本記事は、若月りく氏の著書『会社を辞めずに大富豪になるプレミアムマンション投資』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
まずは自分への「融資可能額」を知ろう
自分の名刺は、いったいどれくらいの価値があるのか? あくまでも不動産投資における価値ということになりますが、それを知るのは、あなたへの「融資可能額」を知ることで分かると言えます。
融資可能額とは言うまでもなく、不動産投資についてどれくらいのローンが組めるのか、いくらぐらい銀行がお金を貸してくれるのか? ということです。
一概には言えませんが、不動産投資の際の融資額には、相場観のようなセオリーはありません。金融機関が収益物件取得の際の融資に協力するか否かは、物件の評価と人物の属性評価を総合的に判断して決めるからです。
ごく一般的に言えば、よく不動産投資の指南書に書いてあるように、融資可能額の目安は年収の20倍程度がMAXでしょうか。確かな名刺属性の場合という前提ではありますが、500万円の人だと1億円、1000万円の年収だと2億円くらいが可能額ということにはなるかもしれません。
ただ、銀行に交渉して融資を自分で取り付けるというのは、先に述べたようにかなりハードルの高い上級者向けの手法です。
本書のプレミアム・ワンルーム投資はそれとは異なり、物件を扱う不動産会社と交渉し、融資は同社が提携する金融機関のローンを活用するのが王道です。そのため、金融機関との直接の融資交渉は生じないのです。
けれども、当然ながら融資の審査はあります。無事にそれをクリアし、いざ物件が購入できるとなれば、晴れてあなたもトップワン物件のオーナーとなるわけです。
複数の物件を買える客であることを知らしめる
銀行の融資を通すには、源泉徴収票や過去2~3カ月分の給与明細の提出を求められます。そして1~2週間の審査期間を経たあとで、結果が分かります。そこで最終的な物件の選定を行い、購入するかどうかを自分で最終決定し、本審査へと移行していくことになるのです。
その際には、たとえば自動車ローンを持っていたり、ほかに支払い中のローンがある場合には告知しなければなりませんし、ご自身の資産状況なども申告する必要があります。
名刺の属性として融資が通りやすいのは、公務員、上場企業の社員、医師や弁護士などの士業…ということはすでに紹介しました。そして、個人の中長期的な実績と安定性が信用の源泉として加味されるわけです。
その際の個人属性として、私がこれまでの経験から受けた印象では、妻帯者よりも独身者のほうが有利なように思います。しかも、子どもがいることは金融機関の評価上は学費等の扶養義務がコストとして算入されるので、不利に働くような印象を抱いています。
ちょっと残念な評価軸ではありますが、金融機関という特殊な存在とは言え、貸し倒れリスクを評価し、収益を追求する民間事業者なので致し方ないですね。……少子高齢化が真に課題だと思うのであれば、金融庁等の監督官庁が制度上のサポートをする等があっても良いような気がします(本書の趣旨とはズレますが)。
昭和のモデルでは一般的だった──今は少数派になっているのかも知れませんが、たとえば子供2人の標準世帯。子供たちは、大学に行かせて、奥さんは専業主婦……と聞いたとき、旦那さんにはある程度の収入があり、生活も安定している裕福な家庭、というイメージを持つのではないでしょうか。この先も安泰で、社会的信用度も高い、といった印象だと思います。
けれども、銀行の融資判断というのは必ずしもそうではないということ。もちろんすべての銀行や担当者が当てはまるとは言いませんが、定性的な社会的評価よりも、融資の基準となるのはあくまでも家計のキャッシュフローという定量的な観点なのです。
というのも、私が不動産投資を始めて数件目の物件購入の際に、そうした理由で融資が下りなかった経験があるのです。
銀行の仮審査が通って肩の荷を下ろしていたところ、本審査の最終段階で、突然の「融資NO!」の返事。夜の10時にもかかわらず、銀行の担当営業マンが上司の課長職と共に血相を変えて「すみません!」と詫びに来たことをよく覚えています。
彼らからの説明はまったく釈然とするものではなかったのですが、手元に置いてある資料を見ると、子供たちが27歳まで扶養されているということになっていて愕然としました。
銀行の立場からすれば、それも当然なのかも知れません。融資に際し、最悪のパターンまでを見据えた試算で稟議にかけることは、必要なリスクマネジメントです。状況をシビアに見て、リスク排除を第一義にとらえる銀行の考え方に触れたことは、私自身良い経験になったと思っています。こうした観点からも不動産投資は、子育てよりも、結婚よりも、先行して始めておくことが有利に働くような感覚を持つに至っています。
このように、個人の属性評価や物件の評価によって、金融機関からの融資の可否は違ってきます。
そして最初に融資が通ったら、その不動産会社の提携ローンによって、今後、何件程度の取得が可能か事前に確認しておきましょう。複数購入したいという意思を示すことは、リピーターになり得る優良顧客であるとアピールすることにつながりますから、失敗するような持ち方を推奨されなくなります。
自分は複数の物件を買える客であることを知らしめることに意義があり、その後の交渉において、営業マンに対するアドバンテージになっていきます。1戸だけ買って終わる、のではなく、2戸、3戸と買っていくことができるかどうか。それを目の前にいる営業マンに知ってもらう、ということも大事なのです。
一方で、もしも融資が通らなかったら。または複数物件が買えるほどの融資枠が得られなかったら……。それは、今は購入のタイミングではないことを教えてくれているととらえましょう。
決して安易にあきらめる必要はありませんし、交渉によっては、「頭金が200万あればおそらく通ります」といった情報を、不動産会社の営業マンがくれるかもしれません。そうであるなら、まずはその200万円を作る、または貯めるために頑張ることです。
人間は目的があると行動が加速します。融資が通るかどうかはトライしてみないことには分かりませんが、まずはあなた自身の名刺の力を信じてみてください。その上で、自分の「融資枠」を知ることは、不動産投資を始めるときの、極めて大事な要素の一つと言えるでしょう。
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