この頃、特に繁栄を続けているアジア諸国(※ 内容上、東アジア・東南アジアに限定する)だが、石油が不足してしまったらたちまちピンチに陥るのである。今、話題になっているイラク情勢の緊迫化の影響を受けるのは何も中東諸国に限った話ではなく、インドの向こう側のアジア諸国にも深刻な問題を及ぼすのだ。

その理由として、東アジア~東南アジア諸国では石油資源に乏しいため、中東諸国から大量の石油を輸入しているからだ。今回のイラク情勢緊迫化により、石油資源を中東に依存しているアジア諸国はピンチなった。


イラク情勢が緊迫化する中…

イラク情勢が緊迫化している理由は複雑だが、簡単に説明すると、2014年6月「イラクとシリアのイスラム国家」と言う名前のアルカイダがイラクの首都バグダッドへの進撃を宣言。その後、イラク・シリアの一部地域(バグダッドを含まない)を占領しており、同地域に新政府樹立を宣言したのがことの発端である。

なお、アルカイダとは特定の集団を指す固有名詞ではなく、イスラム教原理主義者の武装集団の総称であって、彼らの多くはイスラム教の中でも非主流派であるスンナ派を信仰している。アルカイダ同士で繋がりがある事例も確認されているが、全てのアルカイダを纏める上部組織は存在していない様だ。

これにより、イラク軍・シリア軍が出陣しているのはともかく、(諸々の事情により)米軍が戦地に派兵している点があって、(米軍により)イラク情勢が一層緊迫化している。(米軍により)新政府に対する空爆も行われており、一般人に対しても相当な被害が生じているため、「石油を輸出する力」が低下している。


アジアの石油消費量が急激に増加している

近年の当菜アジア諸国の生活水準の向上も石油危機で苦しむ要因の一つだ。以前のアジア諸国では、オートバイ・3輪自動車・軽トラック等の軽自動車が主な乗り物だったが、一般的な乗用車が増加した。また、テレビ・パソコン・冷蔵庫・洗濯機等の家電製品も急激に普及しており、増え続ける電力消費量に対応するため、火力発電所を増やしている。

中国は、最近では景気が減速しているものの、依然として石油消費量が非常に多く、現時点で米国に次ぐ世界2位、今後20年以内に米国を上回ると予測されている。それ以外の国々も石油消費量が多く、急激に生活水準が向上しているインドネシア・フィリピン・ベトナム、及び、石油自動車産業のメッカである日本、このあたりの国は人口が多い分、石油消費量も多くなる。しかし、前述した様に大半を中東諸国からの輸入に頼っており、今回の事件はアジア諸国に深刻な問題を引き起こしたのである。