「プリペイドカード詐欺」「プリカ詐欺」という言葉が最近よく聞かれます。それはどのようなものなのか?そして、万が一、被害に遭った場合はどうすればいいのでしょうか。

プリペイドカードには2つの種類がある

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(画像= metamorworks/stock.adobe.com)

プリペイドカード詐欺とは、「不正な代金請求における送金手段にプリペイドカードを利用したもの」を指しており、カード自体に問題があるわけではありません。

では、どうして送金手段にプリペイドカードが使われるのでしょうか?その説明の前に、プリペイドカードには大きく分けて2つの種類があるということについて触れておきましょう。

まず、1つ目はプリペイドカードの価値がカードに印刷されていたり、磁気情報などの形で記録されていたりするタイプです。その代表的なものにQUOカードがあり、先払い型の電子マネーもこれに類するものと考えていいでしょう。また、カード型ではありませんが、金額が印字された商品券などもこのタイプにあたります。

もう1つは、プリペイドカードの価値がカードそのものではなく、発行会社の管理するサーバに記録されるタイプです。これは「サーバ型」と呼ばれます。コンビニなどで開架陳列されて売られているAmazonギフト券やネットコンテンツの課金カードといったプリペイドカードはこのサーバ型です。

このタイプでは、レジで購入するまでは価値がチャージされていないため、仮に万引きされたとしても被害はカード本体の分だけで済みます。金券であるにもかかわらず開架陳列で売ることができるのはそういう理由からです。

詐欺の送金手段としてサーバ型のプリペイドカードを悪用

この2つのプリペイドカードのうち、詐欺の送金手段として用いられるのはサーバ型のほうです。詐欺業者は銀行口座を持っていなかったり、クレジットカードの加盟店になれなかったりするため、送金手段としてプリペイドカードを利用(悪用)しているのです。

具体的には、請求金額分のプリペイドカードを購入させ、その番号を撮影した写真データをメールなどで送らせたり、実体のない電子ギフト券などであれば、その番号だけをメールで送らせたりします。

プリペイドカードそのものに価値が記録されていれば、カードの実物を送付させる必要がありますが、サーバ型のプリペイドカードなら番号だけあれば利用できるわけです。

そして、詐欺業者はその番号を使って換金性の高い商品を購入して転売したり、あるいは、その番号そのものを転売したりすることにより現金化を図ります。これには、被害者から詐欺業者へそのままお金が移動するわけではないため、業者の身元が判明しにくいという特徴もあります。この特徴から詐欺業者は送金手段として悪用しているのです。

プリペイドカード詐欺の被害例

国民生活センターに寄せられた被害例を2つ要約して紹介しましょう。

40歳代男性のケース

以前、利用した無料のアダルトサイトに似た名前の業者から携帯電話に「アダルトサイト未納」というメールが届き、そこに書いてあった番号に電話をしたところ、弁護士を称する人物から「代金として約30万円を支払うように」と言われ、指示されるままコンビニ店頭で販売されていた数千円のプリペイドカードを約30万円分購入し、携帯電話でその写真を撮ってメールで送った。その後も同じ弁護士から「示談金が必要だ」と次々に支払いを求められ、結果的に総額約200万円となった。さらに、別の弁護士を称する人から連絡があり、同様の方法で約100万円を支払った。

20歳代女性のケース

友人に紹介されたエステ店で「1年間無料でエステができる」「無料でエステを受けるには40万円の化粧品一式の契約をすることが必要だが、その費用はエステ店が毎月引き落とし日に合わせて口座に入金するので、実質無料」という説明を受け、化粧品一式の契約書にサインをした。支払いは業者の指示どおり、クレジットカードを作成して通販サイトで電子ギフト券40万円分を購入し、業者のメールアドレスに送付した。しかし、業者からの口座への入金が1回もないまま連絡が取れなくなった。その後、リボ払いにした電子ギフト券の代金を自分で支払っている。化粧品一式も届かなかった。

いずれも悪質なケースで、前者では架空の請求を執拗に繰り返す詐欺の送金にプリペイドカードを悪用し、後者では「1年間無料エステ」をうたい高額の化粧品の代金として、クレジットカードのリボ払いで電子ギフト券を購入させています。

どちらも支払い方法が口座振り込みやクレジットカード決済ではない時点でおかしいのですが、「弁護士」という肩書や、「1年間無料」といった特典に惑わされて、正常な判断ができなくなっていたものと思われます。

詐欺被害分の返金は難しい

では、このようなケースで支払ってしまったお金の返金は可能なのでしょうか?

それに関しては残念ながら大変難しいといっていいでしょう。ほとんどの場合、詐欺であることに気付いた頃にはそのような詐欺業者との連絡は取れなくなっており、プリペイドカードも使用済であることが多いからです。

プリペイドカード発行会社への連絡が早ければ、詐欺業者がプリペイドカードを使用する前に使用停止にできる可能性もありますが、使用停止となった未使用のプリペイドカードをカード発行会社に払い戻ししてもらえるかどうかは別の話です。それは、法律の規制により原則として払い戻しが禁止されているからです。

ただし、払い戻し金額が少額の場合、プリペイドカード発行業務の健全な運営に支障が生じる恐れがない場合に限り払い戻しを行えるとされています。つまり、使用停止となった未使用のプリペイドカードの払い戻しに関しては、ケースバイケースで判断されるということになるでしょう。

「プリペイドカードで送金」には注意を

プリペイドカード詐欺に遭わないようにするには、そもそも身に覚えのない請求に対して、簡単に返信したり連絡したりしないことです。また、例に挙げた女性のケースのように、商品の購入のための送金であったとしても、銀行振込やクレジットカード決済ではなく、プリペイドカードで送金するといった不自然な方法を指示されている時点で支払いを思いとどまるよう注意することが必要です。

もし、身の回りにプリペイドカード詐欺に直面していそうな人がいる場合は、ここで書いてある情報を伝え、国民生活センターなど公共性の高い機関へ相談するようアドバイスしましょう。

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