本記事は、若月りく氏の著書『会社を辞めずに大富豪になるプレミアムマンション投資』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

どうして、買うのは簡単で売るのは難しいのか?

不動産売却
(画像=CORA/PIXTA)

不動産の購入は、自分の採算基準に当てはまるものを粛々と購入するだけで良いのです。

あえて誤解を恐れずに言えば、最初はだまされて買うくらいの感覚でもいいかもしれません。「お似合いですね」とブランドのTシャツをすすめられて、5000円くらいのTシャツを買ってしまうように、舞い上がって買うような感覚でもきっと良いのです。決して無責任な意味ではなく、思い切ってトライしてみれば良いと私は思います。

もちろん不動産投資はTシャツとは違いますが、2000万円でいいものを2100万円や2200万円で買ってしまうといったことはあるかも知れません。さすがに、極端な例かも知れませんが、超一等地を押さえるときは、それくらいのおおらかな気持ちで買っていいと思うわけです。

その反面、売るときは難しいというのが不動産投資の特性の一つです。当然ながら、不動産の売却は、売り出し価格の設定が高過ぎると市場での動きが止まってしまいます。つまりは、売れないのです。

売却交渉をするのは少し経験が必要で、市場環境の良い、売り場と言われる時期は意外と短いもの。往々にして、後になって、「あれが売り場だったのか…」と分かるケースが多いと言えます。

不動産投資を考えるあなた自身がきっとそうであるように、物件の購入を検討している人は、数カ月前から他の物件の広告をはじめ、情報収集のためのアンテナを張っています。買主は、売主の想像以上に不動産の相場を把握していると思ったほうがいいでしょう。

安くすると、即座に売れます。反面、高いとまったく売れず、市場から放置されます。売り出し価格を不当に下げる必要はありませんが、高過ぎる価格設定は売れない原因となります。

逆に言えば、即座に売れるということは安過ぎたということでもあり、かといって売れ残る値段で長期的に市場にさらしておくのも憚られるもの。そのように売り方は難しいわけですが、一つの目安として3~6カ月程度のリードタイムで売り切れる価格を見極めた上で、慎重な値段設定をすることが大事と言えるでしょう。

ちなみに今の東京都内は、コロナ禍とオリンピックに関連する「狼狽売り」というのもあり、売却価格は千差万別で、いっそう難しい面があるように思います。

東京の場合、2013年9月以降の不動産市場はオリンピック誘致決定の影響によって、価格は大きく変動することになりました。五輪招致前は2000万円で売れていたものが、オリンピック招致が決まったあとは、2100万円や2200万円以上で売れるようになったのです。

またオリンピック以外に、都内の再開発についても同様です。池袋の旧区庁舎界隈や、高輪ゲートウェイの新駅関連など、新たな開発が進むことによる価格変動が生じています。

こうした何かのイベントがあると物件の価格が一気に上昇することもあり、「売り場」というのは非常に見極めが難しいと言えるのです。

あなたが買いたいと思う街に、再開発等の大イベントの予定はあるか?

このように不動産の価格は、周辺の環境や街の将来性によって大きく左右されることがあります。

自分が持つ部屋があるマンションの目の前に新しい駅ができると、一気に街の様子が変わっていき、物販やサービスなどビジネスのニーズが生まれ、不動産価格や賃料は必然的に上がっていきます。買ったときの価格や賃料以上の価値を、その不動産が持つことになるわけです。

つまり不動産は、物件を買うという感覚以上に、立地する「場所を買う」ことでもあるわけで、近い将来、再開発などの外的要因が購入する物件の周辺にあるのかどうかも事前にチェックしておくほうが良いでしょう。

大事なのは、環境が変わる外的な要因や世のなかのトレンドを把握しながら、街や物件に関する見方を誤らないこと。そうした視点は信頼できる不動産営業マンの情報なども参考にすべきで、総合的な判断のなかで「売り場」を決めていく必要があると言えます。

