前回に続いて、既存の「バランス型投資信託」が資産形成のために使えないなら、具体的にはどうすれば投資信託を使った資産形成が上手に出来るかという話を続ける。

先日非常に気になる新聞記事があった。内容は「価格変動リスクが最も低い『1』に該当するバランス型ファンドを『シャープ・レシオ』によって運用効率性を評価した」だった。そこでNo.1評価を獲得した投資信託の目論見書を閲覧したが、真面目な話、一読して椅子から転げ落ちそうになった。世間一般は「国際分散投資」の「長期的な平均リターン」を、例えば期間20年間、30年間など、合理的にどの程度のレベルとして考えているのだろう。

なぜかと言えば、年間1.54%(税込)の手数料を払ってまで、ほぼほぼ現預金に近いリターンしか期待出来ない資産クラスにお金を預ける理由を思いつかないからだ。それもそこにお金を預けるためにわざわざ当初3.3%(税込)の手数料まで徴求される。逆に言えば、合わせて4.84%もの収益を初年度は稼がないと、大切なお金が目減りする。その額、元金100万円なら4万8400円にもなる。

恐らく「分散投資」「ポートフォリオ」「リスクとリターン」「シャープ・レシオ」などとテクニカル・タームを聞き過ぎたのだろう。また「投資信託とはかくあるべき」という能書きが脳裏に刷り込まれ過ぎたのだろう。きっと皆、相当に耳学問で頭でっかちになってしまったのだと実感した。勿論、販売会社や運用会社からみればこんな嬉しいことは無い。何故ならファンド規模が大きくなればなる程、販売会社や運用会社は潤うのだから。不思議なのは担当ファンドマネージャーだ。そんな投資信託を担当して、全く良心が痛まないのだろうか。

「オルタナ」とはどんな資産クラスか?

投資信託,選び方
(画像= tiquitaca / pixta, ZUU online)

まず前回の続きとして「オルタナ」という資産クラスについて説明しよう。正式には「オルタナティブ(Alternative)」で、日本語だと「代替資産」だ。何に対する「代替」かと言えば、伝統的な資産クラスの「株式」と「債券」だ。性格としては「株式」や「債券」と基本的に相関性が無いもの、という位置づけになる。

アセット・アロケーションはそれぞれの期待リターンや過去の値動きとの相関性などに基づいて決めることが多い。そこで「株式」や「債券」と全く相関性が無いものを組入れることで、よりパフォーマンスを安定させることが出来るだろうと考える。そのひとつが「ヘッジ・ファンド」だ。「ヘッジ・ファンド」も多種多様だが、最もオーソドックスなものが「マーケット・ニュートラル戦略」と呼ばれる、市場変動に関係無く「絶対収益」獲得を狙うもの。実は先日市場の話題をさらった「アルケゴス」という資産管理会社の運用方法は、皮肉にもこの「マーケット・ニュートラル戦略」と呼ばれるものだった。「絶対収益」を狙って大きな損失を出してしまった。これが現実。