本記事は、谷本真由美氏の著書『世界のニュースを日本人は何も知らない2 - 未曽有の危機の大狂乱』(ワニブックス)の中から一部を抜粋・編集しています。
イギリスはガチのヤンキー大国
もしかしたら、あなたは「イギリスは紳士淑女だらけで、あちこちにベネディクト・カンバーバッチのようなジェントルマンがいる」というイメージを持っていませんか?
これは、とんでもない勘違いです。イギリスに初めて来た人の第一印象は、おそらく、「ここは昔の横浜か? それとも千葉の外房か?」という感じでしょう。どういうことかというと、こんな感じの人が街のいたるところにいるからです。
- 頭がプリン(染色が落ちて、頭髪が二色に分かれていること)
- 一年中スウェットを着ている
- 髪型がツーブロック
- 首元に巨大な金のネックレス
- 眉毛を剃っている
- すごい改造車に乗っている
- 車の中にはピンクの毛皮が飾ってある
- 刺青だらけ
- 日焼けサロンでガンガンに焼いている
- 肥満度が高い
- パチもんのブランド品を身につけている(特にヴィトンとバーバリー)
- 近所に無数の質屋がある
- 一年中ギャンブルをやっている
- 一年中揚げ物を食べている
- 一年中宝くじを買っている
みなさんおわかりになりましたでしょうか。要するにイギリス人の大半は、日本人が想像するヤンキーどころではなく、ガチで本物のヤンキーなのです。
イギリスの言葉では、こうした人を「Chav(チャブ)」と呼びます。
彼らはここ30年ぐらいの間に登場した人々で、かつてのイギリスであれば伝統的な労働者階級と呼ばれたわけですが、現在では工場や鉄工所で働いている人はあまりおらず、サービス業に従事しているか無職です。現在のイギリスの消費や文化を支配するのが彼らであり、はっきり言って、国をあげてヤンキー化が進んでいます。
彼らの消費パターンは伝統的なイギリスのイメージと正反対のものです。
まず、彼らは「今」を大事にするので、宵越しのお金は持ちません。現金が入るとすぐに使ってしまいますが、お金の使い道は、ブランド品や服、車用品、それからギャンブルです。もちろんタバコとアルコールは必須です。
アルコールはカクテルや激安のビールをガンガン飲みます。冗談ではなくバケツにいれて一気飲みすることもある。暖かいところが大好きで、スペインやギリシャなどに出かけていってはビーチで肌を焼き、一日中お酒を飲みます。ビーチで聴く音楽はヒップホップやラップ、テクノです。ビートルズを知っている人はあまり多くありません。
彼らは借金をして旅行に出かけますが、借りたお金を返すことができず、破産することもよくあります。給料前にお金を全部使ってしまうので、現金が足りなくなるとローンシャークという高利貸しに頼ります。この高利貸しは年利2000%とか4000%をチャージすることもあるのです。
ところが彼らは利息の計算ができない人も多いので、自分の借金がいくらになるのかわかりません。そもそも学校を中退し勉学に励んでいないので計算ができないのです。
彼らが愛するのは、男性の場合はサッカーです。会話の90%ぐらいがサッカーの話題です。そのため、職場がガチヤンキーの人ばかりだと、サッカーのことを話せなければ人間扱いされません。間違っても「私はテニスが好き」「クリケットが好き」ということを言ってはなりません。その瞬間に村八分確定です。
女性の場合はだいたい性に関する話が盛んで、不倫をしている人も多いです。女性は非常に元気ハツラツしていて、恋人を捨てて他の人に走ってしまうこともよくあります。
そしてガチヤンキーには肥満の人が多いのも特徴です。ガチヤンキーに限らず、現在のイギリスでは、日本の基準で高度肥満に該当する人々が人口の30%ぐらいに達しています。イギリス女性の洋服の標準サイズは、なんとSIZE12で、これは日本の3Lぐらいにあたります。1950年代には、イギリス女性の体型は日本人とあまり変わらなかったのですが、特にここ30年ぐらいの間で、なぜか巨大化してしまったのです。
こういう体型だと、きっちりしたスーツやワンピースが入らないので、彼らが好むのは〝イギリス版しまむら〟ともいえる Primark という店です。巨大な服が一着400円や500円で買えるので人気です。さらに人気を集めているのが日本の100円ショップにあたる一ポンドショップです。一ポンドショップがセールの時は大変な行列ができるのですが、物の取り合いで店内にて殴り合いが始まることもよくあります。
彼らが好む食事は伝統的なイギリスの食べものではなく、マクドナルドやバーガーキング、KFC、それからピザやケバブです。普段はアメリカ人の悪口を散々ブチまけているのに、なぜかアメリカの食べものが大好きなのです。こうしたイギリス人が国民の大半を占めるのに、なぜか日本の雑誌やテレビに登場するイギリス人は、いまや絶滅動物のようになってしまった聖人君子のような人ばかりです。それほどめずらしいイギリス人をどうやって探してくるのか、日本のメディアには敬服しかありません。