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第二次安倍改造内閣が9月3日に発足。バブル期以来の景気拡大のニュースが紙面を賑わすようになっている。雇用統計は上昇局面に入り、東証一部大手は軒並みベースアップを行っているが、ここにきて急激な円安による輸入消費財の相次ぐ値上げが発表された。景気は減速局面に入ったと言わざるを得ないが、政府が来年10月に予定している再増税の方針に影響はあるのだろうか?


■景気回復には正規雇用増加が必要

そこで、2014年9月からの安倍首相の発言から、その真意を探ってみたい。

まずは2014年9月19日、THE WALL STREET JOURNALに寄稿された安倍首相の文面からの抜粋である。「安倍政権の成長戦略は成果を上げている。失業率は現在4%を下回り、労働市場は引き締まっている。大企業や、中小企業の3分の2近くが賃金を引き上げた。就業者数の増加で給与総額は2013年4月以降、上昇基調にある。7月の給与総額は前年同月比3%強増加した。2014年第2四半期は、マイナス成長だったにもかかわらず、非正規雇用者数は減少し、正規雇用者数は増加した。過去3年で約100万人の労働者が非正規から正規雇用に移行した。企業の設備投資は5四半期連続で前年同期を上回った」

ここから読み取れることは、まず「景気回復には正規雇用の増加が前提だ」という表現。小泉改革での規制緩和で「派遣」労働環境が拡大してしまったことが、現在の所得格差社会につながっている、という反省を述べているわけだ。総務省統計局の調査(2014年9月30日公表)では、2014年の8月次の完全失業率は3.5%(季節調整値)。詳細では、就業者数は6363万人。前年同月に比べ53万人の増加。雇用者数は5600万人。前年同月に比べ38万人の増加 。完全失業者数は231万人。前年同月に比べ40万人の減少。51か月連続の減少となっている。完全失業率は3.5%。前月に比べ0.3ポイント低下となっている。