投資と長期投資を心がけることが大事と言われています。実際に投資信託を購入する際は、目先の利益のみにとらわれず、冷静な判断をすることが大切です。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
(提供:Wealth Road)