新規株式公開(IPO)企業のトップをスタジオに招き、この時期に上場を決めた狙い、事業内容、これからのビジネスモデルや成長戦略に迫る日経CNBCの番組『IPO社長に聞く』。
今回は8月20日(金)に東証マザーズに新規上場した、地域情報プラットフォームの構築・運営、ふるさと納税支援業務および官民協働ポータル・地域共通ポイント運営などの官民協業事業受託、マーケティング支援業務を行うフューチャーリンクネットワーク(9241)の石井丈晴社長が登場。
1973年12月23日生まれ、千葉県出身。 慶應義塾大学 商学部 卒業。新卒で株式会社リクルートに入社し、人事部で活躍。 社会の役に立つ事業がしたいと考え、2000年3月に「地域活性」をキーワードにFLNを設立し、独立。地域の付加価値増大を目的に、地方企業と協業しながら全国で地域情報流通事業を展開する。 2006年には千葉県八千代市の広告代理店である株式会社宣美を子会社化し、両社の代表取締役となる。2018年9月に同社をFLNに吸収合併し、アナログ・デジタル両面からの地域課題解決力をより強化する。 趣味はギター・トレイルランニング。座右の銘は「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」。
※ 以下、『IPO社長に聞く』8月30日放送の収録内容を書き起こしてお届けします。
司会:さてこの時間はIPO社長に聞く今日は8月20日、東証マザーズに上場したフューチャーリンクネットワークの石井社長にスタジオに来ていただきました。
まずは、上場までの株価を見ていきましょう。公開価格が2,470円、初値が4,315円、現在が2,979円での取引になっています。
石井さん、フューチャーリンクネットワークがまず、どんな会社かご紹介いただけますでしょうか。
石井社長:2000年に創業した会社でございます。現在、千葉県の船橋市に本社を構えております。当社は創業以来、「地域活性化」を理念に掲げて愚直に事業を続けてきた会社です。
司会:なぜ「地域活性化」にフォーカスされたのか、背景をご説明いただけますか?
石井社長:2つ軸がありまして、1つが地域情報の多様性を提案していきたい、ということです。
2000年以降画一的な世の中が一気に普及してきたな、と思っています。チェーン店を始めとする画一的で安心なサービスを得られる時代になったのは、非常に私も価値を感じていて良いのですが、本当に、日本全国どこに行っても朝から晩まで、同じようなサービスを受けていて、人は飽きないのかなと思ったのが1つです。画一的で安価なサービスと同様に多様性ある生活スタイルを求める人もいるんじゃなかろうかと。
特にインターネットの出現というのは、検索する便利さもあるんですけども、多様性あるコンテンツが花開くインフラなんじゃないかというのも思ったんですね。
そういう意味で、多様性あるコンテンツを発掘していくインターネットはこれから進化するでしょうから、多様なコンテンツを取得する人たちがいれば非常にビジネスチャンスとして大きいんじゃないかと思ったのが1つです。
もう1つは当時から少子高齢化と言われていたんですけども、人口パイが減っていくのに画一的なスケールメリットを追求していくと縮小均衡になってしまうので、それよりも、付加価値を花開かせた方がマクロ経済学的にも日本社会的にも良いのではと。
この2つが結びついたというのが、当社の創業のきっかけです。
司会:そうなんですね。企業理念も、「まさに」という感じですね。
石井社長:創業以来、地域活性化を継続的かつ発展的事業の形で実現すると、これを追求してきたのが当社です。
司会:では、どんな事業をされているかということで、地域情報のプラットフォームについてどのようなものか教えていただけますか?
