建設協力金方式のメリット・デメリット

建設協力金方式には貸主(土地の所有者)と借主(テナント)双方にメリットがあります。テナントは自分の希望の仕様で店舗が建築されるといったメリットがありますし、貸主のメリットとしては、次のようなものがあります。

・ 新たにテナントを探す必要がない
・ 高い収益性が見込める
・ 駅から遠いなどアパートやマンションに不向きな土地でも活用可能
・ 管理の負担が小さい
・ 保証金(建築費用)に金利がかからない
・ 相続税の節税効果
・ 中途解約時のリスク回避が可能

建築する段階でテナントと予約契約を締結するので、自分でテナントを募集する必要がありません。また立地条件によりますが、アパート等よりも高い賃料が見込めます。また駅から遠く騒音のある場所でも、ロードサイド店舗なら問題ありません。アパートやマンションのように、建物の修繕や管理維持の必要もあまりありません。

保証金は金利がつかない上借入金とみなされますから相続税の節税対策にもなります。さらに土地・建物が貸家建付地での評価額となり、そのまま更地で持つよりも約20%評価額が下がりますので、これも相続税の負担が減ります。また前章でも述べたように、テナントの中途撤退時は保証金の返済不要の「ペナルティー条項」をつけられますので、賃料収入が途絶えてもリスクの回避が可能です。

逆にデメリットとしては、テナントに撤退されると、後処理が面倒であったり、そのテナントの仕様にあわせた店舗だと転用が難しいといった面もあります。しかし両方を比較してみると、建設協力金方式は土地所有者にとって、所有権は維持できたまま、管理の容易さや安定収入という面でバランスの取れた、土地活用方法といえそうです。


不安な方は専門家にご相談を

冒頭で賢い土地活用には、長い目でみた視点を持つことが大切だと書かせていただきました。さらに加えると、有用な土地活用には、収益性、活用可能性、相続対策といった視点を持って総合的に見ていくことが必要になってきます。専門的な知識と、広い視野が必要とされる土地活用は、税理士や不動産業者などの専門家に相談しつつ、長期的な視点で検討していくようにしましょう。

【関連記事】
貸宅地の整理方法って?~意外と知らない厄介な貸宅地のトラブル~
遺産分割と1物5価~不動産が持つ5つの価値と財産分割の関係~
不動産の法人化~3つのポイントを抑えると相続税の節税対策に?~
不動産業の事業承継〜管理会社設立と不動産管理の3つの形態〜
金融資産と不動産~2つの角度から見る財産評価概略~

photo credit: R.Halfpaap via photopin cc