8/30(月)からは受け渡しベースで「9月相場」に移行します。

日経平均株価は8/20(金)に年初来安値まで下げたものの、その後は落ち着きを取り戻しています。

ここ数年、9月の株価は上昇する傾向にあり、今年も堅調な相場を期待したいところです。

9月は上場企業の多くが中間決算を迎えることから、投資家の株主優待や配当への関心が高まってくる時期でもあります。

そこで今回は予想配当利回りの面で魅力が大きいと考えられる「好配当利回り」について吟味しました。

当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。

日本株投資戦略
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■執筆者のプロフィール

鈴木英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長 
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん

≪9月末配当≫好配当利回り(年間:4~8%台)で好業績期待の11銘柄

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

以下、すべての条件を満たす銘柄について、年間予想配当利回りの高い順に並べたものが図表1です。

(1)東証1部上場銘柄
(2)3月決算銘柄
(3)時価総額300億円以上
(4)9月末(第2四半期末)に配当実施予定の銘柄
(5)年間予想配当利回り(市場コンセンサス)が4%以上の銘柄
(6)今期市場予想営業利益(ない場合は純利益)が増益
(7)過去3年間の1株配当増加率が年5%以上の銘柄
(8)東証33業種分類で「証券・商品先物」を除く

ポートフォリオを作成する際のバランスを踏まえ、非鉄金属を除き、1業種1銘柄としています。

なお、ご紹介した銘柄の中で株主優待を実施している企業につきましては、長谷工コーポレーション(1808)が3月・9月、日本郵船(9101)は3月に株主優待の権利が確定します。

好配当利回りで好業績期待の11銘柄
(画像=SBI証券)

図表1 好配当利回りで好業績期待の11銘柄
コード / 銘柄 / 株価(A)(9/1) / 会社予想9月末1株配当金額(B) / 会社予想9月末1株配当(B)/(A) / 市場予想年間1株配当金額(C) / 市場予想年間1株配当(C)/(A)
<9101> / 日本郵船 / 8,710 / 200.0 / 2.30% / 712.3 / 8.18%
<5020> / ENEOSホールディングス / 432.5 / 11.0 / 2.54% / 22.6 / 5.23%
<9508> / 九州電力 / 840 / 20.0 / 2.38% / 39.2 / 4.66%
<1808> / 長谷工コーポレーション / 1,531 / 35.0 / 2.29% / 70.0 / 4.57%
<8725> / MS&ADインシュアランスグループホールディングス / 3,621 / 80.0 / 2.21% / 163.2 / 4.51%
<8306> / 三菱UFJフィナンシャル・グループ / 607.5 / 13.5 / 2.22% / 27.0 / 4.44%
<5713> / 住友金属鉱山 / 4,225 / 71.0 / 1.68% / 187.6 / 4.44%
<8593> / 三菱HCキャピタル / 599 / 13.0 / 2.17% / 26.4 / 4.41%
<8020> / 兼松 / 1,412 / 30.0 / 2.12% / 60.0 / 4.25%
<5857> / アサヒホールディングス / 2,224 / 45.0 / 2.02% / 92.5 / 4.16%
<4208> / 宇部興産 / 2,234 / 45.0 / 2.01% / 90.0 / 4.03%

※Bloomberg、会社公表データ等をもとにSBI証券が作成。
※年間予想配当利回りは(C)/(A)で示されています。(B)の9月末配当を受け取っただけでは得られない利回りとなります。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

抽出銘柄の投資ポイント

この項では、図表1で抽出した銘柄の一部について、投資ポイントや株主優待・配当のより詳細な内容をご紹介します。

日本郵船(9101) 日本で最も大きな海運会社

日本郵船(9101)
(画像=SBI証券)

期間:2020/9/7~2021/9/3(週足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■多様性や規模の面でも世界有数の海運会社

日本で最も大きな海運会社です。

多様で大規模な船舶群を有し、特に自動車船、LNG船の船隊規模は世界上位となっています。陸運、空運など国際輸送網で総合的な物流サービスを提供。郵船ロジスティクスや日本貨物航空などの子会社を抱えています。