石井社長:はい。当社では地域情報プラットフォーム「まいぷれ」を運営しております。「地域情報サイトを運営している」といわれることもあるんですけど、我々にとっては正確ではなくて、あくまでもプラットフォームを運営していると自負しております。
プラットフォームが何なのかというと、付加価値情報・魅力ある情報を我々が足で発掘し、収集して編集していく。
これを地域情報サイト「まいぷれ」も含む色んなデバイスに配信していくというのが、当社の考え方です。必ずしも当社の地域情報サイトのまいぷれ経由で見にこなくても構わないんです。
我々が集めた情報を、ポータル情報サイトまいぷれを含む様々なチャネル、デバイス、場で配信していき、地域を活性化していきたい。
それで、このモデルを全国のパートナーと一緒に、北は北海道、南は石垣島まで290サイトで運営していると、これが当社の事業モデルでございます。
司会:こんなに幅広くやられていたんですね。
石井社長:はい。当社は千葉県船橋市の会社なのですが、全国で運営パートナー149社と一緒にやっているというのが特徴でございます。
司会:わかりました。では、この事業の収益構造について教えていただけますか。
石井社長:これは、当社の事業全体をサマリーしている図でございます。青色が収益の流れでございます。
右下が地域情報流通事業というセグメントでして、このロゴの下から地域の中小事業者に線が伸びていますけども、当社は、地域の中小事業者の魅力ある情報をプラットフォームに預かって、情報を配信するその対価として、プラットフォーム利用料をいただいております。
この直営地域でやっているシステム及びノウハウを、全国の運営パートナーに提供しています。
全国の運営パートナーはそれぞれの地域で地域の中小事業者の情報を預かり配信していき、当社はロイヤリティで収益を得る。これが地域情報流通事業セグメントです。
地域のITがどちらかというと苦手な1万2,900店舗ほどの、地域の中小事業者の情報配信をお手伝いをしているのが地域情報流通事業。
この地域流通事業の基盤・体制を使って国や自治体の官民協業事業・課題解決を担うのが、公共ソリューション事業です。
今、ふるさと納税が比較的目立っているのでふるさと納税と書いていますが、ふるさと納税を含む地域の課題解決を我々、地域情報流通事業のパートナーがいる体制も含めて継続的にお手伝いする。そのような事業です。
そして左側がマーケティング支援事業で、主に流通大手さんや不動産ディベロッパーさんが多いんですけれども、今、なかなか新聞を取る人が減っていてラストワンマイルのマーケティングができないと。我々のプラットフォームを使って、エリアマーケティングのお手伝いをするというセグメントがマーケティング支援事業。この3つのセグメントで事業を展開しています。
司会:なるほど。では、その3つの事業セグメントということで資料にもまとめられていますね。改めて教えていただけますか。
石井社長:重なる部分もありますが、地域情報流通事業は、我々が付加価値を流通させる対価として、支援した中小事業者からプラットフォーム利用料をいただく。または、このノウハウをパートナーに提供して全国のフランチャイズに近い概念ですが、運営ロイヤリティをいただくという事業です。
この体制を使って自治体や国が抱える課題に対して官民協業の形で解決するのが公共ソリューション事業。
そして、同じように地域情報流通事業のプラットフォームを使って主に大手の小売マーケティングあるいは不動産事業者を中心とした大手さんのエリアマーケティングをお手伝いするのがマーケティング支援事業です。
司会:では、その事業セグメントの業績の推移。こちらもそれぞれでまとめてあります。
石井社長:おかげさまで地域情報流通事業・公共ソリューション事業共に伸ばしております。
公共ソリューション事業の方が売上のトップラインは多いんですけども、注目していただきたいのは地域情報流通事業セグメントでございまして、限界利益率が高いので非常に利益の方が順調に伸びているというのが地域情報流通事業です。
司会:前年度比の利益で48%くらい上がっているということですよね。
石井社長:そうですね。当社が開発したプラットフォームを提供している形なので、原価がないという言い方になってくると思うんですが、SaaSモデルですので、このような形になっています。
一方、マーケティング支援事業が、去年来のコロナの影響で訪日外国人向けの販促部分では非常に縮小モードになっておりまして、今期の見込みも保守的になっていますけれども、当社が果たせる役割はこれから伸びていけると思っているので、コロナが終息しても、コロナ禍においても活躍できるフィールドは多いと考えています。