たとえば、買った物件の周辺や街のなかに、この先に再開発等の街を変えるようなイベントの予定はあるか? ということも欠かせない視点です。

分かりやすい例では、東京スカイツリーは2012年に墨田区押上に完成しましたが、路線価の比較において、ツリー周辺エリアの土地価格は2011年から急激に上がっています。2008年のリーマン・ショックを契機に沈んでいた都内の土地価格のなかでも、スカイツリーの完成を機に、同エリアは一気にV字回復を為しているのです。(参照:「東京スカイツリーの立地に伴う近隣地域の地価及び土地利用の変化に関する分析」http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00897/2013/B42D.pdf)

ちなみに、東京スカイツリーが現在の場所に建設されることが最終的に決まったのが2006年です。墨田区エリアが最終候補として残ったのはさらに数年前。イベントに関するこうした動きを注視しながら、どの段階を売り場にするのかを見据えつつ、最も効果的な売却のタイミングを明確にしていくことが大事です。

こうした土地価格の変動の見極めには、やはりインターネットの情報を定期的にチェックしておくことが必要でしょう。

公示価格の発表などを待っていては情報として遅いですから、リアルタイムで把握できるネットの情報をキャッチしていくのがおすすめ。たとえば自分が買いたいと考える場所にある、同じグレードやタイプのマンションの価格を、定点観測のようにチェックしていくと良いと思います。

年に1回でも2回でも構いません。たとえば盆と正月などの時間のあるときに、不動産投資や収益物件の情報サイトである「健美家」や「SUUMO(スーモ)」「ホームズ」などのサイトで価格を定点観測していくと良いでしょう。株式やFXのように、株価や為替を毎日チェックする必要はありません。あくまでも時間的余裕を持ちながら、ゆったりでいいのです。

持っている不動産を売るのであれば、10万円でも20万円でも高い額で売れたほうがいいに決まっています。

少しの意識と努力で、誰もが可能になるのが不動産投資のキャピタルゲインであり、ぜひ少しでも多くの利益を得るために、できる努力はしてほしいと思います。

こうした意識付けや努力は、購入についても同じことです。普段から情報を入れていくという姿勢はやはり大事です。ポスティングのチラシにだって目を通しておくべきで、わずらわしい、と捨てるべきではありません。

当たり前のことですが、ポスティングのチラシが出てくるというのは、その物件があなたの住む近くのエリアに展開されるということ。また、あなたのもとに届くDMは、少なくともあなたにその情報を知らせたいと考える人がいるわけです。こうしたせっかくの情報を、むげにする必要はないのです。

不動産営業のセールス電話があなたの携帯に唐突にかかってきても、すぐに邪険にせず、最初の1分間は話の入り口を聞いてみましょう。煩わしい説明はさえぎって、エリアの価格情報について尋ねてみるといいのです。相手がデキる営業マンであれば、貴重なマーケット情報が得られることがあります。

あなたが不動産の情報について、自分から時間を割いて、ガツガツと情報を獲りにいく必要はありません。本業が忙しいサラリーマンや自営の方、専門士業の方は、そんなことに手を取られる時間はないのですから。

しかし、来るものは拒まず、です。その姿勢は大事にして、あなたの味方である不動産営業マンと上手に付き合いながら、効果的に情報をリサーチしていくことを心がけていきましょう。

会社を辞めずに大富豪になるプレミアムマンション投資
若月りく(わかつき・りく)
香川県高松市出身。工学修士。留学、遊学、駐在等で世界3カ国の滞在経験。一部上場企業にて、事業投資、事業計画、案件開発、資産管理等の担当経験あり。副業としてはじめた「プレミアム・ワンルームマンション投資」で成功し、現在は給与所得と合算して3000万円超の年収を獲得。ド派手、爆上げ、圧勝よりも、効果的、効率的に少し余裕を持つライフスタイルを推奨。

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