前回、「国際分散投資」のポートフォリオを組むのに「ETFを使えば良い」と説明したことを受けて、筆者が主催するFund Garageの会員の方から「ETFは投資信託なのか?」という素朴な質問を頂戴した。確かに言われてみればその通りで、ETFが投資信託の一種だと必ずしも皆さんがご存知だとは限らないことを思い出した。

また確かに日本のETF事情だけを見れば、ETFが投資信託のひとつの形だという印象が無いのも無理はない。更に言えば、きっと多くの人にとって日本のETF事情と米国のそれがかなり違うことなどはご存知ないだろうと思う。そもそも時価総額だけ比較しても馴染みが薄いことは容易に想像出来る。

そこで今回は掲題通り「米国の『アクティブ型ETF』」を紹介し、それを利用して投資判断に役立てる方法などについて論じてみたい。出来れば、こうした議論が日本の投資信託の情報開示にも一石を投じてくれることを願っている。

投資信託とETF、どちらを買うべきか?

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(画像=kei.channe / pixta, ZUU online)

最初に投資信託とETFの関係について確認しておこう。どちらも信託報酬を払う代わりに専門家が目論見書通りの「投資」をすることを「信じて託する」投資ビークルであるという点は一緒である。ならば一般の個人投資家にとって両者の違いは何かと言えば、投資信託が基準価額(その設定・運用を行った運用会社が毎日決算処理をして算出する)によって発行市場で売買されるものであるのに対して、ETFは一般の株式同様に証券取引所で取引所価格によって取引時間中に売買されるものだということだ。

「投資信託とETF、どちらを買うべきか?」というシンプルな質問に対し、恐らくこれだけの単純な説明だけでは、理解し辛いだろうと思う。ましてや日本におけるETFのように、何らかの指数に連動することを目指す「インデックス運用(パッシブ運用)」だけが認可されている状況では「インデックス投信」と「ETF」のパフォーマンス格差などそうそう無いからだ。更に昨今は「インデックス投信」もETFも信託報酬の水準は殆ど差がなく、ネット証券を利用すれば購入時手数料も掛からない。

一般にETFは取引時間中に取引が出来るので、少しでも安く買って、高く売りたいと思う人はETFを買った方が良いと言われる。でもそれらは寧ろ「長期投資」を目指す投資家には余計な悩みを増やすだけかも知れないし、取引時間中の値動きを見ていなければならないのかという余計な誤解(正しくもある)を招くことにもなりかねない。事実、ETFの取引所取引においてマーケットメーカーと呼ばれる制度が導入されたが、「流動性リスク」が無くなったとは言えない。

一方、発行市場で基準価額によって売買出来る投資信託ならば、如何に市場が波瀾万丈の展開となって仮に全銘柄に値がつかない事態でも、必ず休業日を除いて毎日買いたい日に買え、売りたい日に売ることが出来る。つまり流動性リスクは無い。

纏めると、日中の株価の上がり下がりも利用して少しでもいい条件で購入したい、或いは売却したいと考える人はETFを、日中の価格変動は無視して「必ず買いたい時に買え、売りたい時に売れる」という自由度を重視する人は投資信託を選べばいいということだ。だがこれは日本のETFが投資信託協会が説明するように「ETFとは、証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託」という定義のものしかないからこそ生まれている中途半端な現象だと言える。

米国で注目される「女性版ウォーレン・バフェット」のETF