同業の商船三井(9104)および、川崎汽船(9107)とコンテナ部門を統合し、そこが収益の柱になっています。

2022/3期・第1四半期は売上高5,046億円(前年同期比39.7%増)、経常利益1,536億円(同825.9%増)と急拡大。

コンテナ船事業で、事業統合の成果や世界的な荷動きの活発化、新型コロナウイルス感染拡大による物流の目詰まり等を背景に、歴史的な運賃上昇となっています。

8/4(水)に2022/3期の業績予想を上方修正。通期の予想経常利益は3,700億円から5,000億円(前期比132.2%増)に上方修正されました。

■業績・株価が拡大しつつ、予想配当利回りが8%超

会社側は、上期末200円+期末500円=通期700円の配当を計画。市場コンセンサスでは年間712.3円(予想配当利回り8.12%)配当が予想されています。

業績低迷企業ではなく、業績拡大・株価上昇の銘柄で、予想配当利回りが8%を超えてくる例は非常に珍しいといえるでしょう。

株主優待制度については、飛鳥クルーズの10%割引優待券が贈呈される予定ですが、3月末株主限定となっていますので、注意が必要です。

ENEOSホールディングス(5020) 旧日本石油他、数多くの企業が統合して誕生

ENEOSホールディングス(5020)
(画像=SBI証券)

期間:2020/9/7~2021/9/3(週足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■数多くの企業が統合して誕生

2010年に新日本石油(日本石油と三菱石油他が統合)と新日鉱ホールディングスが経営統合してJXホールディングスが誕生。2017年にこれと東燃ゼネラル石油が経営統合してJXTGホールディングスとなり、2020/6に現社名に商号変更されました。

現在、国内燃料油の販売シェアは約50%で首位、その他複数の基礎化学品で生産シェア・トップを握ります。

2022/3期・第1四半期の営業利益は前年同期の210億円から1,410億円増加の1,620億円(前年同期比7.7倍)、ドバイ原油が1バレル5ドル上昇すると、在庫の評価増を中心に年間営業利益を440億円押し上げると試算されます。この四半期にドバイ原油は1バレル67ドル(前年同期比36ドル高)と急騰し、営業利益を大きく押し上げました。

通期では売上高9兆5,000億円(前期比24.1増)、営業利益は2,600億円(同2.3増)を予想。年度平均では1バレル60ドルを前提としていますが足元は70ドル弱近辺。

■インフレ期待を織り込む相場に期待か

会社側は、上期末11円+期末11円=通期22円の配当を計画。市場コンセンサスでは年間22.6円(予想配当利回り5.23%)配当が予想されています。

第1四半期決算発表での、業績予想の上方修正が期待され、株価は上昇基調に。しかし、8/13(金)13:00に行われた決算発表では業績予想が据え置かれたたため嫌気され、以降は下落傾向となっています。

なお、業績や株価は原油先物相場等に左右される傾向があります。予想が難しい上に、PERやPBRが低くなり、その分配当利回りは高くなりやすい傾向もあります。

ただ、米国が金融引き締めに慎重な姿勢を見せる中、仮に世界的なインフレ懸念が強まれば、人気化する可能性もあります。 中長期的には「脱炭素」を見据えた収益基盤の拡大がポイントになりそうです。

長谷工コーポレーション(1808) マンション建築で高シェア。株主優待を加味すれば総合利回りはさらに上昇

長谷工コーポレーション(1808)
(画像=SBI証券)

期間:2020/9/7~2021/9/3(週足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■マンション建築で高シェアの準大手ゼネコン

首都圏マンション新規供給戸数に対して36.7%(2020年)と高い施工シェアをもつ準大手ゼネコンです。近畿圏でも同シェアは19.5%です。特に100戸以上の大規模物件では5割以上のシェアを誇ります。1969年以来、マンション施工実績の累計(2021/7末)は67万戸に達しましたが、これは、日本の分譲マンションストックの約1割に相当します。

2022/3期・第1四半期は売上高2,137億円(前年同期比24.3%増)、営業利益203億円(同69.6%増)と回復。通期では、売上高8,500億円(前期比5.0%増)、営業利益780億円(同7.0%)と増収・増益を見込ます。

■コシヒカリを割引価格で~配当利回りの高さも魅力

上期末35円+期末35円=通期70円の配当を計画し、9/1(水)終値1,531円に対する年間予想配当利回り(会社・市場とも同じ予想)は4.57%と計算され、東証1部の予想配当利回り(1.81%)を大きく上回っています。

9/28(火)時点で100株以上保有する株主は、滋賀県上田上産コシヒカリ(5kgまたは10kg)を20%割引で購入することができ、購入者が希望する場合は米ぬかの送付を受けることもできます。 図表1でご紹介した中で、9月に株主優待の権利も確保できる唯一の銘柄です。

また、左のチャートは三角もち合い上放れの形状で、目先の株価にも投資妙味が感じられます。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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