司会:コロナ終息後に回復できない形で業績につく可能性があるとしたら、このマーケティング支援事業も可能性は凄くあるということですね。
では、次のスライドが業績推移と利益計画、業績予想ですね。
石井社長:2021年8月期は13億4,900万円の売上高で経常利益は8,300万円で見込んでおります。
順調にトップラインは伸ばしていて、利益率も先ほどの地域情報流通事業の利益効果が特に大きいのですが、大きく利益を伸ばせる業績見込みになっています。
司会:わかりました。では、次のスライドなんですが、こちらを見ても順調に成長しているわけですね。
石井社長:そうですね。おかげさまで、地方創生という文脈もあって、地域で創業される、あるいは新しいビジネスチャンスを求める方が非常に多く、全国でパートナーの数が非常に増えています。
パートナーの数の増加に応じて展開量も増えている、というところに今までも確信を持てていますし、今後も順調に続けていけると思っているところです。この数の増加に加えて質的成長を図っていきたい、というのが上場させていただいた成長戦略の中心です。
どちらかというと従来は、地域の中小事業者の情報をお預かりしてプラットフォームを経由して配信する、いわゆる中小事業者のDXを担っている部分のみでの貢献だったのですが、中小事業者とフェイストゥフェイスで地域密着で繋がっていると、単なる情報配信ではなくMEOの相談がくる。もう少し科学的に分析していきたい、あるいはITのマーケティングに限らず、融資・助成金の活用支援、事業継承の相談とか、人材育成の相談とか、こういった話も来るようになってきているんですね。
当社は今までどちらかというと中小事業者の情報をお預かりする対価でしかなかったのですが、トータル的な経営支援という形で客単価を上げていく、いただく単価を増やしていくことによってプラットフォームのMRRを上げていく、ということを今後の成長戦略の中心に据えたいと思っています。
司会:こちらが成長戦略になるということで、サブスクリプションモデルをもっと比率を上げていくということを挙げられているということと、あと、最後のスライドになりますけど、パートナーネットワークをさらに広げられたいと。
石井社長:そうですね。こちらの左側の上の円が当社の成長戦略のイメージを表したものなんですけども、当社はプラットフォームの価値を上げることによって、単価を上げ、MRRを上げていきたいと思っています。このまいぷれ事業の地域情報流通事業のMRRが増えると、パートナーの増加スピードが上がっていきます。
もちろん各地域の収益力が上がっていきますので、既存のパートナーがよりエリアを広げてくれると同時に、新しいパートナーの参画も増えると。直営地域以降は今後、パートナーでエリアを広げていこうと思っていますので、リーチ可能な地域が増える。
当社の地域情報流通事業のプラットフォームのサービスが提供できるエリアが広がっていく。この数的な成長と同時に、その公共ソリューションを提供するエリアが増えると。
当社の官民協業事業というのは、その地域にまいぷれ運営者がいるからできるサービスをやっているんですね。例えば、地域共通ポイントとかふるさと納税のお手伝いとか、その地域に地域の情報を収集する体制があるからこそできるサービスなんですね。
なので、他ではできないんですけど、パートナーが増えるとそれが提供できるエリアができるこの地域情報プラットフォームの価値が上がり、パートナーが増え、リーチ可能なエリアが増えて公共ソリューションも広がる。
この好循環を、上場させていただいた機会に進めていきたいというのが、成長戦略の軸でございます。
司会:このセグメント別の売上高推移の展望としてもやはり下2つ(地域情報流通事業・公共ソリューション事業)の事業が大きく膨らむことがイメージとしてあるんですかね。
石井社長:そうですね。一番確信をもって言えるという表現になると思います。
司会:わかりました。では、最後になりますが、視聴者の皆さま、投資家の皆さまにメッセージがあればお願いいたします。
石井社長:当社は地域活性化という理念を追求して愚直にここまで事業をしてきた会社でございます。おかげさまで、非常に多くの味方・仲間を増やしてここまできました。
社会的正義性はいうまでもなく自信がありますが、ビジネスとしても非常にこれから大きく伸ばしていける確信を持っています。
是非、長期目線で投資検討いただければと思いますので、末永く見守っていただければと思います。よろしくお願いいたします。