この2週間の間に、前回紹介したランキングに変動があった。1位と2位が入れ替わり、5位に「ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)」が浮上した。これに伴い、前回の5位は6位に後退している。投資信託は毎日決算処理をしているので、配当金の支払いによる純資産の減少以外は基本的に追加・解約に伴うキャッシュフローで純資産残高は変動する。もし気になる投資信託があれば、純資産残高の変動要因は簡単に計算できるので、購入する前に是非自分で一度チェックして頂きたい。

追加・解約の多寡は運用に大きく影響する

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(画像= Graphs / pixta, ZUU online)

たとえば今回1位に浮上した「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は、前回の純資産残高9325億円から9535億円へ210億円増加している。一方で基準価額も1万2175円から1万2221円へ上昇しており、今回の純資産の増加は基準価額の上昇だけで説明がつく。つまり特に追加設定が膨らんだというわけではなく時価変動によるものだ。

一方で2位に後退した「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」は前回の9644億円から9517億円に減少した。これは基準価額が2653円から2620円へ下落した分より更に約7億円分は余計に減少していることから、それは解約によるものとみることができる(計算期間中に分配金支払期日はなかった)。

今回5位に浮上した「ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)」は基準価額が2474円から2588円へ約4.6%上昇しており、この分による純資産残高の増加かと思ったが、基準価額の変化率から計算すると純資産は本来6697億円へ増加してなければならず、現在の純資産残高6685億円から計算すると約12億円は解約により流出したようだ。

こうして計算すると、その時々の個別ファンドの勢いが見えてくる。追加が多いのか、解約が多いのかということだ。実は追加・解約の多寡は運用に大きく影響する。毎日々々ダラダラと追加設定が入ってくる、或いは逆にダラダラと解約が発生する、というのはファンドマネージャーの立場からすると運用の障害になることはあっても助けになることはまずない。組入比率を98%程度に維持しようと思ったら、アロケーションが変わらないように、ポートフォリオを金太郎飴のように買い増したり、輪切りにしなければならないからだ。流動性が高いものだけでポートフォリオを組んでいれば、買ったり売ったり自由自在ではあるが、必ずしも全ての流動性が高いとは言えない。ひとまず流動性が高い銘柄で調整して、微調整をするように流動性の低い銘柄を入れ替えたりもするが、いつまでも追加・解約が続くと、それさえも困難になってくるからだ。

日本の現状はほとんどの場合、まとまった金額の追加・解約が自然体で起きることは滅多にない。多くの場合、販売会社が太鼓を叩いているか、或いはメディアに取り上げられて脚光を浴びているか、など運用パフォーマンス以外の理由による場合が多い。前述の方法で追加・解約の状況を調べることの重要性はここにある。最良の状態は、運用の妨げにならない程度の追加設定が続き、当然その上でなお基準価額が上昇していることだ。

日本の委託会社が「直接運用」をしていないファンドの欠点とは?