毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。

本稿では、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。

プレゼン
(画像=PIXTA)

目次

  1. 金融業界ランキング
  2. 「論理的に考えること」を論理的に考える
  3. あえて「分かりにくく」伝える
  4. 「気にする」自分を気にしよう
  5. 幸福を追究する
  6. 「特別な人」になるために
  7. 編集後記

金融業界ランキング

第1位:『そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?』(深沢真太郎著、三笠書房)
第2位:『半歩先を読む思考法』(落合陽一著、新潮社)
第3位:『気にしない練習』(名取芳彦著、三笠書房)
第4位:『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(畑中翔太著、朝日新聞出版)
第5位:『精神科医が見つけた3つの幸福』(樺沢紫苑著、飛鳥新社)
第6位:『「後回し」にしない技術』(イ・ミンギュ著 吉川南訳、文響社)
第7位:『決断力』(橋下徹著、PHP研究所)
第8位:『医者が教えるダイエット 最強の教科書<デイ・ワン>』(牧田善二著、ダイヤモンド社)
第9位:『無(最高の状態)』(鈴木祐著、クロスメディア・パブリッシング)
第10位:『最新の脳研究でわかった! 自律する子の育て方』(工藤勇一 青砥瑞人著、SBクリエイティブ)

※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年8月の閲覧数ランキング

「論理的に考えること」を論理的に考える

8月の第1位は『そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?』でした。ビジネスにおいて論理的な思考、ロジカルシンキングの重要性が叫ばれて久しい現代、それを体系立てて学んだことがあると自信を持って言える人はどれほどいるでしょうか。

本書は論理思考を、サオリと優斗という登場人物を通じて問答形式で読み解いていく、コミカルで親しみやすい構成となっています。帰納法や演繹法の基本や、問題解決への近道となる考え方といった即応性の高いテクニックが満載です。

仕事で「説明が分かりにくい」と言われた経験のある人、そう思われているのではと心当たりのある人、本書を読んで実践すれば、会議や商談、社内決裁を理路整然とリードできる「ロジカルな人」に早変わりしていることでしょう。

そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?
そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?
深沢真太郎
出版社:三笠書房
発売日:2021年06月05日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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あえて「分かりにくく」伝える

第2位は研究者にしてメディアアーティストでもある落合陽一氏の最新刊『半歩先を読む思考法』でした。特に、証券界に携わるビジネスパーソンに最もよく読まれています。

「半歩先」とは五感に接続されているように感じる、少し先の手触りのある時間だと、本書では定義されています。文章などを投稿できるネットサービス「note」で、落合氏が 2019年1月から2年余りの間に書き綴った日々の所感を、テーマ別に時系列で再構成した内容となっています。

そのテーマは、SNSが炎上する構造や、分かりやすいコンテンツの功罪と分かりにくさへのこだわり、新型コロナウイルス感染拡大が終息した後の世界の展望など多岐にわたり、教育者、経営者など多方面で活躍する落合氏ならではの世界観が広がっています。

「分かりにくいまま伝える」ことによってもたらされる効用といった持論が展開されている本書。当たり前のように思われてきた身近な事象も、落合氏の思考のフィルターを通してみると、「そういう切り口があったか」と新たな気づきがありそうです。

半歩先を読む思考法
半歩先を読む思考法
落合陽一
出版社:新潮社
発売日:2021年07月15日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、起業・イノベーション、テクノロジー・IT、トレンド

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「気にする」自分を気にしよう

第3位は『気にしない練習』がランクインしました。「気」をどのように持つかについて関連書が多くある中、本書は一味違った、新しい視点をもたらしてくれます。

まず、道徳が「いい人になりましょう」と教える一方、仏教は「心おだやかな境地を目指すこと」を説いているといった、考え方の違いに触れながら、人間が「気にしてしまう」メカニズムを解きほぐしていきます。そのうえで、「いい子になろうとしない」ことを促し、「人をガッカリさせることを恐れるよりも、人の評価が気になって仕方ない自分にガッカリすべきだ」と発想の転換を促しています。

社内外、家庭や友人などさまざまな人間関係の中で、自分を取り繕って気疲れしていませんか。そんな自分と別れを告げ、いい子でいることを積極的にやめてみましょう。きっと昨日までと違った心持ちの自分に気付けるはずです。


気にしない練習
気にしない練習
名取芳彦
出版社:三笠書房
発売日:2014年12月19日
ジャンル:自己啓発・マインド

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幸福を追究する

ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきます。

第5位の『精神科医が見つけた3つの幸福』は多くのベストセラーを持つ樺沢紫苑氏による著作で、幸福を感じている際の脳の状態に迫った一冊です。特に、保険関連の企業にお勤めの方々によく読まれました。

本書は「幸福とは何か」「幸せとはどういう状態か」を再定義しながら、幸せな状態になるための具体的な行動を紹介していきます。日常的な幸福感を構成する3大幸福物質「ドーパミン」「セロトニン」「オキシトシン」に注目し、それらが分泌される条件や行動を突き止めることの重要性を説いています。

日々の多忙な業務に追われてふと自分を見失いそうなとき、少し立ち止まって考えてみましょう。人類が古来追い求めてきた幸せというものに近づける、優しさにあふれた一冊です。

精神科医が見つけた3つの幸福
精神科医が見つけた3つの幸福
樺沢紫苑
出版社:飛鳥新社
発売日:2021年03月22日
ジャンル:自己啓発・マインド、サイエンス、リベラルアーツ

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「特別な人」になるために

最後は第7位の『習慣超大全』です。

最後は第6位の『「後回し」にしない技術』です。「物事には優先順位があるから、後回しにするのは仕方ないじゃないか……」と諦めモードになっている人は、そのクセを見直すチャンスです。

本書は冒頭、「99%の平凡な人たちと1%の特別な人たちを分けるもの」は実行力の有無であり、優れたアイデアの有無ではないと指摘します。後回しにしないためには、物事を完遂する「終了デッドライン」だけでなく、着手する「開始デッドライン」も同時に設定するといった、すぐに応用できそうなノウハウがたくさん詰まっています。

「一歩踏み出すことを望んでいながら、いつもその場にとどまっている人たちは多い」。本書のそうした指摘に「自分のことだ」とはっとした方、是非本書を手に取ってみてください。

「後回し」にしない技術
「後回し」にしない技術
イ・ミンギュ、吉川南(訳)
出版社:文響社
発売日:2021年05月25日
ジャンル:自己啓発・マインド、生産性・時間管理

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編集後記

今回の月間ランキングでは、第1位、2位のほか、第7位の『決断力』など、「思考法」にまつわる著書が目立ちました。また、『気にしない練習』や『後回しにしない技術』といった、よくないクセを見直す方法に関する作品も上位にランクインしています。

9月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。

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